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コーポレートファイナンス入門 1:コーポレートファイナンスの基礎

企業経営におけるお金の動きの全体像を捉え、時間とお金の関係性を理解することで、企業価値を最大化するための基礎固めを行います。

1.1:コーポレートファイナンスとは何か

コーポレートファイナンスは、企業がどのように資金を調達し、それをどのように投資し、最終的に得られた利益を株主へどのように還元するかを扱う学問分野です。その究極的な目的は、企業の持つ資源を最大限に活用し、企業価値を最大化することにあります。

この分野では、資金の調達(財務意思決定)、資金の運用・投資(投資意思決定)、利益の分配(配当政策)という三つの主要な意思決定領域が中心となります。また、経営者と株主の間に生じうる利害の不一致、いわゆるエージェンシー問題への対応として、企業がいかにして健全なガバナンスを維持するかという視点も重要です。

財務担当者の役割は、これらの意思決定を適切に行うことで、企業の持続的成長と価値創造を支援することにあります。


コーポレートファイナンス: 企業が資金をどのように調達し、投資し、最終的に得られた利益を株主に還元するかを扱う学問分野です。その究極的な目的は、企業価値の最大化にあります。

企業価値の最大化: コーポレートファイナンスの最も重要な目的であり、企業の持つ資源を最大限に活用し、企業の価値を可能な限り高めることを指します。

資金の調達(財務意思決定): 企業が事業活動に必要な資金をどのように集めるか(例:株式発行、債券発行、銀行からの借り入れなど)に関する意思決定です。

資金の運用・投資(投資意思決定): 調達した資金を、どのような設備投資や事業に投じるか(例:新規プロジェクトへの投資、M&Aなど)に関する意思決定です。

利益の分配(配当政策): 企業が得た利益を、株主へどのように還元するか(例:配当、自社株買いなど)に関する意思決定です。

エージェンシー問題: 経営者(エージェント)と株主(プリンシパル)の間で、利害の不一致が生じる可能性のある問題です。経営者が自身の利益を優先し、株主の利益を損なう行動をとるリスクを指します。

ガバナンス: エージェンシー問題に対応し、企業が健全な経営を維持するための仕組みや体制のことです。透明性の確保や適切な意思決定プロセスの確立などが含まれます。

財務担当者の役割: 上記の資金の調達、運用・投資、利益の分配に関する意思決定を適切に行い、企業の持続的な成長と価値創造を支援することです。


1.2:企業の目標と財務戦略

企業経営の目標として「利益」が重視されがちですが、コーポレートファイナンスにおいては、より本質的な指標として「キャッシュフロー」と「株主価値」の最大化が重視されます。

利益は会計上の概念であり、減価償却や引当金などの非現金項目を含むため、必ずしも実際の現金の増加を伴うものではありません。一方、キャッシュフローは企業の現金の流入・流出を表し、企業の資金繰りや投資余力を直接的に反映します。

また、株主価値とは、株主が保有する株式の現在の市場価値や、将来的に受け取る配当やキャピタルゲイン(株価の値上がり益)などの経済的便益の総和を指します。これは企業の財務的健全性や将来の成長性、リスクなどを織り込んだ評価であり、企業価値の重要な指標となります。

したがって、短期的な利益の最大化ではなく、キャッシュフローを重視した長期的視点での持続的成長と株主価値の向上を目指す財務戦略の策定と実行が、コーポレートファイナンスの核心といえます。


キャッシュフロー: 企業の現金がどれだけ流入し、どれだけ流出したかを示す指標です。会計上の利益とは異なり、減価償却費などの非現金費用を含まないため、企業の実際の資金繰りや投資余力をダイレクトに反映します。コーポレートファイナンスでは、短期的な利益よりも、このキャッシュフローの最大化が重視されます。

株主価値: 株主が保有する株式の現在の市場価値に加え、将来的に受け取る配当金や、株価の値上がりによって得られるキャピタルゲインといった経済的な便益の総計を指します。企業の財務の健全性、将来的な成長性、そして潜在的なリスクを総合的に考慮した上で評価される、企業価値の根幹をなす指標です。

利益: 会計上の概念であり、企業の収益から費用を差し引いたものです。しかし、減価償却費や引当金など、実際には現金の動きを伴わない項目が含まれるため、必ずしも企業の実際の現金の増減と一致しません。コーポレートファイナンスでは、短期的な「利益」の最大化よりも、より本質的な「キャッシュフロー」と「株主価値」の最大化が重視されます。

キャピタルゲイン: 株式などの資産を売却した際に得られる売却益のことです。株主価値を構成する重要な要素の一つであり、株主にとっての経済的便益となります。


1.3:時間価値とお金の価値

ファイナンスの最も基本的な概念の一つに、「お金には時間価値がある(お金の時間価値)」という考え方があります。これは、「今日の100万円は、明日の100万円よりも価値がある」という原則です。その理由は、今日のお金は投資などにより将来増やす機会があるためであり、将来受け取る同額のお金よりも、現在手元にある方が経済的に有利であるとされます。

この時間価値の概念を理解するうえで重要なのが、「現在価値(Present Value: PV)」と「将来価値(Future Value: FV)」です。現在価値は、将来受け取る現金の価値を、一定の割引率を用いて現在時点で評価した金額です。一方、将来価値は、現在のお金が一定期間後にどれだけの価値になるかを示すもので、利息や収益を含めた将来の金額を計算します。

ここで用いられる「割引率」は、将来の不確実性や機会費用を考慮した利率であり、リスクや期待収益率を反映します。また、利息が元本に組み込まれて次第に利息を生む「複利」の仕組みも、時間価値を計算するうえで重要な要素です。


お金の時間価値: 「今日の100万円は、明日の100万円よりも価値がある」というファイナンスの基本的な考え方です。今日手元にあるお金は、投資などによって将来的に増やせる機会があるため、同じ金額であっても将来受け取るよりも現在のほうが経済的に有利であるとされます。

現在価値 (Present Value: PV): 将来受け取ることになるお金を、特定の割引率を使って現在の価値に換算した金額です。将来の現金の流れを、現在の意思決定に役立つように評価するために使われます。

将来価値 (Future Value: FV): 現在手元にあるお金が、特定の利息や収益率を考慮して、将来のある時点でどれだけの価値になるかを示す金額です。投資した資金が将来どれくらい増えるかを予測する際に用いられます。

割引率: 将来の現金を現在価値に換算する際に用いられる利率です。この割引率には、将来の不確実性や、そのお金を別の機会に投資していれば得られるはずの収益(機会費用)、リスク、そして期待される収益率などが織り込まれています。

複利: 利息が元本に組み込まれ、その合計額に対してさらに利息が発生するという仕組みです。時間の経過とともに利息が利息を生むため、単利に比べて資金の増加が加速します。お金の時間価値を計算する上で非常に重要な要素です。


ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。

ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。