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契約における信義則上の義務

民法の契約自由の原則は、私的自治の原則の考えから、私人間において当事者の自由な意志によって契約の内容を定めて締結できる、という原則ともいえます。

契約は当事者が相互に信頼しあって締結し、契約関係にある当事者は相互に相手方の信頼に応えるように誠実に行動しなければなりません。民法1条2項の信義誠実の原則(信義則)による義務となります。

 

第一条(基本原則)
 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
 権利の濫用は、これを許さない。

 

契約における信義則上の義務に関連して、契約上の付随義務、原則をいくつか簡単にあげてみます。

1.契約締結上の注意義務。契約当事者は、無効な契約締結のすることのないようにする注意義務をいいます。この注意義務を怠って契約の相手方に不測の損害を与えた場合は、契約締結上の過失責任が問題になります。

この契約締結上の過失責任は、

  1. 契約の内容が客観的に不能な内容であるために、契約が原始的無効である。
  2. 給付をしようとする者が、不能な内容であることを過失により知らなかった。
  3. 相手方が善意・無過失である。

の場合に認められると考えられています。

2.安全配慮義務。契約当事者の一方または双方が相手方の生命・身体などの安全を配慮すべき義務をいいます。

3.事情変更の原則。契約締結後、社会経済事情に、契約当事者が予想しえなかった急激な変動が生じた場合、契約の内容をこのような事情の変化に応じて変更修正し、場合によっては解約することもある程度認められる原則をいいます。事情変更によって当事者が契約を履行することが客観的にみて信義則上著しく不合理である場合に認められます。

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 (2011.08.28 21:00)