ファイナンス、情報通信技術のスキル・アグリゲーション・サイト

' . iseeit.jp ファイナンス . '
 

ファイナンシャル・プランニング技能検定

A

ライフプランニングと資金計画

FP2級学科試験主要用語集2026

3級の知識をベースに、実務レベルの詳細・応用知識へと踏み込む科目です。顧客への提案・説明能力が問われます。

FPの倫理・関連法規については3級と同じ項目を扱いますが、求められる知識水準は「詳細な知識」へと引き上げられます。ライフプランニングの手法では、可処分所得の計算・各種係数の活用・プランの作成プロセスを「一般的な知識」として習得します。社会保険は3級の「概略」から「一般的な知識」レベルに上がり、各制度の具体的な要件・給付額・手続きまで押さえる必要があります。

公的年金では請求手続・年金生活者支援給付金・離婚時分割など細部まで出題されます。企業年金では確定給付企業年金の退職給付会計、確定拠出年金の既存制度からの移行といった実務的トピックが加わります。資金計画では住宅ローンの繰上げ返済・借換えの計算、リタイアメントプランのリバースモーゲージなど応用的テーマが含まれます。

2級の特徴は、3級にはない「中小法人の資金計画」(資金調達・財務分析)「ローンとカード」の詳細(キャッシュレス決済の各手段比較)が追加されている点です。全体として、顧客に対して根拠を持って説明・提案できる実践力が求められます。

1. FPと倫理

ファイナンシャル・プランニングの社会的ニーズと役割

ファイナンシャル・プランニング(FP)とは、個人・家族の生涯にわたるライフプランの実現に向けて、財務的な目標設定・資金計画の立案・実行支援・定期的な見直しを総合的に行うプロセスです。

  • FPの社会的ニーズ

    少子高齢化・低金利環境・社会保障制度の持続可能性への不安・働き方の多様化などを背景に、個人が自らライフプランと資金計画を立てる必要性が高まっています。公的年金だけでは賄えない老後資金の自助努力・資産形成の重要性が増しており、FPの専門的なアドバイスへの需要が拡大しています。

  • FPの社会的役割

    • ライフプランの策定支援:顧客のライフイベント・収支・資産・負債・保険などを総合的に把握し、目標達成に向けた資金計画を提案します。

    • 各専門家との連携:FPは総合的なアドバイスを行いますが、個別の専門的事項(税務・法律・保険等)は各専門家(税理士・弁護士・保険募集人等)と連携して対応します。

    • 継続的なフォローアップ:ライフプランは定期的に見直し・更新することが必要です。

  • FPの職業的原則

    • 顧客利益の優先:FPは自己の利益よりも顧客の利益を優先して行動しなければなりません。自己の利益のために顧客に不利な商品・サービスを勧めることは禁止されます。

    • 守秘義務の厳守:業務上知り得た顧客の個人情報・財務情報は厳格に管理し、本人の同意なく第三者に開示してはなりません。

    • 能力の範囲内での業務遂行:自己の資格・知識・能力の範囲内で業務を行い、専門外の事項は適切な専門家を紹介することが求められます。

    • 継続的な自己研鑽:法令・制度の改正に対応するため、継続的な学習・スキルアップが必要です。

2. FPと関連法規

FPと税理士法

税理士法では、税理士でない者が税務代理・税務書類の作成・税務相談を業として行うことを禁じています(無償であっても有償であっても同様)。FPはこの規定に注意して業務を行う必要があります。

  • 税理士業務(税理士でなければできないこと)

    • 税務代理:税務署等への申告・申請・不服申立て等を顧客に代わって行うこと。

    • 税務書類の作成:確定申告書・相続税申告書等の税務書類を作成すること。

    • 税務相談:顧客の個別具体的な税務上の質問に答えること(個別・具体的な税額計算を含む)。

  • FPが行えること(税理士法に抵触しない行為)

    • 税制の一般的な説明・解説:税法の仕組みや制度の一般的な説明はFPでも行えます。

    • 仮定・一般的な計算例の提示:「一般的にこのような場合は○○円程度になります」という仮定ベースの説明は可能。

FP試験ポイント:「個別の顧客の具体的な税額計算・税務書類の作成は税理士でなければできない」「一般的な税制の説明はFPでも可能」の区別が最頻出です。

FPと保険業法

保険業法では、保険商品の募集(勧誘・説明・申込の取次ぎ)は内閣総理大臣の登録・授権を受けた保険募集人・保険仲立人でなければ行えません。FPが保険の募集を行う場合は保険募集人としての登録が必要です。

  • 保険募集人でなければできないこと

    • 保険契約の勧誘・説明:特定の保険商品を顧客に勧めて加入を促すこと。

    • 保険契約申込の取次ぎ・代理:顧客の保険契約申込を保険会社に取り次ぐこと。

  • FPが行えること(保険業法に抵触しない行為)

    • 保険商品の一般的な説明・比較情報の提供:保険の仕組み・種類・特徴を一般的に説明することはFPでも可能です。

    • 保険の必要性に関する一般的なアドバイス:「保険が必要かどうか」の一般的な観点からのアドバイスは可能。

  • 特定保険募集人(乗合代理店)への規制

    複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店(独立系FP事務所等)には、顧客への比較説明義務・情報提供義務・意向確認義務等が課されています。

FPと金融商品取引法

金融商品取引法は、有価証券(株式・債券・投資信託等)の売買・投資助言・投資運用業等を規制する法律です。これらの業務を行う場合は金融商品取引業者としての内閣総理大臣への登録が必要です。

  • 登録が必要な業務(金融商品取引業者でなければできないこと)

    • 有価証券の売買等:株式・債券・投資信託等の売買を業として行うこと。

    • 投資助言業:顧客に対して有価証券への投資に関する助言を業として行うこと(投資顧問契約に基づく有償の助言)。

    • 投資運用業:顧客から資金を預かって運用を行うこと。

  • FPが行えること(金融商品取引法に抵触しない行為)

    • 金融商品の一般的な説明・仕組みの解説:株式・投資信託等の一般的な説明はFPでも可能。

    • ライフプランに基づく資産配分の考え方の説明:具体的な銘柄推薦でなければアドバイス可能。

  • 主な行為規制(登録業者への規制)

    • 適合性の原則:顧客の知識・経験・財産状況・投資目的に適合した勧誘・販売をしなければなりません。

    • 説明義務・書面交付義務:商品の内容・リスクについて事前に書面で説明する義務があります。

    • 断定的判断の提供の禁止:「必ず儲かる」などの断定的表現での勧誘は禁止されています。

FP試験ポイント:「有価証券の投資に関する個別・具体的な助言(投資顧問契約に基づく有償の助言)は投資助言業の登録が必要」「一般的な説明はFPでも可能」の区別が頻出です。

FPと弁護士法

弁護士法では、弁護士でない者が法律事件に関する法律事務(法律相談・法律書類の作成・代理等)を業として行うことを禁じています(非弁行為)。FPは法的問題については弁護士に相談を促すことが重要です。

  • 弁護士でなければできないこと(法律事務)

    • 法律相談:法的な権利・義務・紛争解決に関して個別具体的に回答すること。

    • 法律書類の作成:契約書・遺言書(公正証書遺言の原案等)・内容証明郵便等の法律書類を業として作成すること。

    • 法的手続きの代理:訴訟・調停・交渉等の代理を行うこと。

  • FPが行えること(弁護士法に抵触しない行為)

    • 法律制度の一般的な説明:相続法・契約法等の仕組みを一般的に説明することはFPでも可能。

    • 相続対策の一般的なアドバイス:遺産分割の一般的な方法や活用できる制度を説明することは可能。

FP試験ポイント:「遺産分割協議書の作成代行・遺言書の法的有効性の判断・相続人間の紛争の代理交渉は弁護士でなければできない」「一般的な相続の知識提供はFPでも可能」の区別が頻出です。

FPとその他の関連法規

FPの業務に関連する主なその他の法規です。

  • 社会保険労務士法

    社会保険労務士(社労士)でない者が、労働社会保険諸法令に基づく申請書類の作成・提出代行・相談・指導を業として行うことは禁止されています。
    FPは社会保険・労働保険の一般的な説明は行えますが、具体的な申請書類の作成・提出代行は社労士でなければできません。

  • 宅地建物取引業法

    宅地・建物の売買・交換・賃借の媒介・代理・取引を業として行う場合は宅地建物取引業者としての免許が必要です。不動産の購入・売却のアドバイスをする際は、具体的な取引の媒介・代理は免許業者に任せる必要があります。

  • 個人情報保護法

    FPは業務上、顧客の収入・資産・家族構成・健康状態などの個人情報を取り扱います。個人情報保護法に基づき、利用目的の明示・安全管理措置・第三者提供の制限などが義務づけられています。要配慮個人情報(病歴・障害・犯罪歴等)の取得には原則として本人の同意が必要です。

  • 消費者契約法・金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(金融サービス提供法)

    • 消費者契約法:事業者が消費者に対して不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知等を行った場合、消費者は契約を取り消すことができます。

    • 金融サービス提供法(旧金融商品販売法):金融商品の販売業者等は、顧客に対してリスク等の重要事項を説明する義務があります(説明義務違反があった場合に損害賠償責任を負う)。金融サービス仲介業として銀行・証券・保険を一元的に仲介できる資格(2021年〜)も設けられています。

FP試験ポイント:「社労士でなければ社会保険の申請書類作成・提出代行はできない」「宅建業の免許なく不動産取引の媒介はできない」「個人情報の取扱いには個人情報保護法が適用される」の3点が頻出です。

3. ライフプランニングの考え方・手法

ライフプランニングの目的と効用

ライフプランニングとは、人生の各ステージにおける生活目標を明確にし、その実現に必要な資金計画を立案・実行するプロセスです。将来の収支を可視化することで、今からどのような準備をすべきかを明らかにします。

  • 主な効用

    • 目標の明確化:住宅取得・子どもの教育・老後生活など、ライフイベントにかかる費用と時期を把握できます。

    • 資金不足の早期発見:将来の収支計画を作成することで、資金不足が発生する時期を事前に把握し対策を講じることができます。

    • 優先順位の決定:限られた収入の中で、何を優先して資金を準備するかの判断基準となります。

各ライフステージにおける一般的テーマとライフステージ別資金運用

人生を就学前・学齢期・社会人・子育て・老後などのライフステージに区分し、各段階での主要な財務的テーマを把握することがライフプランニングの出発点です。

  • 主なライフステージと財務テーマ

    • 独身期(就職〜結婚前):生活費の自立・緊急予備資金の確保・資産形成の開始(iDeCo・NISA等の活用)。

    • 新婚期・子育て期:住宅取得資金の準備・生命保険の見直し・教育資金の積立開始。収入に対する支出圧力が高い時期。

    • 子独立後・老後準備期:住宅ローンの完済・老後資金の本格的な積立・相続対策の開始。

    • 退職後(老後):年金収入・資産の取り崩し管理・医療・介護費用の準備・相続・贈与の実行。

  • ライフステージ別の資金運用方針

    若い時期は長期運用が可能なため相対的にリスクを取りやすい(株式等の割合を高める)。老後に近づくにつれてリスク性資産の割合を下げ、安全性・流動性を高める資産配分に移行するのが基本的な考え方です。

  • ライフプラン上の各種統計数値

    平均寿命・健康寿命・合計特殊出生率・世帯数の推移などの統計数値は、ライフプランを策定する際の前提となります。平均寿命(0歳の平均余命)だけでなく、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)との差(約10年)が老後の医療・介護費用を見積もる際の重要な参考値となります。

顧客情報等各種の情報の収集・把握の方法

ライフプランの策定に先立ち、顧客の現状を正確に把握することが必要です。定量的情報と定性的情報の両方を収集します。

  • 定量的情報(数値化できる情報)

    収入・支出・資産・負債・保険の内容(保険料・保障額)・年金加入記録・住宅ローン残高など。

  • 定性的情報(価値観・目標等)

    家族構成・ライフイベントの希望(住宅取得・教育・老後の生活水準等)・リスク許容度・価値観・健康状態など。

  • 情報収集の手段

    ヒアリング(面談)・質問票・関係書類(源泉徴収票・確定申告書・保険証券・預金通帳等)の収集・分析。個人情報保護法に基づき、利用目的を明示の上で取得します。

可処分所得の計算

可処分所得とは、実際に自由に使える手取り収入のことです。キャッシュフロー表の「年間収入」の欄に記入する基礎数値となります。

  • 可処分所得の計算式

    可処分所得=年収(税込み)-(所得税+住民税+社会保険料)
    例:年収500万円・所得税25万円・住民税30万円・社会保険料70万円の場合
    可処分所得=500万円-(25万円+30万円+70万円)=375万円

  • キャッシュフロー表における取り扱い

    キャッシュフロー表では、給与収入は可処分所得(手取り)を記入します。ただし自営業者の場合は売上から経費を差し引いた事業所得を収入として記入することが一般的です。

FP試験ポイント:「可処分所得=年収-(所得税+住民税+社会保険料)」の計算は毎回出題されます。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を合計した社会保険料の控除を忘れずに。

ライフイベント表・キャッシュフロー表の作成

ライフプランの策定に使用する2つの主要なツールです。

  • ライフイベント表

    家族全員の将来のライフイベント(進学・就職・結婚・住宅取得・退職等)を時系列に一覧化した表。各イベントの発生時期と概算費用を記入します。キャッシュフロー表作成の前提となります。

  • キャッシュフロー表の構成と作成手順

    将来の各年の収入・支出・収支・貯蓄残高を一覧にした表。通常5〜10年先まで作成します。
    ①年間収入欄:可処分所得・その他収入(賃料・配当等)を記入。
    ②年間支出欄:基本生活費・住宅ローン返済額・教育費・保険料等を記入。
    ③年間収支:年間収入-年間支出。
    ④貯蓄残高:前年残高×(1+運用利率)+当年収支。

  • キャッシュフロー表の数値の修正

    物価変動(インフレ率)・収入の伸び率・運用利率を考慮して将来の数値を修正します。
    変動率を使った将来価値の計算
    ・収入・支出の将来値=現在の値×(1+変動率)n(n年後)
    ・貯蓄残高の計算:前年残高×(1+運用利率)+当年収支
    例:現在の年間支出300万円が毎年1%上昇する場合、3年後の支出:300万円×1.013309万円

個人のバランスシートの作成

個人のバランスシート(純資産計算表)とは、一定時点における個人の資産・負債・純資産の状況を整理した表です。現在の財務状態を把握するために作成します。

  • バランスシートの構成

    • 資産の部:現金・預貯金・有価証券・不動産・生命保険の解約返戻金など。時価で記入。

    • 負債の部:住宅ローン残高・カードローン残高・その他借入金など。残高で記入。

    • 純資産:資産合計-負債合計。正であれば正味財産がある状態。

  • バランスシート作成の注意点

    • 不動産は時価(市場価値)で記入します(取得価額・固定資産税評価額ではない)。

    • 生命保険は解約返戻金相当額を資産として計上します(死亡保険金額ではない)。

FP試験ポイント:「不動産は時価で記入」「生命保険は解約返戻金を資産に計上」は頻出の引っかけポイントです。

必要保障額の計算

必要保障額とは、世帯主が死亡した場合に遺族が必要とする生活費・教育費等の総支出から、遺族が受け取れる収入(遺族年金・既存の保険金等)を差し引いた不足額のことです。この金額が生命保険で用意すべき保障の目安となります。

  • 必要保障額の計算式

    必要保障額=(遺族の必要生活資金の総額+各種費用)-(遺族年金の総額+既存の預貯金・保険金等)
    遺族の必要生活資金:月間生活費×12か月×遺族の生活年数(末子独立まで・独立後の2段階に分けることが多い)。

  • 計算に含める主な項目

    • 支出側:遺族の生活費(現在の生活費×0.7程度・独立後は0.5程度)・末子の教育費・住宅取得費(または住宅ローン残高)・その他(葬儀費用等)。

    • 収入側:遺族基礎年金・遺族厚生年金・配偶者の収入・既存の預貯金・既存の死亡保険金。

FP試験ポイント:遺族の生活費は「現在の生活費×0.7(現在の生活水準の7割)」を使う場合が多いです。遺族年金の受給有無・住宅ローン残高(団信で完済の場合は支出に含めない)の取り扱いも問われます。

6つの係数の意味と活用

ライフプランの資金計算に使う6種類の係数は、金利(利率)・期間・現在価値・将来価値・年金(一定期間の定期的な積立・取崩し)の関係を計算するための係数表です。

  • ①終価係数(しゅうかけいすう)

    現在の一定金額が将来いくらになるかを求める係数。
    使い方:「現在100万円を年利2%で○年間運用すると?」→ 100万円×終価係数
    公式:(1+r)n (r:年利率、n:期間)

  • ②現価係数(げんかけいすう)

    将来の一定金額を受け取るために、現在いくら必要かを求める係数(終価係数の逆数)。
    使い方:「○年後に1,000万円必要な場合、現在いくら用意すれば?」→ 1,000万円×現価係数
    公式:1÷(1+r)n

  • ③年金終価係数(ねんきんしゅうかけいすう)

    毎年一定金額を積み立てた場合、将来いくらになるかを求める係数。
    使い方:「毎年100万円を年利2%で○年間積み立てると?」→ 100万円×年金終価係数

  • ④減債基金係数(げんさいききんけいすう)

    将来の目標額を積み立てるために、毎年いくら積み立てればよいかを求める係数(年金終価係数の逆数)。
    使い方:「○年後に1,000万円貯めるために、年利2%なら毎年いくら積み立てれば?」→ 1,000万円×減債基金係数

  • ⑤資本回収係数(しほんかいしゅうけいすう)

    現在の一定金額を取り崩す場合(または借入金を返済する場合)に、毎年(毎月)いくら受け取れるか(または返済するか)を求める係数。
    使い方:「退職金2,000万円を年利2%で○年間取り崩すと毎年いくら受け取れる?」「住宅ローンの毎月返済額は?」→ 金額×資本回収係数

  • ⑥年金現価係数(ねんきんげんかけいすう)

    毎年一定金額を受け取るために、現在いくら必要かを求める係数(資本回収係数の逆数)。
    使い方:「年利2%で毎年100万円を○年間受け取るには、今いくら用意すれば?」→ 100万円×年金現価係数

FP試験ポイント:6係数の使い分けは「何を求めるか」で決まります。「現在の一定額→将来:終価係数」「将来の目標額→現在:現価係数」「毎年積立→将来:年金終価」「将来目標→毎年積立:減債基金」「現在の資金→毎年取崩し:資本回収」「毎年受取→現在:年金現価」と整理しましょう。

4. 社会保険

社会保険制度の全体像

社会保険は医療・年金・介護・雇用・労災の5種類から成り、会社員は被用者保険、自営業者等は地域保険に加入します。

  • 5種類の社会保険と主な運営主体

    • 医療保険:全国健康保険協会(協会けんぽ)・健康保険組合・市区町村(国保)・広域連合(後期高齢者)。

    • 年金保険:日本年金機構(国民年金・厚生年金)。

    • 介護保険:市区町村。

    • 雇用保険:国(厚生労働省・公共職業安定所)。

    • 労災保険:国(厚生労働省)。保険料は全額事業主負担。

  • 保険料の負担方法

    • 労災保険:全額事業主負担。

    • 雇用保険:事業主負担>被保険者負担(事業主が多く負担)。

    • 健康保険・厚生年金:事業主と被保険者が折半(各50%)。

    • 介護保険:第1号は年金天引き等、第2号は医療保険料に上乗せ(協会けんぽは折半)。

公的医療保険の全体像・健康保険の仕組み

会社員が加入する健康保険の給付内容です。2級では給付額の計算・標準報酬月額との関係まで正確に把握する必要があります。

  • 自己負担割合

    • 小学校就学前:2割 / 就学後〜69歳:3割 / 70〜74歳:2割(一定以上所得は3割)。

  • 高額療養費の計算

    1か月の自己負担が所得区分に応じた限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
    一般的な所得区分(年収約370〜770万円)の場合:80,100円+(医療費合計-267,000円)×1%が月の限度額の目安。
    直近12か月間で3回以上限度額超えの場合、4回目以降は多数回該当として限度額が引き下げられます。

  • 傷病手当金の計算

    1日あたりの給付額=支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3
    支給期間:休業4日目から通算1年6か月(2022年1月改正:同一疾病での1年6か月に変更)。
    同一疾病で傷病手当金受給後に障害厚生年金・障害手当金を受給する場合は調整あり。

  • 出産に関する給付

    • 出産育児一時金50万円(産科医療補償制度加入の医療機関で出産の場合)。直接支払制度で医療機関に直接支払われることが多い。

    • 出産手当金:産前42日・産後56日の休業期間、標準報酬日額×2/3を給付。

  • 被扶養者の範囲

    3親等内の親族(同居要件あり)で年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)・被保険者の年収の2分の1未満。別居の場合は仕送り額以下が要件。

2級重要ポイント:傷病手当金の計算式(標準報酬月額÷30×2/3)・通算1年6か月・出産育児一時金50万円は計算問題として頻出です。

国民健康保険の仕組み

健康保険等の職域保険に加入していない人が加入する地域保険です。都道府県と市区町村が共同運営します(2018年度〜)。

  • 保険料の計算方法

    世帯単位で①所得割(前年所得に応じた額)、②均等割(加入者数に応じた額)、③平等割(世帯ごとの定額)、④資産割(固定資産税に応じた額・採用しない市町村あり)を合算して計算します。事業主負担はなく全額本人(世帯主)が負担します。

  • 傷病手当金・出産手当金

    国民健康保険では原則として傷病手当金・出産手当金は支給されません(任意給付のため)。ただし新型コロナウイルス感染症対応等の臨時措置として条例で定める場合は支給されることがあります。

退職者及び高齢者向け公的医療制度

退職後・高齢になった場合の医療保険の移行先と選択肢です。

  • 任意継続被保険者制度

    退職後最長2年間、在職中の健康保険を継続できます。
    要件:退職日まで継続2か月以上被保険者であったこと。申請は退職日翌日から20日以内
    保険料:在職中の標準報酬月額と協会けんぽの平均標準報酬月額のいずれか低い方に保険料率を乗じた金額を全額本人が負担(在職時の約2倍)。
    2022年1月〜:任意の脱退が可能になりました(従来は傷病手当金の不支給等の条件変更時のみ脱退可)。

  • 後期高齢者医療制度

    75歳以上(または65〜74歳で一定の障害認定を受けた者)が全員加入する独立した制度。
    自己負担:1割(一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割)。
    保険料:所得割+均等割で計算。年金月額15,000円以上の場合は特別徴収(年金天引き)。
    財源:保険料(約1割)+後期高齢者支援金(若者世代から約4割)+公費(約5割)。

公的介護保険の仕組み

40歳以上の国民が加入する公的保険制度です。2級では要介護認定の流れ・支給限度額・給付の種類まで把握する必要があります。

  • 被保険者の区分と利用要件

    • 第1号被保険者(65歳以上):原因を問わず要支援・要介護認定を受けた場合に利用可。

    • 第2号被保険者(40〜64歳)特定疾病(16疾病)が原因の要支援・要介護の場合のみ利用可(例:初老期認知症・脳血管疾患・関節リウマチ等)。

  • 要介護認定の区分と支給限度額

    要支援1・2(予防給付):区分支給限度額が設定され、その範囲内でサービス利用可。
    要介護1〜5(介護給付):要介護度が高いほど支給限度額が大きくなります(例:要介護1:約166,920円、要介護5:約362,170円/月・2024年度概算)。
    自己負担:原則1割(一定以上所得の第1号は2割または3割)。

  • サービスの種類

    • 居宅サービス:訪問介護・訪問看護・通所介護・短期入所生活介護(ショートステイ)・福祉用具の貸与など。

    • 地域密着型サービス:小規模多機能型居宅介護・グループホーム(認知症対応型)など。

    • 施設サービス:特別養護老人ホーム(要介護3以上が原則)・介護老人保健施設・介護医療院など。

公的医療制度の最近の動向

医療費の増大・高齢化への対応として制度改正が続いています。FPとして最新の改正内容の把握が求められます。

  • 後期高齢者の自己負担2割導入(2022年10月〜)

    単身世帯で年収200万円以上等の後期高齢者の自己負担が1割から2割に。急激な負担増を抑える配慮措置(3年間)あり。

  • 介護保険の負担割合の見直し

    第2号被保険者(40〜64歳)の保険料の総報酬割(報酬が高いほど多く負担する仕組み)が2017年8月〜段階的に導入されました。自己負担2〜3割の対象拡大の議論も継続中。

  • マイナ保険証・医療DX

    マイナンバーカードを健康保険証として使用するマイナ保険証への移行が推進されています。オンライン資格確認の全医療機関への義務化(2023年4月〜)が実施されました。

労働者災害補償保険(労災保険)

業務上・通勤途上の傷病・死亡に対して給付を行う制度です。保険料は全額事業主が負担します。

  • 業務災害と通勤災害の区別

    業務災害:業務遂行中の事故・疾病(業務起因性が必要)。
    通勤災害:住居と就業場所の間の合理的な経路・方法での移動中の事故。寄り道(逸脱・中断)をすると合理的な経路と認められません(日常生活上必要な行為は例外)。

  • 主な保険給付と特別支給金

    • 休業(補償)給付:休業4日目〜給付基礎日額の60%。特別支給金(20%)と合わせて80%相当。

    • 傷病(補償)年金:療養開始後1年6か月経過しても傷病が治癒せず傷病等級に該当する場合に支給(休業給付から切り替わる)。

    • 障害(補償)給付:障害等級1〜7級は年金、8〜14級は一時金。

    • 遺族(補償)給付:遺族数等に応じた年金(受給権者がいない場合は一時金)。

  • 特別加入制度

    • 中小事業主等:常時300人以下(業種によって異なる)の事業主とその家族従事者。

    • 一人親方等:建設業の一人親方・個人タクシー事業者等。

    • 特定作業従事者:農業従事者・内職者等。

雇用保険

失業・育児・介護等の場合に給付する制度です。2級では基本手当の計算・受給期間・各種給付の詳細まで把握する必要があります。

  • 被保険者の種類

    • 一般被保険者:週20時間以上・31日以上雇用見込みの労働者(65歳未満)。

    • 高年齢被保険者:65歳以上の労働者。高年齢求職者給付金(一時金)の対象。

    • 短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者:特定の短期・日雇い労働者。

  • 基本手当の計算と受給

    受給資格:離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(倒産・解雇等の特定受給資格者は1年間に6か月以上)。
    賃金日額=離職前6か月間の賃金÷180
    基本手当日額=賃金日額×給付率(45〜80%・低賃金ほど高率)
    所定給付日数:自己都合退職(一般)は90〜150日。特定受給資格者(倒産・解雇等)は90〜330日(年齢・被保険者期間により異なる)。
    待期7日間(全員)+自己都合は2025年4月1日以降原則1か月の給付制限(離職日からさかのぼって5年間で2回以上は3か月)。

  • 育児休業給付金

    休業開始前2年間に被保険者期間12か月以上が要件。
    給付率:休業開始から180日まで67%、以降50%(手取りで実質8割程度)。
    2025年4月〜:子の出生後一定期間内に両親とも取得した場合、給付率が80%に引き上げ(一定の要件あり)。

  • 教育訓練給付金

    • 一般教育訓練給付:受講費用の20%(上限10万円)。

    • 特定一般教育訓練給付:受講費用の40%(上限20万円)。

    • 専門実践教育訓練給付:受講費用の50%(上限年40万円、資格取得+就職等で70%・上限年56万円)。

2級重要ポイント:「賃金日額=6か月賃金÷180」「特定受給資格者は給付日数が長い・待期1か月なし」「育休給付67%→50%(2025年〜80%)」は計算問題頻出です。

育児休業・介護休業制度

育児・介護休業法に基づく休業制度です。2022年以降の大幅な改正内容も含めて把握する必要があります。

  • 育児休業

    • 取得期間:原則1歳、延長要件を満たせば最長2歳まで。分割して2回取得可能(2022年10月〜)。

    • 産後パパ育休(出生時育児休業):出生後8週間以内に最大4週間(2回分割可)。育児休業給付金(67%)の対象。

    • 育休取得率の公表義務:2023年4月〜常時雇用労働者1,000人超企業。

    • 有期雇用労働者の取得要件緩和:2022年4月〜「1年以上雇用」の要件が廃止(無期雇用と同様に取得可能に)。

  • 介護休業

    要介護状態の家族1人につき通算93日(最大3回分割)取得可能。
    介護休業給付金:休業前賃金の67%を支給。
    介護休暇:年5日(対象家族が2人以上は10日)。時間単位での取得も可能(2021年〜)。

  • その他の両立支援措置

    • 育児のための短時間勤務:3歳未満の子を養育する労働者への1日6時間勤務制度の整備義務。

    • 子の看護休暇:小学校就学前の子1人あたり年5日(2人以上10日)。半日・時間単位での取得可能。

    • 残業免除:3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合の残業免除義務。

2級重要ポイント:「産後パパ育休(出生後8週間・4週間・2回分割)」「育休の2回分割取得(2022年〜)」「介護休業93日・3回分割」は2022年改正の重要論点です。

5. 公的年金

公的年金制度の全体像

日本の公的年金は2階建て構造です。1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金保険です。2024年以降は第3号被保険者制度の見直し議論も進んでいます。

  • 被保険者の3区分と適用範囲

    • 第1号被保険者:自営業者・学生・無職等。定額保険料を自ら納付。

    • 第2号被保険者:会社員・公務員等(70歳未満)。厚生年金保険料に国民年金分が含まれる。

    • 第3号被保険者:第2号に扶養される配偶者(年収130万円未満・20歳以上60歳未満)。保険料負担なし。

  • 財政方式と持続可能性

    賦課方式(現役世代が受給世代を支える)を基本に積立金も活用する修正積立方式。マクロ経済スライド(賃金・物価の上昇率よりも年金改定率を抑えることで給付水準を調整する仕組み)が2004年改正で導入されました。少子高齢化の進展に対応するための自動調整メカニズムです。

  • 基礎年金拠出金

    厚生年金保険から国民年金(基礎年金)への財源移転のしくみ。国庫負担割合は2分の1(2009年〜)。

国民年金

国民年金は20歳以上60歳未満のすべての国内在住者が加入する基礎年金制度です。2級では保険料免除の効果・追納・任意加入まで正確に把握する必要があります。

  • 保険料と付加保険料

    第1号被保険者の定額保険料:2026年度月額17,920円
    付加保険料:月額400円を上乗せして納付すると、老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が加算されます(国民年金基金との選択制)。

  • 保険料の免除・猶予と年金額への影響

    • 全額免除:老齢基礎年金の1/2相当が加算(国庫負担分のみ)。

    • 3/4免除:老齢基礎年金の5/8相当が加算。

    • 半額免除:老齢基礎年金の6/8(3/4)相当が加算。

    • 1/4免除:老齢基礎年金の7/8相当が加算。

    • 学生納付特例・納付猶予:年金額に加算なし(将来追納しない限り満額にならない)。

  • 追納

    免除・猶予を受けた保険料は10年以内であれば追納可能。ただし免除・猶予を受けた年度から3年度目以降は加算金(利子相当)が上乗せされます。

厚生年金保険

会社員・公務員等が加入する2階部分の年金。保険料は事業主と被保険者が折半負担します。

  • 社会保険の適用拡大

    短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大。週所定労働時間20時間以上・賃金月額88,000円以上・2か月超の雇用見込み・学生でないこと、の要件を満たす場合に加入義務あり。
    適用拡大の対象事業所規模:2016年10月(501人以上)→2022年10月(101人以上)→2024年10月(51人以上)と段階的に拡大。

  • 標準報酬月額の決定方法

    • 定時決定:4〜6月の報酬の平均額を等級に当てはめ、9月から翌年8月まで適用。

    • 資格取得時決定:入社時に決定。

    • 随時改定:昇給等で固定的賃金が変動し、変動後の3か月間の平均報酬が現在の等級と2等級以上差がある場合に改定。

  • 保険料率

    標準報酬月額・標準賞与額×18.3%を事業主と被保険者が折半(各9.15%)。育児休業中は申出により保険料免除。

老齢給付(老齢基礎年金・老齢厚生年金)

老後の所得を保障する年金です。2級では年金額の計算・繰上げ繰下げの影響・在職老齢年金まで正確に把握する必要があります。

  • 老齢基礎年金の計算

    年金額=満額×保険料納付済月数(+免除期間の加算月数)÷480か月
    満額(2026年度):年額約840,000円(月額約70,000円)。
    例:35年(420か月)納付の場合:840,000円×420/480≒735,000円

  • 老齢厚生年金の計算(報酬比例部分)

    報酬比例部分=平均標準報酬月額×5.481/1000×2003年3月以前の月数+平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の月数(概略)
    加給年金額:厚生年金加入期間が20年以上で、生計を維持する65歳未満の配偶者がいる場合に加算(年額423,700円等/2026年度)。

  • 繰上げ受給・繰下げ受給

    • 繰上げ:60〜64歳から受給開始。月0.4%減額×繰上げ月数(2022年4月改正)。最大60か月で24%減。障害年金は請求不可に。

    • 繰下げ:66〜75歳まで(2022年4月改正で上限70→75歳に拡大)。月0.7%増額。最大120か月で84%増

  • 在職老齢年金

    65歳以上で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給する場合、(月額賃金+月額年金)の合計が50万円を超える部分の年金が支給停止。
    支給停止額=(標準報酬月額+標準賞与月額÷12+老齢厚生年金月額)×1/2×超過分の調整

2級重要ポイント:老齢基礎年金の計算式(480か月割)・繰上げ0.4%/繰下げ0.7%・在職老齢年金50万円の基準・加給年金額の加算条件は計算問題として頻出です。

障害給付(障害基礎年金・障害厚生年金)

病気・けがによって一定以上の障害が残った場合に支給される年金です。2級では障害の程度・年金額の計算まで把握する必要があります。

  • 受給要件

    • 初診日に国民年金または厚生年金の被保険者であること(または20歳前・60〜65歳の未加入期間も一定の場合に対象)。

    • 保険料納付要件:初診日の前々月までの期間の保険料納付済+免除期間が2/3以上(または直近1年間に未納なし)。

    • 障害認定日に障害等級に該当すること。

  • 障害基礎年金の年金額

    • 1級:老齢基礎年金満額×1.25(+子の加算)

    • 2級:老齢基礎年金満額(+子の加算)

  • 障害厚生年金の年金額

    • 1・2級:報酬比例部分×1.25(1級)または報酬比例部分(2級)。被保険者期間が300月未満の場合は300月に切り上げ計算。配偶者加給年金額あり。

    • 3級:報酬比例部分。最低保証額(障害基礎年金2級の3/4相当)あり。

  • 20歳前傷病による障害基礎年金

    20歳前の傷病による障害でも一定の所得制限のもとで障害基礎年金が支給されます(保険料納付要件は問われない)。

遺族給付(遺族基礎年金・遺族厚生年金)

被保険者または受給者が死亡した場合に遺族に支給される年金です。

  • 遺族基礎年金

    受給者:死亡した人に生計を維持されていた子のある配偶者または子(子は18歳年度末まで・障害者は20歳未満)。
    年金額:老齢基礎年金満額847,300円+子の加算(1・2人目各243,800円、3人目以降各81,300円/2026年度概算)。

  • 遺族厚生年金

    年金額:死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4。被保険者期間が300月未満の場合は300月に切り上げ。
    中高齢寡婦加算:夫が死亡した時に40歳以上65歳未満で子のない妻、または子が18歳到達等で遺族基礎年金を失権した40歳以上の妻に加算(年額612,000円等/2024年度)。65歳以降は経過的寡婦加算に移行。

  • 65歳以降の妻の遺族厚生年金

    65歳以降の妻が自身の老齢厚生年金を受給できる場合、遺族厚生年金の額は①遺族厚生年金と②(遺族厚生年金×2/3+老齢厚生年金×1/2)のいずれか多い方が支給されます(2007年4月改正)。

  • 死亡一時金・寡婦年金

    第1号被保険者として36か月以上保険料を納めた者が年金を受け取らずに死亡した場合の給付(死亡一時金)と、10年以上保険料を納めた夫が年金未受給で死亡した場合の妻への給付(寡婦年金:60〜65歳・夫の老齢基礎年金×3/4・5年間)は選択制です。

併給調整

公的年金は原則1人1年金ですが、65歳以降は一定の組み合わせで複数の年金を受給できます。2級では主要パターンを整理して把握する必要があります。

  • 65歳未満の原則

    老齢・障害・遺族のうち1種類のみ選択。基礎年金と厚生年金は同一事由であれば合わせて受給可(例:老齢基礎+老齢厚生)。

  • 65歳以降の特例

    • 老齢基礎年金+遺族厚生年金:65歳以降は同時受給可能。

    • 老齢基礎年金+障害厚生年金:65歳以降は選択可能(どちらが有利かで選択)。

  • 障害年金と老齢年金の選択

    65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金の同時受給が可能になりました(2006年4月〜)。

離婚時年金分割

離婚時に婚姻期間中の厚生年金の標準報酬を夫婦間で分割できる制度です。基礎年金は分割されません。

  • 合意分割

    当事者の合意(または裁判所の決定)で最大50%まで分割。離婚後2年以内に請求。対象期間:婚姻期間中。

  • 3号分割

    2008年4月1日以降の第3号被保険者期間を対象に一方の請求だけで1/2分割。離婚後2年以内に請求。

年金の請求手続

年金は自動的には支給されず、受給権者自らが裁定請求を行う必要があります。

  • 請求先・請求書類

    • 第1号のみ:市区町村役場。

    • 厚生年金加入期間あり:年金事務所(日本年金機構)。

  • 時効・遡及受給

    年金の消滅時効は5年。ただし初めて受給する場合は時効は問題になりません(受給権発生後5年以内に請求すれば遡及受給可能)。

  • ねんきん定期便・ねんきんネット

    35・45・59歳には詳細版が届き、見込み額を確認できます。ねんきんネットではオンラインで最新の加入記録・見込み額を随時確認できます。

年金生活者支援給付金

公的年金等収入と他の所得の合計が一定基準以下の年金受給者に対して、年金に上乗せして給付される制度(2019年10月〜)です。

  • 老齢年金生活者支援給付金

    65歳以上・老齢基礎年金受給・前年の公的年金等収入+その他所得の合計が基準額(老齢:低所得者基準)以下の者。給付額は保険料納付済期間・免除期間に応じて計算。

  • 障害・遺族年金生活者支援給付金

    障害基礎年金・遺族基礎年金の受給者で前年所得が基準額以下の場合。1級は月額6,638円・2級は5,310円(2024年度概算)。

年金生活者支援給付金は消費税率10%引き上げ(2019年10月)に合わせて導入されました。老齢基礎年金の支払い機関(日本年金機構)から案内が届きます。

6. 企業年金・個人年金等

企業年金の全体像

企業年金は公的年金の3階部分です。確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)の違い・各制度の特徴を正確に把握する必要があります。

  • 企業年金の種類と比較

    • 確定給付企業年金(DB):給付額があらかじめ確定。運用リスクは会社が負担。

    • 企業型DC:掛金が確定。運用リスクは加入者が負担。

    • 厚生年金基金:厚生年金の一部代行+プラスアルファの給付(現在は新設不可・既存は解散・移行推進中)。

厚生年金基金

厚生年金基金とは、厚生年金保険の一部(代行部分)を国に代わって運営しながら、プラスアルファの上乗せ給付を行う制度です。2014年以降は新設が禁止されており、財政悪化した基金は解散が進んでいます。

  • 代行部分と上乗せ部分

    代行部分:老齢厚生年金の報酬比例部分の一部を国に代わって支給(代行返上が可能)。
    上乗せ部分:代行部分に各基金独自の給付を上乗せ。

  • 現状と今後

    2014年の法改正(公的年金制度の健全化及び信頼の確保のための厚生年金保険法等改正法)により、財政状況が悪化した基金は5年以内の解散が義務化されました。代行部分の返上・確定給付企業年金等への移行が進んでいます。

確定給付企業年金(DB)・退職給付会計

確定給付企業年金の仕組みと、財務諸表上の退職給付の取り扱いです。

  • 確定給付企業年金の仕組み(3級版と同等)

    規約型(信託銀行・保険会社等が管理)と基金型(企業年金基金が設立・管理)の2種類。給付額はあらかじめ計算式で確定。老齢給付金・脱退一時金・遺族給付金などがあります。

  • 退職給付会計

    会計基準上、将来の退職給付(退職金・企業年金)の支払見込み額のうち当期末時点で発生していると認められる金額(退職給付債務)を財務諸表に計上することが求められます。
    退職給付債務:将来支払う退職給付額の現在価値(割引率は高質の社債利回り等を参考)。
    年金資産:企業年金に積み立てられた資産(時価評価)。
    退職給付引当金(退職給付に係る負債):退職給付債務-年金資産の差額。
    退職給付費用:当期の費用として損益計算書に計上。

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)

確定拠出年金は掛金が確定し運用結果によって給付額が変わる制度です。2級では運用・給付の詳細まで正確に把握する必要があります。

  • 企業型DC

    掛金の上限:他の企業年金なし→月額55,000円、他の企業年金あり→月額27,500円
    マッチング拠出:加入者が会社掛金に上乗せして自己負担で掛金を拠出できる仕組み(会社掛金を超えない範囲・上限内で)。上乗せ分は小規模企業共済等掛金控除の対象。
    企業型DCにマッチング拠出を採用している場合はiDeCoに同時加入不可(選択制)。

  • iDeCo(個人型DC)の拠出限度額

    • 第1号被保険者(自営業者等):月額68,000円(国民年金基金の掛金と合算)。

    • 第2号:企業年金なし:月額23,000円

    • 第2号:企業型DCのみ:月額20,000円(2024年12月〜引き上げ)。

    • 第2号:DBまたは厚生年金基金あり:月額12,000円

    • 第3号被保険者:月額23,000円

    • 公務員:月額12,000円

  • 運用と給付

    運用商品:元本確保型(定期預金・保険)と価格変動型(投資信託等)から自己選択。
    受給開始年齢:60歳以上(通算加入期間が10年未満の場合、受給開始年齢が段階的に繰り下がる)。
    給付の種類:老齢給付金(一時金または年金)・障害給付金・死亡一時金。
    税制:一時金受取→退職所得控除適用、年金受取→公的年金等控除適用。

2級重要ポイント:iDeCoの職業別拠出限度額・企業型DCのマッチング拠出との関係・受取時の税制(退職所得控除または公的年金等控除)は頻出計算問題です。

確定拠出年金への移行(既存制度からの移行)

厚生年金基金・確定給付企業年金から企業型DCへの移行、および在職中の転職時の資産の取り扱いについての規定です。

  • 他制度からDCへの資産移換

    厚生年金基金・確定給付企業年金から企業型DCへ資産を移換できます(ポータビリティ)。移換された資産はDCの個人勘定で引き続き運用されます。

  • 転職・退職時のポータビリティ

    • 転職先に企業型DCがある場合:前の会社の年金資産を転職先のDCに移換できます。

    • 転職先に企業年金がない場合・退職の場合:iDeCoに資産を移換して引き続き運用できます。

    • 移換しない場合:自動移換(国民年金基金連合会で現金のまま管理されるが、運用されず手数料が引かれる)となります。

その他の年金・退職金制度

中小企業・自営業者向けの退職金・年金制度です。2級では各制度の税制上の取り扱いまで把握する必要があります。

  • 中小企業退職金共済制度(中退共)

    掛金は全額損金算入(法人)または必要経費算入(個人事業主)。掛金月額:5,000〜30,000円(16段階)。国の助成あり(新規加入・掛金増額時)。従業員が退職すると中退共から直接退職金が支払われます。

  • 小規模企業共済制度

    掛金:月額1,000〜70,000円・全額小規模企業共済等掛金控除。廃業・退職時の共済金は退職所得(または事業所得)として課税優遇。解約返戻率:掛金納付期間が短いほど低くなります(20年以上で掛金総額を超える)。貸付制度(掛金の70〜90%・低利)あり。

  • 国民年金基金

    第1号被保険者専用(iDeCoと合算で月額68,000円が上限)。掛金は社会保険料控除の対象。給付タイプ:終身年金(A型・B型)・確定年金(I〜V型)から選択。掛金は年齢・選択タイプによって異なります。

個人年金

老後の所得保障のための私的年金です。2級では各タイプの特徴・税制・受取時の課税区分まで把握する必要があります。

  • 個人年金の主な分類

    • 定額個人年金:予定利率が固定。受取額が契約時に確定。

    • 変額個人年金:株式・債券等で運用、受取額が変動。最低保証死亡給付(GMDB)等が付いていることが多い。

  • 受取期間による分類

    • 確定年金:一定期間受取。受取人死亡後も残期間分を遺族が受取可。

    • 終身年金:生存中一生涯受取。長生きリスクへの備えに最適。

    • 有期年金:一定期間・生存中のみ受取(死亡で終了)。

  • 個人年金の課税区分

    個人年金の受取時の課税は、保険料負担者と受取人の関係によって異なります。
    契約者=受取人:年金受取は雑所得(総合課税)。一時金受取は一時所得
    契約者≠受取人(例:夫が契約・妻が受取):年金受取開始時に贈与税(年金受給権の評価額)が課税され、2年目以降は雑所得。

  • 税制適格要件と個人年金保険料控除

    要件:受取人が契約者または配偶者・払込期間10年以上・受取開始60歳以上・受取期間10年以上。控除額:新制度は最大4万円(所得税)。

財形年金・財形貯蓄制度

勤労者が給与天引きで積み立てる財形貯蓄制度です。財形年金・財形住宅・一般財形の3種類があります。

  • 財形年金貯蓄の非課税枠

    財形住宅貯蓄と合算して元本550万円まで(保険型は385万円)の利子が非課税。60歳以降に5年以上の年金として受取ることが条件。目的外払出しは課税(過去5年分の利子税が課される)。

  • 一般財形貯蓄

    使用目的自由・非課税なし。財形持家融資の対象となる場合あり。

7. 年金と税金

公的年金等に係る税金(課税の仕組み・公的年金等の範囲)

公的年金(老齢年金)は雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。ただし受給額によっては非課税となる場合があります。

  • 公的年金等の範囲

    • 公的年金等に含まれるもの:老齢基礎年金・老齢厚生年金・企業年金(確定給付企業年金・企業型DCの年金受取)・iDeCoの年金受取・小規模企業共済の共済金(年金型)・国民年金基金の年金など。

    • 非課税の年金:障害年金・遺族年金は非課税です(所得税・住民税がかかりません)。

  • 公的年金等の課税の仕組み

    雑所得(公的年金等)=収入金額-公的年金等控除額
    公的年金等控除額は受給者の年齢(65歳未満・65歳以上)と収入金額によって決まります。65歳以上で年金収入が一定額以下の場合は非課税となります。

  • 源泉徴収と確定申告

    年間108万円超(65歳未満は60万円超)の老齢年金には、日本年金機構が源泉徴収(所得税)を行います。
    公的年金等の収入が年間400万円以下かつ他の所得が20万円以下の場合は、確定申告が不要です(ただし医療費控除等を受ける場合は申告が必要)。
    扶養親族等申告書:年金受給者は日本年金機構に提出することで、源泉徴収税額を少なくできます(控除の反映)。

  • 公的年金等控除額の概要

    65歳以上・年金収入330万円以下の場合:控除額110万円(合計所得金額1,000万円以下の場合)。
    65歳未満・年金収入130万円以下の場合:控除額60万円
    合計所得金額が1,000万円超・2,000万円以下・2,000万円超で段階的に控除額が減少します。

FP試験ポイント:「障害年金・遺族年金は非課税」「老齢年金は雑所得として課税」「年金収入400万円以下・他所得20万円以下は確定申告不要」は頻出です。

個人年金に係る税金(掛金・受取金の取り扱い)

個人年金保険の保険料(掛金)と受取金には、それぞれ異なる税の取り扱いが適用されます。

  • 掛金(保険料)の税の取り扱い

    税制適格個人年金(払込期間10年以上・受取開始60歳以上・受取期間10年以上・受取人が契約者または配偶者の要件を満たすもの):個人年金保険料控除(生命保険料控除の一区分)の対象。所得税で最大4万円・住民税で最大2.8万円の控除。

  • 受取金(年金・一時金)の税の取り扱い

    • 年金受取(契約者=受取人):毎年受け取る年金のうち、必要経費(年間年金額に対応する払込保険料)を超える部分が雑所得として課税。

    • 一時金受取(契約者=受取人):受取額から払込保険料を差し引いた差益部分が一時所得として課税(差益-50万円の特別控除後×1/2が課税対象)。

    • 契約者≠受取人:年金受給権の発生時点(年金支払開始時)に年金受給権の評価額に対して贈与税が課税。2年目以降の年金は雑所得として課税。

  • 財形年金の税の取り扱い

    財形年金貯蓄で積み立てた資金を年金として受け取る場合:財形住宅貯蓄と合わせて元本550万円まで(保険型は385万円まで)の利子・収益が非課税。規定の方法(年金形式)以外で払い出すと、過去5年分の利子等に課税されます。

FP試験ポイント:「年金受取は雑所得・一時金受取は一時所得」「契約者≠受取人は年金受給権に贈与税→2年目以降雑所得」「財形年金550万円まで非課税」の3点が頻出です。

企業年金に係る税金

企業年金(確定給付企業年金・確定拠出年金等)の掛金・運用・受取の各段階での税の取り扱いです。

  • 掛金拠出時

    • 会社が拠出する掛金:全額損金算入(法人税の課税対象外)。従業員側は給与課税なし。

    • iDeCoの掛金:全額小規模企業共済等掛金控除(所得控除)として所得税・住民税の課税所得から控除。

    • マッチング拠出分(企業型DC):従業員が上乗せした掛金も全額小規模企業共済等掛金控除の対象。

  • 運用中

    確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の運用益は非課税(通常の金融商品なら約20.315%課税される運用益が非課税となる)。確定給付企業年金の運用益も特別法人税(現在凍結中)を除き課税されません。

  • 受取時

    • 一時金(退職一時金)として受取退職所得として課税。退職所得控除(勤続20年以下:40万円×年数、20年超:800万円+70万円×(年数-20))が適用され、さらに1/2課税で税負担が大幅に軽減。

    • 年金として受取雑所得(公的年金等)として課税。公的年金等控除が適用。

  • iDeCoとDC一時金・退職金の同年受取の注意点

    iDeCoの一時金と勤務先の退職金を同一年に受け取る場合、退職所得控除額の計算に注意が必要です。同一年または翌年以降5年以内に他の退職金等を受け取る場合は、退職所得控除額が通算・調整されます(重複した期間は控除に算入できない)。受取タイミングのずらし方により税負担が大きく変わるため、FPとしてのアドバイスが重要です。

FP試験ポイント:「DCの三重優遇(掛金控除・運用益非課税・受取時優遇)」「一時金は退職所得・年金は雑所得」「iDeCoと退職金の同年受取は退職所得控除の調整に注意」は頻出です。

8-1. 住宅取得プランニング(住宅ローン)

住宅取得の考え方

住宅取得は資産形成・家計管理の観点から総合的に検討する必要があります。購入と賃貸の比較・住宅の種類・返済負担率の目安を把握した上でライフプランを立てます。

  • 返済負担率と購入可能額の計算

    返済負担率(年間返済額÷年収)の目安:25〜30%以内
    購入可能額の目安:年収×5〜6倍程度(ローン以外の自己資金も考慮)。
    諸費用:新築は物件価格の3〜5%・中古は6〜8%程度。頭金の目安は物件価格の2割。

  • 住宅の種類と特徴

    • 新築戸建て:自由度高い・設備最新・価格は高め。

    • 中古戸建て:価格抑えめ・リフォーム費用を考慮。

    • 新築マンション:共用設備充実・管理費・修繕積立金が必要。

    • 中古マンション:価格抑えめ・大規模修繕の状況確認が重要。

住宅購入時の諸費用

住宅購入には物件価格の3〜7%程度の諸費用がかかります。2級では各費用の計算方法まで把握する必要があります。

  • 仲介手数料の計算

    上限額の計算式(売買代金400万円超の場合):売買代金×3%+6万円(税別)。
    例:3,000万円の物件:3,000万円×3%+6万円=96万円(税別)。

  • 印紙税

    売買契約書・ローン契約書等の課税文書に貼付。契約金額に応じた税額(軽減措置あり)。

  • 登録免許税

    • 所有権移転登記(売買):固定資産税評価額×2%(軽減措置:新築住宅等は0.3%)。

    • 所有権保存登記(新築):固定資産税評価額×0.4%(軽減措置:0.15%)。

    • 抵当権設定登記:債権額×0.4%(軽減措置:0.1%)。

  • 不動産取得税

    固定資産税評価額×3%(住宅・土地)。新築・一定規模以上の住宅取得は評価額から1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)を控除する軽減措置あり。

住宅取得のための自己資金の形成プラン

住宅取得に向けた自己資金(頭金)の計画的な準備方法です。

  • 財形住宅貯蓄

    財形年金貯蓄と合わせて元本550万円までの利子非課税。住宅取得・増改築に利用する条件あり。

  • 住宅取得等資金の贈与税非課税特例

    直系尊属からの住宅取得資金贈与:省エネ等住宅1,000万円・その他500万円(2024年度)。暦年課税110万円と組み合わせ最大1,110万円が非課税。

住宅取得と税金

住宅の取得・保有に関わる主な税金と控除制度です。2級では計算問題として出題される内容を正確に把握する必要があります。

  • 固定資産税・都市計画税

    固定資産税=固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
    都市計画税=固定資産税評価額×最高0.3%(市街化区域内のみ)
    住宅用地の特例(1月1日現在で住宅が建っている土地):
    小規模住宅用地(200㎡以下の部分):固定資産税の課税標準が評価額の1/6・都市計画税は1/3
    一般住宅用地(200㎡超の部分):固定資産税の課税標準が評価額の1/3・都市計画税は2/3

  • 住宅ローン控除

    控除額=年末ローン残高×0.7%(上限は省エネ性能・住宅の種類により異なる)
    控除期間:新築住宅等(省エネ基準適合)13年間・中古住宅10年間(省エネ基準不適合の新築住宅は適用不可)。
    本人の合計所得金額:2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)。
    借入限度額(省エネ性能別):長期優良・低炭素4,500万円 / ZEH水準3,500万円 / 省エネ基準3,000万円 / 中古2,000万円。

2級重要ポイント:固定資産税の小規模住宅用地(1/6)・一般住宅用地(1/3)の区分・住宅ローン控除0.7%×借入限度額の組み合わせは計算問題頻出です。

住宅ローンの仕組み

住宅ローンの返済方法・金利・毎月返済額の計算が2級の重要論点です。

  • 元利均等返済と元金均等返済の比較

    • 元利均等返済:毎月返済額=一定。利息の支払いが多い初期は元金の減りが遅い。総利息は元金均等より多い。

    • 元金均等返済:毎月の元金返済額=一定(利息は減少するため返済額は初期が最大)。総利息は元利均等より少ない。初期の返済負担が大きい。

  • 毎月返済額の計算

    元利均等返済の毎月返済額は資本回収係数を使って計算します。
    毎月返済額=借入金額×資本回収係数(月利・返済月数に対応する係数)
    例:借入3,000万円・年利2%・35年返済(420か月)の場合、月利0.167%に対応する資本回収係数を乗じて計算。

  • 変動金利型の注意点

    変動金利型は半年ごとに金利が見直され、毎月の返済額は5年ごとに変更される(5年ルール)。返済額変更時の上限は従前の1.25倍まで(125%ルール)。急激な金利上昇の場合、返済額内で利息が支払えず元金が減らない(マイナス償還)リスクあり。

住宅ローンの種類と内容

住宅ローンの種類別の特徴と主な条件です。

  • 民間住宅ローン

    銀行・信用金庫・保険会社・ノンバンク等が提供。金利・審査基準・手数料は各社で異なります。変動・固定・固定期間選択型から選べます。

  • フラット35

    住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による全期間固定金利の長期ローン。
    主な条件:融資限度額8,000万円・返済期間最長35年・融資率90%超(頭金10%未満)は金利が高くなる・団信は原則加入。
    フラット35S:省エネ・耐震等の一定基準を満たす住宅は当初10年(または5年)金利を低減する特典あり。

  • 財形住宅融資

    財形貯蓄1年以上・残高50万円以上の勤労者が利用可。融資限度額:財形貯蓄残高の10倍以内かつ4,000万円以内。5年固定金利(5年ごと見直し)。

  • 団体信用生命保険(団信)

    住宅ローンの返済中に借主が死亡・高度障害になった場合に残債を保険金で完済する保険。民間ローンは加入が条件(保険料は金利に含まれるケースが多い)。フラット35は任意加入(保険料は別途)。がん特約付きや三大疾病付き等もあります。

住宅ローンの借換え

借換えの効果を数値で判断できる能力が2級では求められます。

  • 借換えの効果の目安

    金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上の3要件を目安に判断します。

  • 借換えの効果の計算

    借換えによる総返済額の減少額=現在のローンで今後支払う総額-借換え後のローンで今後支払う総額-諸費用。
    諸費用:繰上げ返済手数料(現ローン)+事務手数料・保証料(新ローン)+登記費用(抵当権抹消+設定)。

  • 住宅ローン控除との関係

    借換えをしても引き続き住宅ローン控除の適用を受けられますが、借換えローンが旧ローンの返済のためのものであると認められる必要があります(増額した部分は対象外)。

住宅ローンの繰上げ返済

繰上げ返済の2種類の方法と、住宅ローン控除との最適な組み合わせを判断できることが重要です。

  • 期間短縮型と返済額軽減型の比較

    • 期間短縮型:返済期間を短縮。繰上げた元金に対する残期間の利息全額が削減されるため利息節約効果が大きい

    • 返済額軽減型:期間は変わらず毎月の返済額を減らす。利息節約効果は期間短縮型より小さいが、毎月のキャッシュフローが改善する。

  • 住宅ローン控除と繰上げ返済のトレードオフ

    住宅ローン控除適用中(年末残高×0.7%を控除)は、残高が多いほど控除額が大きくなります。繰上げ返済で残高を減らすと控除額が減少するため、繰上げ返済による利息節約額と住宅ローン控除の減少額を比較して判断します。
    一般的に、住宅ローン控除率(0.7%)よりも借入金利の方が高い場合は繰上げ返済が有利なケースが多いです。

2級重要ポイント:「期間短縮型が利息節約効果大」「控除率0.7%と借入金利の比較で繰上げの有利不利を判断」は計算問題に直結する論点です。

住宅の買換え・建替え・リフォーム・バリアフリー化等

ライフステージの変化に伴う住み替え・リフォームに関わる税制と資金計画です。

  • 居住用財産の買換えに関わる税制

    • 3,000万円特別控除:居住用財産の売却益から最高3,000万円を控除(所有期間問わず)。

    • 軽減税率の特例:所有期間10年超の居住用財産の売却は長期譲渡所得の税率が軽減(6,000万円以下の部分は14.21%)。

    • 特定の居住用財産の買換えの特例:所有期間10年超・居住期間10年以上等の要件を満たす場合、売却益課税を繰り延べる(3,000万円特別控除との選択)。

  • リフォームローンと税制

    增改築・バリアフリー改修・省エネ改修を住宅ローンで行う場合は住宅ローン控除(0.7%・10年間)の対象。各改修の税額控除(バリアフリー改修・省エネ改修・耐震改修促進税制)との併用可否も確認が必要です。

8-2. 資金計画(教育)

教育プランと教育費

子どもの教育費は住宅取得・老後資金と並ぶ「人生の三大支出」の一つです。学校の種別(公立・私立)や進路によって必要額が大きく異なるため、早期から計画的な準備が必要です。

  • 主な教育費の目安(文部科学省「子供の学習費調査」等より)

    • 幼稚園〜高校まで(15年間):すべて公立の場合:約574万円。すべて私立の場合:約1,838万円程度(年度により変動)。

    • 大学(4年間):国立大学:約250万円(入学金+授業料)。私立文系:約420万円程度。私立理系:約540万円程度。

  • 教育費の特徴

    教育費は進学の時期が概ね決まっているため、いつ・いくら必要かを把握しやすく、計画的な積立が可能です。大学入学時が最大の支出ピークになります。

教育資金の形成プラン

教育費は必要になる時期が明確なため、目標額・積立期間・運用利率から必要な積立額を計算し、適切な積立手段を選択することが重要です。

  • 主な積立手段

    • こども保険(学資保険):子どもの進学時期に合わせて満期金・祝い金が支払われる保険。保険料払込免除特則(被保険者=親が死亡・高度障害の場合に以後の保険料が免除)が付いているものが多い。

    • 低解約返戻金型終身保険:払込期間中は解約返戻金が低く設定されているが、払込満了後は増加する保険。教育費の積立に活用されることがある。

    • NISA(つみたて投資枠等):長期の積立投資で教育資金を形成する方法。運用成果が非課税になるメリットがある。

    • 教育資金の一括贈与の特例:直系尊属から30歳未満の子・孫への教育資金一括贈与(1,500万円まで非課税)。金融機関経由の信託等が必要(適用期限は延長中)。

  • 積立額の計算

    目標額が決まっている場合:目標額×減債基金係数=毎年(毎月)の積立額
    例:10年後に300万円を年利1%で積み立てる場合:300万円×減債基金係数(10年・1%)≒毎年約28.6万円

学資保険の保険料払込免除特則は、親に万が一のことがあっても教育費の積立が続けられる点がメリットです。

教育ローン・奨学金

積立だけで教育費を賄えない場合は、教育ローンや奨学金を活用します。返済義務の有無・利率・対象を正確に把握することが重要です。

  • 国の教育ローン(日本政策金融公庫)

    融資限度額:子ども1人あたり350万円(一定の条件下で450万円)。金利:固定金利(年利1〜3%程度)。返済期間:最長18年。世帯年収に上限あり。在学中は利息のみ返済も可能。

  • 民間の教育ローン

    銀行・信用金庫等が提供。金利・限度額は各金融機関により異なります。国の教育ローンと比べ金利が高めのことが多い。

  • 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

    • 給付型奨学金:返済不要。住民税非課税世帯等の低所得世帯の学生が対象(2020年〜拡充)。

    • 第一種奨学金(無利子):成績・家計状況の要件あり。返済不要ではなく貸与型(返済義務あり)。

    • 第二種奨学金(有利子):第一種より要件が緩やか。利率は年3%上限の変動または固定から選択。

FP試験ポイント:「国の教育ローン(公庫)の限度額350万円・最長18年」「第一種奨学金は無利子・貸与型(返済義務あり)」「給付型奨学金は返済不要」の区別が頻出です。

8-3. 資金計画(リタイアメント)

リタイアメントプランニング(老後生活の必要資金と準備)

リタイアメントプランニングとは、退職後の生活設計と必要な資金を把握し、現役時代から準備を進めるためのプロセスです。公的年金だけでは生活費を賄えないケースが多いため、自助努力による準備が不可欠です。

  • 老後の生活費の把握

    総務省「家計調査」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上・妻60歳以上)の毎月の平均支出は約26〜28万円程度。これに対して公的年金等の収入を差し引いた不足分が毎月生じる場合、老後の期間を通じて大きな資金需要となります。

  • 必要老後資金の計算

    必要老後資金の概算:
    月間不足額×12か月×老後の期間(年)
    例:月3万円不足×12か月×30年=1,080万円
    より精緻な計算には年金現価係数を活用します。
    例:月3万円(年36万円)の不足が30年間続く場合、運用利率1%なら:36万円×年金現価係数(30年・1%)

  • 老後資金の準備手段

    • 公的年金の繰下げ受給:65歳以降に繰下げるほど月0.7%増額(最大75歳まで84%増)。長生きするほど有利になります。

    • iDeCo・企業型DCの活用:掛金の所得控除・運用益非課税・受取時優遇の三重優遇を活用した積立。

    • NISA(成長投資枠・つみたて投資枠):非課税での長期・分散投資による資産形成。老後資金として積み立てつつ、必要時に非課税で引き出せます。

    • 退職金・企業年金:退職所得控除で税優遇される退職一時金や、企業年金の活用。

  • 老後資金プランの作成

    退職後のキャッシュフロー表を作成し、①公的年金受給開始前の収入ゼロ期間(60〜65歳)の生活費確保、②公的年金受給後の不足分の取り崩し計画、③医療・介護費用の増加への対応(80歳以降)の3段階を考慮します。
    資産の取り崩し計算:保有資産×資本回収係数=毎年受け取れる金額(一定期間取り崩す場合)。

  • リタイアメント前後の保険の見直し

    退職後は収入が減少するため、過剰な保険料負担は避けるべきです。死亡保障の必要性は低下する一方、医療・介護保障のニーズが高まります。また健康保険は退職後に国民健康保険への切り替えや任意継続(最長2年間)を選択します。

FP試験ポイント:「老後資金の不足額計算に年金現価係数を使う」「繰下げ受給は月0.7%増額」「60〜65歳の年金なし期間の資金確保が盲点」の3点が頻出です。

9. ローンとカード

クレジットカードの種類と特徴

クレジットカードは、加盟店での商品・サービスの購入代金を後払いで決済できる仕組みです。カード会社(イシュアー)が立替払いを行い、後日利用者に請求します。

  • カードの発行主体による分類

    • 銀行系カード:都市銀行・地方銀行等が発行または提携。信用力が高く審査が厳しめ。

    • 流通系カード:百貨店・スーパー等が発行。自社店舗での特典・ポイントが充実。

    • 信販系カード:信販会社(JCB・オリコ等)が発行。ショッピングローン機能を持つものも多い。

    • 交通系カード:交通機関(JR・地下鉄等)が発行。定期券機能・電子マネー機能と一体化。

    • 提携カード:カード会社とブランド・企業が提携して発行。特定の加盟店での特典が充実。

  • 国際ブランド

    Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Club など。同一ブランドであれば世界中の加盟店で利用できます。

  • 付帯機能の種類

    • ポイント・マイル:利用金額に応じてポイント・マイルが貯まる。

    • 旅行保険・ショッピング保険:海外・国内旅行傷害保険やショッピング購入品の損害補償が付帯するカードが多い。

    • ETCカード:高速道路のETC利用に対応。

クレジットカードの利用上の留意点

クレジットカードは便利な反面、支払方法・金利・不正利用等に関する注意が必要です。

  • 主な支払方法

    • 一括払い(翌月払い):手数料なし。最もシンプルな支払方法。

    • 分割払い:3回・6回・12回等に分けて支払う。手数料(実質年率15%程度)がかかります。

    • リボルビング払い(リボ払い):毎月一定額を支払う方式。残高に対して高い手数料(実質年率15〜18%程度)がかかり、残高がなかなか減らないリスクあり。

    • 2回払い・ボーナス払い:手数料なしのカードが多い。

  • キャッシング

    ATMで現金を借りる機能。高い金利(実質年率18%前後が上限)がかかります。貸金業法上、年収の3分の1を超える借入はできません(総量規制)。

  • クレジットカードの不正利用とセキュリティ

    不正利用の被害にあった場合は、速やかにカード会社に連絡することで一定の補償を受けられます。三者への譲渡・担保設定は禁止されています。

  • クレジットカードの法的性質

    クレジット契約は割賦販売法の適用を受けます。2か月以上かつ3回以上の分割払いは割賦販売に該当します。クーリングオフは、訪問販売等によるクレジット契約で適用される場合があります(通常のカード申込には適用なし)。
    個品割賦購入あっせん(マイカーローン等)では、加盟店が倒産した等の場合に購入者はクレジット会社への支払いを拒絶できる抗弁の接続が認められています。

FP試験ポイント:「リボ払いは実質年率15〜18%・残高が減りにくい」「キャッシングは年収の3分の1が上限(総量規制)」「抗弁の接続はクレジット払いの場合に購入者を保護する制度」は頻出です。

キャッシュレス決済等の新たな決済手段

現金を使わないキャッシュレス決済が急速に普及しています。主な決済手段の仕組みと特徴を把握しておく必要があります。

  • 電子マネー

    • プリペイド型(前払い):Suica・PASMO・nanaco・WAON等。事前にチャージして利用。チャージ残高は原則保護されない(預金保険の対象外)。

    • ポストペイ型(後払い):iD・QUICPay等。クレジットカードと紐づけて後払いする方式。

  • QRコード・バーコード決済

    PayPay・楽天Pay・au Pay・d払い等。スマートフォンのアプリを使ってQRコード・バーコードで決済。チャージ残高型・クレジットカード紐づけ型・銀行口座紐づけ型などがある。ポイント還元キャンペーンが充実していることが多い。

  • デビットカード

    利用と同時に預金口座から即時引き落とされるカード。Jデビット(国内規格)とVisaデビット・Mastercardデビット(国際ブランド付き)がある。与信審査不要で作りやすい反面、口座残高を超えて利用できない。

  • プリペイドカード

    事前に金額をチャージして使うカード(Visaプリペイド・Mastercard プリペイド等)。与信審査不要・使いすぎ防止に有効。

「電子マネーのチャージ残高は預金保険の対象外」「デビットカードは即時引落し・残高の範囲内でのみ利用可能」「QRコード決済は主に前払い・後払い・即時払いの三方式」の区別が重要です。

各種消費者向け無担保ローンの仕組みと特徴

住宅ローン以外の消費者向けローンです。金利が高めで審査が比較的簡易なものから、低金利で審査が厳しいものまで様々な種類があります。

  • 銀行系カードローン・フリーローン

    銀行が提供する個人向け無担保ローン。消費者金融より金利は低め(実質年率3〜14%程度)だが審査に時間がかかる場合がある。総量規制の対象外(銀行法適用)。

  • 消費者金融(サラ金)

    即日融資・少額から利用可能な反面、金利が高い(実質年率最大18%:貸金業法の上限金利)。貸金業法の適用を受け、年収の3分の1を超える貸付は禁止(総量規制)。

  • 目的別ローン

    • マイカーローン:自動車購入専用。フリーローンより低金利。

    • 教育ローン:教育費専用(国の教育ローン・銀行の教育ローン等)。

    • 医療・介護ローン:医療費・介護費用専用。

  • 貸金業法の主な規制

    • 総量規制:貸金業者(消費者金融・クレジット会社のキャッシング等)からの借入総額が年収の3分の1を超えてはいけない。住宅ローン・自動車ローン等は対象外。

    • 上限金利:利息制限法(元本に応じて15〜20%)・出資法(20%)の二つの法律で規制。貸金業者はいずれも超えてはいけない。

    • グレーゾーン金利の撤廃:2010年以前は利息制限法の上限金利(15〜20%)と出資法の旧上限金利(29.2%)の間の「グレーゾーン金利」が存在していましたが、2010年の改正で撤廃されました。

  • 多重債務と過払い金問題

    複数のローンを抱えて返済困難になる多重債務の解決策として、任意整理・個人再生・自己破産等の債務整理手続きがあります。グレーゾーン金利で支払ってきた場合の過払い金返還請求(消滅時効:最終返済日から10年)も重要な知識です。

FP試験ポイント:「消費者金融の上限金利18%(貸金業法)」「総量規制=年収の3分の1まで(銀行ローンは対象外)」「グレーゾーン金利は2010年に撤廃済み」の3点が頻出です。

10. ライフプランニングと資金計画の最新の動向

資産所得倍増プランとNISA・iDeCoの拡充

政府の「資産所得倍増プラン」に基づき、2024年から新NISAが開始され、iDeCoも拡充されました。「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる施策として、FPとして正確な制度理解が求められます。

  • 新NISAの主な変更点(2024年〜)

    • 非課税保有期間:無期限化(旧:一般NISA5年・つみたてNISA20年)。

    • 年間投資枠:つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=最大360万円

    • 生涯非課税限度額1,800万円(うち成長投資枠の上限1,200万円)。

    • 売却後の枠の再利用:翌年に取得価額分の枠が復活(旧NISAにはなかった機能)。

  • iDeCoの拡充(2024年12月〜)

    企業型DCとiDeCoの合算上限が月額55,000円(年金払い給付なし企業)に拡大。受給開始年齢の上限が75歳まで延長。

  • FPとしてのアドバイス

    • NISA口座の損失は損益通算・繰越控除不可:値下がりリスクの高い商品のNISA活用は慎重に。

    • つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け:長期積立はつみたて枠・個別株・ETFは成長投資枠を活用。

    • 出口戦略:課税口座の資産を先に取り崩し、NISA口座の非課税メリットを最大限に活用する。

年金制度の改正動向

少子高齢化・就業形態の多様化に対応した年金制度の見直しが進んでいます。

  • 社会保険の適用拡大

    短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大。対象事業所規模:2016年10月(501人以上)→2022年10月(101人以上)→2024年10月(51人以上)と段階的に拡大。将来的にはさらなる拡大(従業員数要件の撤廃等)も議論されています。

  • 在職老齢年金の見直し

    65歳以上の在職老齢年金の支給停止基準額が50万円(月額)に統一されました(2022年4月〜、従来は60〜64歳が28万円・65歳以上が47万円)。高齢者の就労意欲を損なわない制度への見直しです。

  • 繰下げ受給の上限引き上げ

    老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられました(2022年4月〜)。75歳まで繰下げると最大84%増額

  • iDeCoと企業年金一時金の同年受取問題

    iDeCoの一時金と勤務先の退職金を同一年または5年以内に受け取る場合、退職所得控除額の通算調整が必要です。受取タイミングの最適化(5年超ずらす等)がFPとしての重要なアドバイス事項です。

育児休業給付の拡充・子育て支援の強化

少子化対策として、育児休業給付の拡充と子育て支援施策が強化されています。

  • 育児休業給付率の引き上げ(2025年4月〜)

    両親ともに育児休業を取得した場合、子の出生後一定期間内に給付率が休業前賃金の80%相当(手取りでほぼ10割)に引き上げられる予定です(一定の要件あり)。

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の活用促進

    2022年10月から施行された産後パパ育休(子の出生後8週間以内に最大4週間取得・2回分割可)の活用が推進されています。2023年4月〜従業員1,000人超の企業は育休取得率の公表が義務化されました。

  • 児童手当の拡充(2024年10月〜)

    所得制限の撤廃・支給対象年齢の引き上げ(中学生まで→高校生年代まで)・第3子以降の加算増額(月3万円)など。子育て世帯への経済支援が強化されています。

高齢者雇用・リタイアメントプランの動向

高齢化の進展とともに、65歳以降も働き続ける環境整備や、多様な老後の選択肢が広がっています。

  • 高年齢者雇用安定法の改正

    70歳までの就業機会確保が事業主の努力義務とされました(2021年4月〜)。対応策として①定年の70歳までの延長、②定年廃止、③継続雇用制度の70歳までの延長、④他企業への再就職支援、⑤業務委託契約等の締結、⑥社会貢献活動への参加支援の6つの措置が示されています。

  • リバースモーゲージ

    自宅を担保に金融機関から資金を借り入れ、毎月の生活費等に充てる資金調達手段。死亡時または契約終了時に自宅を処分して一括返済します。メリット:自宅に住み続けながら老後資金を確保できる。デメリット:住宅価格の下落リスク・長生きリスク(長生きすると担保不足になる可能性)。

  • 老後の住まいの選択肢

    • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):バリアフリー構造・安否確認・生活相談サービス付きの賃貸住宅。

    • 有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型):入居一時金が高額になる場合がある。

    • 認知症対応型グループホーム:認知症の方が少人数で共同生活する施設。要支援2以上が対象。

キャッシュレス化・フィンテックの進展

決済・資産管理・融資などの金融サービスが急速にデジタル化しています。FPとして顧客への適切なアドバイスのためにフィンテックの動向を把握することが重要です。

  • キャッシュレス比率の上昇

    日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にする目標を掲げています。QRコード決済・電子マネーの普及によりキャッシュレス比率が上昇しています(2023年時点:約40%程度)。

  • 家計管理ツールの活用

    マネーフォワードME・Zaim等の家計管理アプリやロボアドバイザー(ウェルスナビ・THEO等)による自動資産運用サービスが普及しています。FPは顧客がこれらのデジタルツールを活用してライフプランを管理できるよう支援することも役割のひとつです。

  • 個人情報保護とデータ活用

    金融機関のオープンAPI・マイナンバーと銀行口座の連携推進により、より精度の高い家計管理・資産状況の把握が可能になりつつあります。一方でサイバーセキュリティ・個人情報漏洩リスクへの注意も必要です。

ライフプランに影響する社会変化の動向

少子高齢化・働き方改革・物価上昇など、ライフプランの前提となる社会的変化が続いています。

  • 物価上昇(インフレ)への対応

    2022年以降の物価上昇(消費者物価指数の上昇)により、キャッシュフロー表の支出欄の変動率を見直す必要があります。現金・預貯金だけでは実質的な資産価値が目減りするリスクが高まり、インフレに強い資産(株式・不動産・物価連動国債等)への分散投資の重要性が再認識されています。

  • 賃金の引き上げ動向

    最低賃金の引き上げ(2025年度:全国加重平均1,121円)や春闘での賃上げ(2026年:平均5%超)が続いており、キャッシュフロー表の収入の変動率を上方修正する場面も増えています。ただし実質賃金(インフレ率を差し引いた賃金)の動向も注視する必要があります。

  • 働き方改革と副業・フリーランス

    副業解禁・テレワーク普及・フリーランス法(2024年11月施行)など働き方の多様化が進んでいます。副業収入の確定申告・社会保険の適用判定など、従来の会社員モデルと異なる税・保険の取り扱いについてのFPアドバイス需要が高まっています。

ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。


住宅ローン計算ツール

NISA / iDeCo 積立シミュレーター

ポートフォリオ効率フロンティア可視化ツール


ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。