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『ファイナンシャル・プランニング』に関するスキルが重点テーマです。また、投資に関連して、『コーポレート・ファイナンス』や『会計』などについてもみていきます。

遺留分

相続時、相続人のために相続財産の一定部分が法律上保障されています。この一定部分を遺留分といいます。

例えば、被相続人の遺言が、すべての相続財産を複数相続人の中の1人の相続人のみに相続させるという内容であった場合、遺言はもちろん有効ですが、他の相続人は遺留分に基づく減殺請求をすることができる、というものです。

なお、遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。

また、遺留分の額(総額)の割合については、

?直系尊属のみ(父母のみ)が相続人の場合は相続財産の3分の1

?それ以外(配偶者や子、子の代襲相続人がいる)の場合は相続財産の2分の1

となっています。

遺留分が認められる相続人(遺留分権利者)が複数人の場合、それぞれの遺留分権利者の遺留分の割合は、上記の遺留分の総額の割合(総体的遺留分)に対して、それぞれの法定相続分の割合を乗じたものとなります(個別的遺留分)。

このとき、遺留分の認められない兄弟姉妹の法定相続分の割合はないものとして計算することになります。

たとえば、被相続人が、両親(父母)と兄1人で、配偶者や子がないときの遺留分については、「?直系尊属のみ」の場合となり、両親(父母)はそれぞれ6分の1(1/3×1/2)、兄は遺留分なしとなります。

また、被相続人が、父と配偶者のみで、子がないときの遺留分については、「?それ以外」の場合となり、父は6分の1(1/2×1/3)、配偶者は3分の1(1/2×2/3)となります。

次の問題は、平成18年1月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。なお、この学科試験の全問題は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のWebサイト http://www.jafp.or.jp/ 、金融財政事情研究会のWebサイト http://www.kinzai.or.jp/ にて公開されています。

問題52 死亡したAさんの相続人は、配偶者とAさんの兄弟(3人)の合わせて4人であった。Aさんは、公正証書遺言により全財産を配偶者に相続させるとしていた。Aさんの相続人である兄弟の遺留分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分(4分の1)と同じ割合であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、12分の1ずつとなる。

2.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分の2分の1であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、24分の1ずつとなる。

3.兄弟姉妹全体の遺留分は法定相続分の3分の1であるから、兄弟の各人の具体的な遺留分は、36分の1ずつとなる。

4.兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、兄弟は、配偶者に対して遺留分を主張することができない。

答えは、

もう1問みてみます。平成17年5月の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験の問題です。

問題54 遺留分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.遺留分権利者は、被相続人の配偶者、子および直系尊属であり、子の代襲相続人には遺留分権が認められない。

2.遺留分権利者は、被相続人の生前に家庭裁判所の許可を得ることにより、遺留分の放棄をすることができる。

3.総体的遺留分の割合は、相続人が直系尊属だけの場合は、被相続人の財産の3分の1、その他の場合は2分の1である。

4.遺留分減殺請求権は、相続開始および減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ったときから1年間、または相続開始時から10年間、これを行使しないと、時効により消滅する。

答えは、が間違っています。 2の遺留分の放棄、4の遺留分減殺請求権の時効については、記述の通りです。 遺留分減殺請求権は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び贈与(原則として、相続開始前の1年間にしたもの)について認められるものです。

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 (2011.08.28 21:00)