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ファイナンシャル・プランニング技能検定

C

金融資産運用(1)

FP3級学科試験主要用語集2026

「お金をどこに、どう運用するか」の基礎知識を、経済の動きから個別商品まで幅広く概略レベルで学びます。

テーマ1「マーケット環境の理解」では、株式・債券・為替・金利がそれぞれ何によって動き、互いにどう連動するかを学びます。景気動向指数・GDP・マネーストックなどの経済指標も対象です。ただし3級では変動要因の基本的な方向性を把握する概略レベルが求められます。

テーマ2「預貯金・金融類似商品等」では、普通預金・定期預金などの預貯金に加え、純金積立・抵当型商品・信託商品など金融類似商品の特徴を概略として押さえます。

テーマ3「投資信託」は3級でも比較的出題比率が高いテーマです。投資信託の仕組み(委託者・受託者・受益者の三者関係)、コスト(購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額)、公募/私募・公社債/株式・単位型/追加型などの分類、ETFの特徴を概略として理解します。

テーマ4「債券投資」では利回りと価格の逆方向の関係・債券の種類・信用リスク・利回り計算の基本を学びます。テーマ5「株式投資」ではPER・PBR・ROEなどの投資指標の意味と株式市場・株価指数の基本知識を概略として押さえます。

1. マーケット環境の理解

主要マーケットの特徴と相互関係

金融市場は株式・債券・為替・金利・商品(コモディティ)など複数のマーケットで構成されており、それぞれが密接に連動しています。

  • 株式市場

    企業の株式が売買される市場。企業業績・景気・金利・為替などを反映して価格が変動します。景気拡大期には上昇しやすく、後退期には下落しやすい傾向があります。

  • 債券市場

    国債・社債などが売買される市場。金利と価格が逆方向に動くのが最大の特徴です。景気後退期には安全資産として買われやすく、価格が上昇します。

  • 為替市場

    異なる通貨が売買される市場。金利差・経常収支・リスク選好などによって為替レートが変動します。円安は輸出企業の業績向上を通じて株価にプラスに働く一方、輸入物価を押し上げます。

  • 商品(コモディティ)市場

    金・原油・穀物などが取引される市場。インフレ局面や地政学的リスクが高まると金(ゴールド)が安全資産として買われる傾向があります。

  • 主要な相互関係

    • 金利上昇→ 債券価格下落・株式に下押し圧力・円高要因。

    • 景気拡大→ 株式上昇・債券売られる(金利上昇)・円安になりやすい。

    • リスク回避→ 株式売り・安全資産(国債・金・円)買い。

経済成長率・国内総生産(GDP)

GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内で生産されたすべての財・サービスの付加価値の合計です。経済規模を示す最も基本的な指標であり、前期比・前年比の変化率を経済成長率といいます。

  • 名目GDPと実質GDP

    名目GDPは市場価格で計算した金額。実質GDPは物価変動の影響を除いた金額で、景気の実態をより正確に反映します。経済成長率は通常、実質GDPの変化率で示されます。

  • 市場への影響

    GDPが予想を上回れば景気回復の期待から株式が買われやすくなります。反対に大幅な下落(マイナス成長が2四半期連続)は景気後退(リセッション)とみなされます。

景気動向指数

景気動向指数とは、複数の経済指標を統合して景気の現状・方向性を把握するための指標です。内閣府が毎月公表します。

  • 先行指数・一致指数・遅行指数

    • 先行指数:景気の方向を数か月先に示す指標(例:新規求人数・東証株価指数等)。

    • 一致指数:景気の現状と一致して動く指標(例:鉱工業生産指数・有効求人倍率等)。

    • 遅行指数:景気の動きに数か月遅れて反応する指標(例:家計消費支出・完全失業率等)。

  • CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)

    CIは指標の変化量を合成し景気変動の大きさを示します。DIは改善した指標の割合を示し、50%超で景気拡張を意味します。現在はCIが中心的指標として使用されています。

日銀短観・業況判断DI

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日本銀行が四半期ごと(3月・6月・9月・12月)に実施する企業へのアンケート調査です。企業の景況感を把握する代表的な指標で、国内外の金融市場に大きな影響を与えます。

  • 業況判断DI

    「業況が良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。プラスであれば景況感が良いことを示します。大企業製造業の業況判断DIが特に注目されます。

  • 市場への影響

    発表された業況判断DIが市場予想を上回ると株高・円安要因になりやすく、下回ると株安・円高要因になりやすい。

景気循環

景気循環とは、景気が拡張(好況)・後退・谷(不況)・回復という四局面を繰り返す現象です。各局面で株式・債券・為替への影響が異なります。

  • 四局面と各資産への影響

    • 回復期:景気が底を打ち上向き始める。株式が上昇し始め、金利は低水準。

    • 拡張期(好況):企業業績拡大・雇用増加。株式が高値圏、金利が上昇、債券価格が下落しやすい。

    • 後退期:景気が頭打ちとなり下降。株式が下落し始め、安全資産(国債・金)が買われる。

    • 谷(不況):景気が底。金利が低下し、債券価格が上昇。次の回復期への準備段階。

景気循環の波にはコンドラチェフ波(約50年)・クズネッツ波(約20年)・ジュグラー波(約10年)・キチン波(約40か月)等の種類があります。FP試験では局面別の資産への影響が出題されます。

マネーストック

マネーストックとは、金融機関以外の経済主体(個人・企業・地方公共団体等)が保有する通貨(現金・預金等)の残高合計です。日本銀行が毎月公表します。

  • 主な指標(M1・M2・M3)

    • M1:現金通貨+預金通貨(普通預金・当座預金等)。最も流動性が高い。

    • M2:M1+準通貨(定期預金等)+CD。国内銀行等が対象。

    • M3:M2に信用金庫・農協等を加えた最も広い指標。

  • マネーストックと景気・物価の関係

    マネーストックが増加すると、市場に流通するお金が増え、景気刺激・インフレ圧力につながります。日本銀行の金融緩和政策(量的緩和等)はマネーストックの増加を通じて景気に影響を与えます。

個人消費関連指標・その他の経済指標

GDP全体の約6割を占める個人消費の動向を把握する指標や、その他の代表的な経済指標を整理します。

  • 個人消費関連指標

    • 消費者態度指数:消費者の景況感・購買意欲を示す指数(内閣府調査)。

    • 家計調査:総務省が毎月公表する家計の収入・支出状況。

    • 小売業販売額・百貨店・コンビニ売上:個人消費の実態を直接示す指標。

  • その他の主要経済指標

    • 消費者物価指数(CPI):家計が購入する財・サービスの価格変動。インフレ・デフレの判断に使用。

    • 企業物価指数(PPI):企業間で取引される財の価格変動。CPI の先行指標となる場合があります。

    • 完全失業率・有効求人倍率:雇用情勢を示す指標。景気の遅行指標。

    • 鉱工業生産指数:製造業の生産活動水準を示す指標。景気の一致指標。

    • 貿易収支・経常収支:輸出入の差額。経常収支の黒字は円高要因になりやすい。

金利の決まり方

金利とは、資金の貸し借りに対して支払われる対価(利子)の割合です。金利は資金の需要と供給のバランス、中央銀行の政策、期待インフレ率などによって決まります。

  • 短期金利

    満期1年未満の金融取引に適用される金利。日本銀行の政策金利(無担保コール翌日物金利)が代表例で、日銀が金融市場調節で誘導します。

  • 長期金利

    満期1年超(通常10年物国債利回りを指標とする)の金利。市場参加者の将来の景気・インフレ・短期金利の予想によって決まります。10年国債利回りが長期金利の代表的な指標です。

  • 金利の決定要因

    • 資金需給:資金需要が増えると金利は上昇し、資金が余れば低下します。

    • 期待インフレ率:インフレが予想されると、実質価値を守るため名目金利が上昇します。

    • 日銀の金融政策:政策金利の誘導や国債買入れ(量的緩和)によって金利水準に影響します。

為替・金利の変動要因

為替レートと金利はともに複数の要因によって変動し、互いに影響を与え合います。

  • 為替変動の主な要因

    • 金利差:日米金利差が拡大すると、高金利の米ドルが買われ円安・ドル高になりやすい。

    • 経常収支:貿易黒字(輸出が多い)は円の需要増加を通じて円高要因。

    • 物価差(購買力平価):物価上昇率が高い国の通貨は長期的に下落しやすい。

    • リスク選好・リスク回避:世界的な不安時には安全通貨(円・スイスフラン等)が買われる傾向があります。

  • 金利変動の主な要因

    • 景気動向:景気拡大→資金需要増加→金利上昇。景気後退→資金需要減少→金利低下。

    • インフレ・デフレ:インフレ期待が高まると名目金利が上昇。

    • 中央銀行の政策:政策金利の引上げ・引下げが金利全般に波及します。

    • 財政収支:財政赤字が大きい国では国債増発により金利が上昇しやすい。

景気動向が株式・為替・債券に与える影響

景気の局面によって、株式・為替・債券への影響パターンが異なります。各資産の連動関係を局面ごとに整理しておくことが重要です。

  • 景気拡大局面

    • 株式:企業業績拡大の期待から上昇しやすい。

    • 債券:金利上昇(設備投資・消費拡大で資金需要増)により価格が下落しやすい。

    • 為替:リスク選好が高まり円安になりやすい(輸出関連株にプラス)。

  • 景気後退局面

    • 株式:企業業績悪化の懸念から下落しやすい。

    • 債券:安全資産として買われ価格が上昇しやすい(金利低下)。

    • 為替:リスク回避から円高になりやすい。

景気・金利・株式・債券・為替の連動関係は、FP試験の「相場動向に応じた金融商品選択」の問題の核心です。局面ごとのパターンを覚えておきましょう。

金融政策とそれが市場に与える影響

金融政策とは、中央銀行(日本銀行)が物価安定・経済成長を目的として、金利や通貨量を調整する政策です。

  • 主な金融政策の手段

    • 政策金利の操作:無担保コール翌日物金利の誘導目標を設定・変更します。

    • 公開市場操作:国債などの売買を通じて市場の資金量(マネーストック)を調節します。

    • 量的緩和(QE):大量の国債等を買い入れて市場に資金を供給します。金利がゼロ近傍のときに用いられます。

  • 金利引下げ(緩和)が市場に与える影響

    • 株式:企業の資金調達コスト低下・消費拡大期待で上昇しやすい。

    • 債券:既発債の相対的価値が上がり価格が上昇(利回り低下)。

    • 為替:金利差縮小で円高になりにくく、円安になりやすい。

  • 金利引上げ(引締め)が市場に与える影響

    • 株式:借入コスト上昇・消費抑制で下落圧力が生じやすい。

    • 債券:価格が下落(利回り上昇)。

    • 為替:金利差拡大で円高要因(外国との比較で日本円の魅力が増す場合)。

財政政策とそれが市場に与える影響

財政政策とは、政府が歳出(支出)と歳入(税収・国債)を操作して景気を調整する政策です。金融政策とともに経済政策の両輪を担います。

  • 拡張的財政政策(財政出動)

    公共投資の増加・減税などで需要を刺激する政策。景気刺激効果がありますが、国債増発による金利上昇(民間投資を圧迫する「クラウディング・アウト」)が懸念されます。

  • 緊縮財政政策

    歳出削減・増税によって財政収支を改善する政策。インフレ抑制には有効ですが、景気を冷やす副作用もあります。

  • 市場への影響まとめ

    • 財政拡大→ 景気刺激・株高要因・国債増発→長期金利上昇・債券価格下落要因。

    • 財政緊縮→ 景気抑制・株安圧力・国債需給改善→長期金利低下・債券価格上昇要因。

外国為替相場の決定理論

為替レートがどのように決まるかを説明する主な理論として、購買力平価説金利平価説があります。

  • 購買力平価説(PPP)

    同じ商品・サービスの価格は、為替レート調整後に世界中で等しくなるという考え方。インフレ率が高い国の通貨は長期的に下落すると予測されます。
    例:日本のインフレ率が米国より2%高ければ、長期的に円はドルに対して2%下落(円安)する傾向があります。

  • 金利平価説

    金利の高い国に資金が流入して高金利通貨が買われるが、将来はその通貨が下落することで金利差が相殺されるという考え方。短期的には金利差が大きいほど高金利通貨高になりやすい。

  • 国際収支説

    貿易収支・資本収支など国際収支の動向が為替を決定するという考え方。経常収支黒字(輸出超過)は自国通貨の需要増加で通貨高要因となります。

現実の為替は上記のどれか一つで説明できるわけではなく、複数の要因が複合的に影響します。3級では各理論の概念を概略的に理解することが求められます。

相場動向に応じた金融商品選択

経済状況・金利の動き・景気局面に応じて、適切な金融商品を選択することが資産運用の基本です。

  • 金利上昇局面

    既発の固定利付債券の価格は下落するため、債券(特に長期債)は不利。金利上昇の恩恵を受ける変動金利型商品(変動金利預金・個人向け国債変動10年等)や、好景気に乗じた株式が選好されます。

  • 金利低下局面

    既発の固定利付債券の価格が上昇するため長期債が有利。預貯金の利率も低下するため、より高いリターンを求めて投資信託・株式への資金移動が起きやすい。

  • 円高局面

    外貨建て資産(外貨預金・外国債券・外国株式等)の円換算価値が低下。外貨建て資産の購入には不利だが、今後の円安を見越した購入タイミングとなることもあります。輸入企業の株式には有利。

  • 円安局面

    外貨建て資産の円換算価値が上昇するため有利。輸出企業の業績向上を通じて輸出関連株の上昇期待が高まります。

  • インフレ局面

    実物資産(不動産・金等)や株式(実物資産に裏付けられた企業収益を反映)がインフレヘッジとして有効とされます。固定利付債券は実質価値が目減りするため不利になりやすい。

2. 預貯金・金融類似商品等

各種預貯金の種類と特徴

預貯金とは、銀行・信用金庫・郵便局(ゆうちょ銀行)等の金融機関に資金を預け入れる商品です。元本が保証されており、一定の利子を受け取れます。預金保険制度の対象(1金融機関・預金者1人あたり元本1,000万円とその利子まで)となるものがほとんどです。

  • 普通預金

    いつでも自由に入出金できる流動性の高い預金。給与の受け取りや公共料金の自動引き落としなど決済機能も兼ねます。金利は低めです。

  • 定期預金

    一定期間(1か月・3か月・6か月・1年・3年・5年等)預け入れる預金。普通預金より高い金利が適用されます。中途解約は可能ですが、金利が大幅に低下します。

  • 積立定期預金

    毎月一定額を自動的に積み立て、満期時に一括受け取りができる預金。定期的な資金積立に適しています。

  • 当座預金

    小切手・手形の決済に使う企業向け預金。原則として利子はつきませんが、決済用預金として全額保護されます。

  • 貯蓄預金

    普通預金より高い金利が設定された預金口座。残高が一定額以上になると高金利が適用されます。決済機能(振込・自動引き落とし等)は使えません。

  • 大口定期預金(スーパー定期・期日指定定期)

    スーパー定期(マル定):300万円未満の定期預金。単利・複利の選択が可能。大口定期預金:1,000万円以上から適用される高金利の定期預金。期日指定定期:1年以上預け入れ後、任意の日に解約可能。

外貨預金は預金保険制度の対象外です(外貨建商品の項を参照)。

各種信託商品の種類と特徴

信託商品とは、顧客(委託者)が信託銀行等(受託者)に金銭・有価証券等を信託し、管理・運用を委ねる商品です。運用成果は受益者(通常は委託者本人)に帰属します。

  • 合同運用指定金銭信託

    多数の顧客の資金をまとめて運用する信託。元本補てん契約がある場合は預金保険制度の対象となります。金利は通常の定期預金並みです。

  • 教育資金贈与信託

    祖父母等が孫等に教育資金を一括贈与する際に活用する信託。一定額まで贈与税が非課税となる優遇措置があります(1,500万円まで、うち学校等以外500万円まで)。

  • 遺言代用信託・遺言信託

    委託者が死亡した場合に指定した受益者に財産を移転する信託。遺産分割の手続きを経ずに迅速な財産承継ができます。

純金積立・貴金属関連商品

純金積立とは、毎月一定額(または一定量)で金(ゴールド)を積立購入する方法です。ドルコスト平均法の効果で購入単価を平準化しながら金を保有できます。

  • 純金積立の特徴

    • 少額から投資可能:月々3,000円程度から積立可能な商品もあります。

    • 価格変動リスク:金の価格は需要・供給・国際情勢・ドル相場等によって変動し、元本は保証されません。

    • 為替リスク:金の国際価格はドル建てのため、円安で有利、円高で不利になります。

    • 現物引き出し:一定量以上になると現物(地金・コイン)で引き出せる場合があります。

  • 金スプレッド取引等

    金のスポット価格を原資産とした差金決済取引(CFD等)や、金ETFを通じた投資など、現物を保有せずに金価格の変動を取引する方法もあります。レバレッジが効く商品もあり、リスクが高まります。

金はインフレヘッジ・安全資産として機能する一方、利子・配当を生まない点に注意が必要です。保有コスト(保管料等)が発生する場合もあります。

金利・利回り計算の仕組み

預貯金や債券の収益を正確に把握するために、単利複利の計算方法を理解することが重要です。

  • 単利計算

    元本に対してのみ利子が計算される方式。
    元利合計=元本×(1+年利率×年数)
    例:元本100万円・年利1%・3年の場合
    =100万円×(1+0.01×3)=103万円(利子3万円)

  • 複利計算

    利子を元本に組み入れ、次期の利子計算の元本に加える方式。長期ほど単利との差が大きくなります。
    元利合計=元本×(1+年利率)年数
    例:元本100万円・年利1%・3年の場合
    =100万円×(1.01)3103.03万円(単利より約0.03万円多い)

  • 実効年利率

    利払いが半年・四半期等の複数回ある場合に、年換算した実際の利回り。
    例:半年複利・年利1%の場合
    実効年利率=(1+0.005)2-1≒1.0025%(名目年利1%より高い)

3. 投資信託

投資信託の仕組み

投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式・債券・不動産などに分散投資し、その運用成果を投資家に分配する金融商品です。

運営には次の三者が関わります。

  • 委託会社(投資信託委託会社)

    ファンドの設定・運用の指図を行う会社。いわゆる「運用会社」。

  • 受託会社(信託銀行)

    投資家から集めた資産を「信託財産」として分別管理する会社。委託会社の指図に従って売買を執行します。

  • 販売会社(証券会社・銀行等)

    投資家に対して投資信託を販売し、購入・換金の窓口となる会社。

信託財産は受託会社が分別管理するため、販売会社や委託会社が経営破綻しても、投資家の資産は保全されます。

投資信託のコスト

投資信託への投資には、主に三種類のコストがかかります。

  • 購入時手数料(販売手数料)

    購入金額に対して一定率で徴収されます。購入時手数料が無料のファンドをノーロードファンドといいます。

  • 運用管理費用(信託報酬)

    ファンドの運用・管理にかかる費用。信託財産から毎日少しずつ差し引かれます。委託会社・受託会社・販売会社の三者で按分されます。

  • 信託財産留保額

    換金(解約)時に信託財産内に残される費用。換金に伴う有価証券売却コストを換金者本人に負担させることで、残存投資家の不利益を防ぐ目的があります。設定していないファンドもあります。

公募投資信託と私募投資信託

投資信託は、販売対象の範囲によって公募と私募に分類されます。

  • 公募投資信託

    不特定多数の一般投資家を対象に募集・販売される投資信託。証券会社や銀行の窓口で誰でも購入できます。金融商品取引法に基づく厳格な開示規制が適用されます。

  • 私募投資信託

    特定の少数の投資家(適格機関投資家や少人数の富裕層等)を対象に限定販売される投資信託。一般の投資家は購入できません。

FP試験では、一般の投資家が購入できるのは公募投資信託であることを押さえておきましょう。

公社債投資信託と株式投資信託

投資信託は、株式を組み入れられるかどうかによって公社債投資信託と株式投資信託に分類されます。

  • 公社債投資信託

    株式を一切組み入れず、国債・社債などの公社債を主な投資対象とする投資信託。価格変動が小さく安定性重視のファンドです。代表例としてMRF(マネー・リザーブ・ファンド)(証券口座の待機資金を運用)やMMF(マネー・マーケット・ファンド)があります。

  • 株式投資信託

    約款上、株式に投資できる旨が定められた投資信託。実際には株式を組み入れていなくても「株式投資信託」に分類されます。多くの一般的な投資信託はこちらに該当します。

課税上の取り扱いも両者で異なります(株式投資信託の譲渡益は申告分離課税が適用され、損益通算・繰越控除が可能)。

単位型投資信託と追加型投資信託

投資信託は、購入できる期間によって単位型と追加型に分類されます。

  • 単位型投資信託(クローズド型)

    当初の募集期間にのみ購入でき、その後は追加購入できない投資信託。運用期間中は原則として解約も制限される場合があります。

  • 追加型投資信託(オープン型)

    募集期間後も随時購入・解約できる投資信託。現在市販されている投資信託の大多数はこのタイプです。

会社型投資信託と契約型投資信託

投資信託は、法的な組成形態によって契約型と会社型に分類されます。

  • 契約型投資信託

    委託会社と受託会社の信託契約に基づいて設定される投資信託。日本の一般的な投資信託のほとんどがこの形態です。投資家は受益者として受益権を持ちます。

  • 会社型投資信託

    投資を目的とした法人(投資法人)を設立し、投資家がその株式(投資口)を取得する形態。J-REIT(不動産投資信託)が代表例で、取引所に上場されています。

主要な投資信託商品の特徴

投資信託にはさまざまな種類があります。主なものを以下に整理します。

  • インデックス型(パッシブ型)

    日経平均株価やTOPIXなど、特定の指数(ベンチマーク)に連動することを目標とするファンド。運用コストが低い傾向にあります。

  • アクティブ型

    ファンドマネージャーが独自の判断で銘柄を選択し、ベンチマークを上回るリターンを目指すファンド。信託報酬はインデックス型より高い傾向にあります。

  • バランス型

    国内外の株式・債券・不動産など複数の資産クラスを一つのファンド内に組み合わせたファンド。一本で分散投資が完結します。

  • ターゲットイヤー型(ライフサイクル型)

    退職予定年などの目標年(ターゲットイヤー)に近づくにつれ、自動的に株式比率を下げ債券比率を高めるファンド。

  • テーマ型

    AI・ESG・半導体など特定のテーマや業種に絞って投資するファンド。高リターンが期待できる一方で価格変動も大きくなりやすい。

上場投資信託(ETF)

ETF(Exchange Traded Fund)とは、証券取引所に上場されている投資信託です。株式と同様に、取引時間中はリアルタイムで売買できます。

  • 主な特徴

    日経平均株価・TOPIX・S&P500などの指数に連動するものが主流。信託報酬が低水準で、少額から取引できます。売買時に証券会社への委託手数料が発生します。

  • 通常の投資信託との違い

    通常の投資信託は1日1回の基準価額で取引されますが、ETFは市場価格で随時取引できます。

  • J-REIT

    不動産を投資対象とする上場投資信託(会社型)。投資家は家賃収入をもとにした分配金と値上がり益を得られます。

投資信託のメリットとリスク

投資信託には、少額からの分散投資や専門家への運用委託というメリットがある一方で、元本保証がない点に注意が必要です。

  • メリット:小額から分散投資が可能

    少額資金で多数の銘柄に分散投資でき、個人では難しい投資対象(海外株式・不動産等)にもアクセスできます。

  • メリット:専門家による運用

    投資判断をファンドマネージャーに委ねられるため、投資知識が少ない人でも資産運用に参加できます。

  • リスク:価格変動リスク(基準価額の下落)

    組み入れている株式・債券の価格変動により、元本割れが生じる可能性があります。元本保証はありません。

  • リスク:為替変動リスク

    外貨建て資産を含むファンドでは、円高になると基準価額が下落する可能性があります。

  • リスク:繰上償還リスク

    純資産総額が大幅に減少するなど一定の条件が整った場合に、信託期間の満了前にファンドが強制終了(繰上償還)されることがあります。

  • リスク:分配金の注意点

    分配金は運用益から支払われるとは限らず、元本の一部を取り崩して支払われる場合(特別分配金=元本払い戻し)があります。特別分配金は課税されません。

投資信託の分類方法

投資信託は、投資対象・運用スタイル・運用目的の三つの軸で分類されます。

  • ① 投資対象による分類

    • 国内株式型:国内の株式を中心に投資。

    • 国内債券型:国内の公社債を中心に投資。

    • 海外株式型:外国株式を中心に投資。為替リスクを伴います。

    • 海外債券型:外国債券を中心に投資。

    • 不動産投資信託型(REIT型):J-REITや海外REITに投資。

    • バランス型:複数の資産クラスを組み合わせて投資。

  • ② 運用スタイルによる分類

    • グロース型(成長株型):将来の高成長が期待される企業の株式に投資。

    • バリュー型(割安株型):本来の価値より低く評価されている企業の株式に投資。

  • ③ 運用目的による分類

    • インデックス型(パッシブ運用):特定の指数への連動を目指す。運用コストが低い。

    • アクティブ型(積極運用):指数を上回るリターンを目指す。運用コストは高め。

投資信託の購入・換金・分配時の注意事項

投資信託の取引には、株式と異なる固有のルールがあります。

  • 購入時:ブラインド方式

    注文日の基準価額ではなく、注文翌営業日以降の基準価額で約定します。投資家による価格操作を防ぐためのルールです。

  • 換金時:受取までの日数

    換金代金の受け取りには、換金申請から数営業日(おおむね3〜7営業日)かかります。信託財産留保額が差し引かれる場合があります。

  • 分配時:分配金と基準価額の関係

    分配金が支払われると、その分だけ基準価額が下落します。分配頻度が高いほど複利効果が薄れるため、長期の資産形成には一般的に再投資型が有利とされます。

投資信託のパフォーマンス測定

投資信託の運用成績を評価する際には、単純なリターン(収益率)だけでなく、リスクを考慮した指標を用います。

  • トータルリターン

    一定期間の基準価額の変化と分配金を合計した収益率。ファンドの総合的な成績を示します。

  • シャープレシオ(概念)

    リスク(価格変動の大きさ)1単位あたりどれだけのリターンを得られたかを示す指標。数値が大きいほど効率の良い運用といえます。同じリターンなら価格変動が小さいファンドの評価が高くなります。

  • ベンチマーク比較

    インデックス型ではベンチマーク(指数)との乖離が小さいほど優秀とされます。アクティブ型ではベンチマークを上回ったかどうかが評価基準となります。

投資信託の外部評価機関

投資信託の評価・格付けを行う第三者機関を外部評価機関といいます。投資家がファンドを選ぶ際の参考情報として活用されます。

  • モーニングスター

    国際的な投資信託評価会社。過去の運用実績・リスク・コストなどを総合評価し、星の数(1〜5つ星)でレーティングを付与します。

  • その他の評価機関

    R&Iファンド大賞・リッパー・QUICKなど、国内外の主要な評価機関がそれぞれ独自の手法でファンドを評価・ランキングしています。

外部評価はあくまで過去の実績に基づくものであり、将来の運用成果を保証するものではありません。

目論見書・運用報告書の見方

投資信託には、投資家保護のために法定の開示書類が定められています。ファンドを選ぶ際は必ず確認します。

  • 交付目論見書

    購入申込みの前または同時に、必ず交付しなければならない書類。ファンドの目的・投資方針・リスク・費用・運用実績などが記載されています。

  • 請求目論見書

    投資家が希望した場合に追加交付する詳細版。約款・財務諸表など補足情報が含まれます。

  • 交付運用報告書

    決算ごと(または1年に1回以上)に作成・交付される書類。運用実績・組み入れ銘柄・費用明細などが記載されています。

ファンドを選ぶ際は交付目論見書でリスクとコストを確認し、運用報告書でその後の実績を継続的にチェックすることが重要です。

4. 債券投資

債券の仕組み

債券とは、国・地方公共団体・企業などが資金調達のために発行する有価証券(借用証書)です。投資家は発行体に資金を貸し付け、定期的に利子(クーポン)を受け取りながら、満期(償還日)に額面金額で元本が返還されます。

  • 額面金額

    債券1枚あたりの基本単位となる金額。満期時に発行体から返済される金額です。国内の国債は通常1万円・5万円・10万円単位で発行されます。

  • 表面利率(クーポンレート)

    額面金額に対して毎年支払われる利子の割合。発行時に固定されます(固定利付債の場合)。

  • 償還期限(満期)

    発行体が元本を返済する期日。短期(1年未満)・中期(1〜5年)・長期(10年以上)など、発行体によって様々な期間の債券があります。

  • 市場価格

    流通市場(二次市場)で売買される際の価格。金利水準・発行体の信用力・需給などによって変動し、額面金額と一致するとは限りません。

債券は株式と異なり、発行体が約定通りに利子・元本を支払う限り収益が確定します。ただし発行体が破綻した場合(デフォルト)は元本・利子を受け取れないリスクがあります。

取引所取引と相対取引の違い

債券の売買は、株式のように取引所を通じる方法と、当事者間で直接行う方法があります。

  • 取引所取引(上場債)

    証券取引所に上場された債券を取引所経由で売買する方法。価格が公開されており透明性が高い。個人向け国債や一部の社債がこれにあたります。

  • 相対取引(OTC取引)

    証券会社などとの相対(一対一)で価格を決めて売買する方法。国内の債券流通市場の大半はこの方法です。取引価格は公開されないため、複数の証券会社に見積もりを取ることが重要です。

固定利付・変動利付・割引方式

債券は利子の支払い方式によって、固定利付・変動利付・割引の三種類に分類されます。

  • 固定利付債

    発行時に決定した利率(表面利率)が満期まで変わらない債券。将来の利子収入が確定しているため、安定性重視の投資家に向いています。長期国債・一般的な社債が代表例です。

  • 変動利付債

    市場金利の変動に連動して利率が定期的に見直される債券。金利上昇局面では受取利子が増える反面、金利低下局面では減少します。個人向け国債(変動10年)が代表例で、半年ごとに利率が見直されます。

  • 割引債(ゼロクーポン債)

    利子の支払いがなく、額面金額より低い価格(割引価格)で発行され、満期時に額面金額で償還される債券。発行価格と額面金額の差額が実質的な利子となります。

複利の概念

複利とは、利子を元金に組み入れ、次期の利子をその合計額(元金+利子)に対して計算する方式です。単利(元金のみに対して利子を計算する方式)と比較して、運用期間が長くなるほど資産の増加速度が大きくなります。

  • 単利と複利の比較(例)

    元本100万円・年利2%・運用期間10年の場合
    単利:100万円×2%×10年=20万円の利子 → 合計120万円
    複利:100万円×(1+0.02)10≒ 合計121.9万円
    期間が長いほど複利効果の差は大きくなります。

債券の最終利回り計算では複利ベースで算出するのが一般的です。iDeCoや積立投資の長期効果を説明する際にも複利の概念は重要です。

利回りと価格の関係・金利変動と利回りの関係

債券の価格と利回りは逆方向に動きます。市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が低下すると債券価格は上昇します。

  • なぜ逆方向に動くのか

    例:表面利率2%・額面100円の債券が流通しているとき、市場金利が3%に上昇したとします。新しく発行される債券は3%の利子を払う一方、既存の2%債券を買う人は少なくなるため、既存債券の価格は100円より低い水準(割安)まで下落します。逆に市場金利が1%に低下すれば、2%の利子を持つ既存債券の価値が上がり価格は100円以上(割高)になります。

  • 利回りの種類

    • 直接利回り:現在の市場価格に対して年間利子がどれだけかを示す利回り。償還差損益は考慮しません。

    • 最終利回り:現在の市場価格で購入し、満期まで保有した場合の年平均利回り。利子収入と償還差損益の両方を考慮します。

    • 応募者利回り:新規発行時に発行価格で購入し、満期まで保有した場合の利回り。

FP試験頻出ポイント:「金利上昇→債券価格下落→利回り上昇」「金利低下→債券価格上昇→利回り低下」という連動関係を必ず押さえてください。

債券の種類

債券は発行体によって、国債・地方債・政府機関債・社債などに分類されます。

  • 国債

    国(日本政府)が発行する債券。信用リスクが最も低いとされます。主な種類として、利付10年国債・個人向け国債(固定3年・固定5年・変動10年)があります。個人向け国債は最低1万円から購入可能で、元本割れがない点が特徴です。

  • 地方債

    都道府県・市区町村などの地方公共団体が発行する債券。国債に次いで信用力が高いとされます。

  • 政府機関債(政府保証債・財投機関債)

    政府関係機関(住宅金融支援機構・日本政策投資銀行等)が発行する債券。政府保証が付くものと付かないものがあります。

  • 社債

    企業が発行する債券。発行企業の信用力によって利回り(リスクプレミアム)が異なります。国債より高い利回りが期待できる反面、信用リスクも高くなります。

  • 外国債券

    外国の政府・企業が発行する債券。为替リスク・カントリーリスクに加え、信用リスクも伴います。

債券投資のメリットとリスク

債券投資には、利子収入の安定性というメリットがある一方で、複数のリスクを伴います。

  • メリット:安定した利子収入

    満期まで保有すれば、定期的な利子収入と額面金額での元本返済が見込めます(発行体が破綻しない限り)。

  • メリット:株式との分散効果

    景気後退局面では株式価格が下落する一方、安全資産として債券価格が上昇しやすい傾向があります。株式と組み合わせることでポートフォリオ全体のリスクを低減できます。

  • リスク:価格変動リスク(金利リスク)

    市場金利の変動により、保有債券の価格が変動します。満期前に売却する場合、市場価格によっては売却損が生じることがあります。

  • リスク:信用リスク(デフォルトリスク)

    発行体が財務悪化により利子・元本の支払いができなくなるリスク。国債の信用リスクは低い一方、社債は発行企業の経営状態によって信用リスクが高まることがあります。

  • リスク:流動性リスク

    売却したいときに買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスク。国債は流動性が高い一方、一部の社債や外国債券は流動性が低い場合があります。

信用リスクと利回り格差(クレジットスプレッド)

信用リスクの高い債券ほど、投資家はより高い利回りを要求します。この結果生じる国債利回りとの利回りの差をクレジットスプレッド(信用スプレッド)といいます。

  • 信用格付け

    格付け会社(S&P・ムーディーズ・R&I・JCR等)が発行体の信用力を評価した記号。「AAA(トリプルエー)」が最高格付けで、格付けが下がるほどクレジットスプレッドが広がり、利回りが高くなります。BBB(トリプルビー)以上を投資適格債、それ未満を投機的格付け債(ハイイールド債)といいます。

  • スプレッドの変動

    景気悪化・信用不安が高まると、リスク回避から国債が買われ社債が売られるため、スプレッドは拡大します。景気回復局面ではスプレッドは縮小します。

信用リスクと金利リスクの違い

債券投資の二大リスクである信用リスクと金利リスクは、原因・対象・対処法が異なります。

  • 信用リスク

    発行体の財務悪化・破綻によって利子・元本が支払われなくなるリスク。発行体ごとに異なるリスクであり、格付けの確認・分散投資によって管理します。

  • 金利リスク

    市場金利の変動により債券価格が変動するリスク。発行体の信用力に関係なく、すべての固定利付債が影響を受けます。残存期間が長い債券ほど金利リスクが大きくなります。

信用リスクは「発行体の問題」、金利リスクは「市場全体の問題」と整理すると区別しやすくなります。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象国の政治・経済・法制度の変化によって、投資した資産の価値が損なわれるリスクです。外国債券に投資する際に特に考慮する必要があります。

  • 主なカントリーリスクの要因

    • 政治リスク:政権交代・内乱・戦争による債務不履行や資産凍結のリスク。

    • 経済リスク:財政悪化・外貨不足・急激なインフレによる返済能力の低下。

    • 為替規制リスク:送金規制など、資金の国外移転が制限されるリスク。

新興国債券は先進国債券より利回りが高い反面、カントリーリスクも大きいため、投資の際は十分な分析が必要です。

各種利回りの計算

債券の利回りとは、投資した金額に対して1年間に得られる収益の割合(年率)です。購入タイミングと保有期間によって、主に三種類の利回りが使われます。

  • 応募者利回り

    新規発行時に発行価格で購入し、満期まで保有した場合の利回り。

    応募者利回り(%)={表面利率+(額面-発行価格)÷償還年数}÷発行価格×100
    例:額面100円・表面利率2%・発行価格99円・償還5年の場合
    ={2+(100-99)÷5}÷99×100≒2.22%

  • 直接利回り

    現在の市場価格に対して年間利子がどれだけかを示す利回り。償還差損益は考慮しません。

    直接利回り(%)=表面利率÷購入価格×100
    例:表面利率2%・購入価格98円の場合
    =2÷98×100≒2.04%

  • 最終利回り

    現在の市場価格で購入し、満期まで保有した場合の年平均利回り。利子収入と償還差損益の両方を考慮します。最もよく使われる利回り指標です。

    最終利回り(%)={表面利率+(額面-購入価格)÷残存年数}÷購入価格×100
    例:額面100円・表面利率2%・購入価格98円・残存4年の場合
    ={2+(100-98)÷4}÷98×100≒2.55%

購入価格が額面より低い(割安)場合は直接利回りより最終利回りが高くなり、高い(割高)場合は逆になります。

経過利子の計算

経過利子(アクルード・インタレスト)とは、債券を流通市場で売買する際に、前回の利払い日から売買成立日までの間に発生した未払い利子相当額のことです。

  • なぜ経過利子が必要か

    債券の利子は一定期間ごとにまとめて支払われます(例:半年ごと)。売却者は売却日まで債券を保有していた分の利子を受け取る権利があるため、買い手が売り手に代わってその分を支払います。

  • 計算式と例

    経過利子=額面金額×表面利率×経過日数÷365(または360)
    例:額面100万円・表面利率2%・前回利払いから73日経過の場合
    経過利子=100万円×2%×73÷365=4,000円
    買い手は債券の市場価格に加え、この4,000円を売り手に支払います。

経過利子を加えた実際の受渡金額をフルプライス(ダーティプライス)、経過利子を除いた価格をクリーンプライスといいます。市場で公表される債券価格は通常クリーンプライスです。

5. 株式投資

株式の性質と権利

株式とは、株式会社が資金調達のために発行する有価証券です。株式を保有する株主は会社の共同所有者としての地位を得ます。

  • 自益権(経済的利益を受ける権利)

    • 利益配当請求権:会社の利益の分配(配当)を受け取る権利。

    • 残余財産分配請求権:会社が解散・清算された場合に残った財産の分配を受ける権利。ただし債権者への弁済後に残った財産が対象のため、倒産時は回収できないことが多い。

    • 株主優待:企業が株主に提供する製品・サービス・割引券など。法的権利ではなく企業の任意による還元です。

  • 共益権(会社運営に参加する権利)

    • 議決権:株主総会で会社の重要事項(役員選任・合併等)を決議する権利。原則として1株につき1議決権。

    • 株主総会招集通知受領権:株主総会の招集通知を受け取り出席する権利。

株主は会社の債権者より後順位で財産を受け取るため、企業倒産時には残余財産がほとんど残らないリスクがあります。

株式投資の実務手続とルール

株式投資を行うには、まず証券会社に口座を開設し、注文・約定・決済という流れで取引が行われます。

  • 口座の種類

    • 特定口座(源泉徴収あり):証券会社が損益計算・源泉徴収・納税を代行。原則確定申告不要。

    • 特定口座(源泉徴収なし):証券会社が損益計算を代行するが、確定申告は自分で行う。

    • 一般口座:損益計算・確定申告をすべて自分で行う。

    • NISA口座:一定枠内の運用益が非課税。1人1口座。

  • 注文方法

    • 成行注文:価格を指定せず、その時の市場価格で売買する注文。確実に約定するが、価格は保証されない。

    • 指値注文:売買したい価格を指定する注文。希望価格で取引できるが、相手方が現れなければ約定しない。

  • 売買単位と決済

    国内上場株式は原則として100株単位(1単元)で売買されます。約定から3営業日目(T+2)に代金・株式の受け渡しが行われます。

  • 株価の呼値と値幅制限

    取引所には株価水準に応じた呼値(最小売買価格単位)が設定されています。また1日の株価変動には値幅制限(サーキットブレーカー)が設けられており、異常な乱高下を防ぎます。

株式の種類

株式は権利内容によって複数の種類に分類されます。

  • 普通株式

    標準的な権利(議決権・配当請求権・残余財産分配請求権)を持つ最も一般的な株式。市場で流通する株式の大多数が普通株式です。

  • 優先株式

    配当や残余財産の分配について、普通株より優先して受け取れる株式。その代わり議決権が制限される場合があります。資金調達目的で発行されることが多い。

  • 種類株式

    議決権・配当・譲渡制限などについて特別な条件を設けた株式の総称。スタートアップ企業の資金調達や経営権の維持目的で使われます。

株式累積投資・株式ミニ投資

少額から株式投資に参加できる仕組みとして、株式累積投資と株式ミニ投資があります。

  • 株式累積投資(るいとう)

    毎月一定額を積み立てて指定銘柄の株式を購入する方法。1単元未満でも購入でき、ドルコスト平均法の効果で購入単価を平準化できます。ただし議決権は1単元保有時のみ行使可能です。

  • 株式ミニ投資(ミニ株)

    通常の売買単位(100株)の10分の1(10株)から売買できる取引。少額で単元株と同じ銘柄に投資できますが、取引所での直接取引ではなく証券会社との相対取引になります。

株式投資関連商品

株式に関連したデリバティブ商品として、新株予約権や株式先物などがあります。

  • 新株予約権(ワラント)

    あらかじめ決められた価格(行使価格)で株式を購入できる権利。株価が行使価格を上回ると価値が生じます。

  • 株価指数先物取引

    日経平均株価やTOPIX等の指数を将来の一定日に一定価格で売買する約束をする取引。ヘッジや投機に利用されます。

国内の株式市場の種類

2022年4月の東京証券取引所の市場再編により、国内の主要な株式市場はプライム・スタンダード・グロースの3市場に再編されました。

  • プライム市場

    最も高い上場基準を持つ市場。グローバルな機関投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向け。流通株式時価総額100億円以上等の要件があります。

  • スタンダード市場

    公開市場としての基本的な基準を備えた企業向け。国内外の幅広い投資家を対象とします。

  • グロース市場

    高い成長可能性を持つ新興企業向け。上場基準は他の市場より緩やかですが、成長性と事業リスクがあります。

旧市場区分の東証一部・二部・マザーズ・JASDAQは2022年4月に廃止されました。

代表的な株式指数

株式市場全体や特定セクターの動向を把握するための代表的な指数(インデックス)です。

  • 日経平均株価(日経225)

    東証プライム上場銘柄から選ばれた225銘柄の株価を平均した指数。株価平均型のため株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい。国内外で最も知名度の高い日本株の指数です。

  • TOPIX(東証株価指数)

    東証プライム上場の全銘柄を対象とした時価総額加重型の指数。時価総額の大きい企業の影響を受けやすく、市場全体の動向をより広く反映します。

  • JPX日経インデックス400

    ROE・営業利益・時価総額等を基準に選ばれた400銘柄で構成される指数。資本効率の高い企業群を対象とします。

株式投資のメリットとリスク

株式投資には値上がり益・配当・株主優待というメリットがある一方で、複数のリスクを伴います。

  • メリット:キャピタルゲイン(値上がり益)

    株価が購入時より上昇した場合に売却して得られる利益。債券や預貯金と比べて高いリターンが期待できます。

  • メリット:インカムゲイン(配当・優待)

    保有中に受け取れる配当金と株主優待。安定した配当を出す企業は「高配当株」として人気があります。

  • リスク:価格変動リスク

    企業業績・景気・金利・為替など多様な要因によって株価が変動し、元本割れが生じる可能性があります。

  • リスク:信用リスク(倒産リスク)

    発行企業が経営破綻した場合、株式は無価値になる可能性があります。債権者への弁済後に残余財産があれば分配を受けられますが、実際には回収できないことが多い。

  • リスク:流動性リスク

    売買高が少ない銘柄では、希望する価格・タイミングで売却できない場合があります。

投資指標(PER・PBR・ROE・EPS・配当利回り)

株式の割高・割安や投資価値を評価するための代表的な指標です。

  • PER(株価収益率)

    PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
    株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標。数値が低いほど割安とされます。業種平均や市場平均と比較して使います。
    例:株価1,000円・EPS50円 → PER=20倍

  • PBR(株価純資産倍率)

    PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)
    株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標。1倍を下回ると解散価値より安いとされ、理論上の割安の目安とされます。
    例:株価1,000円・BPS1,200円 → PBR≒0.83倍(割安)

  • ROE(自己資本利益率)

    ROE=当期純利益÷自己資本×100(%)
    株主が拠出した資本をどれだけ効率的に活用して利益を生んでいるかを示す指標。数値が高いほど資本効率が良いとされます。
    例:純利益100億円・自己資本500億円 → ROE=20%

  • EPS(1株当たり当期純利益)

    EPS=当期純利益÷発行済株式数
    1株あたりに帰属する利益額。EPSの成長率が株価上昇の基本ドライバーとなります。

  • 配当利回り

    配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100
    株価に対して何%の配当を受け取れるかを示す指標。高配当株の選別に使われます。
    例:年間配当30円・株価1,000円 → 配当利回り=3.0%

株式相場の見方と銘柄選定手法

銘柄を選ぶ際の分析手法は、企業の財務内容・業績を分析するファンダメンタルズ分析と、株価チャートや出来高等を分析するテクニカル分析に大別されます。

  • ファンダメンタルズ分析

    企業の売上・利益・財務状況・成長性・競争力などを分析して株式の本質的価値(理論株価)を算出し、現在の株価との比較で割安・割高を判断する手法。長期投資に適しています。PER・PBR・ROE等の指標を活用します。

  • テクニカル分析

    過去の株価・出来高・売買代金等のチャートパターンから将来の株価の動きを予測する手法。短期・中期投資に利用されます。代表的な指標として移動平均線(ゴールデンクロス・デッドクロス)・RSI・ボリンジャーバンドなどがあります。

  • トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチ

    • トップダウン:マクロ経済→業種・セクター→個別銘柄の順で絞り込む手法。

    • ボトムアップ:個別企業の分析から出発し、有望な銘柄を積み上げる手法。

ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。


住宅ローン計算ツール

NISA / iDeCo 積立シミュレーター

ポートフォリオ効率フロンティア可視化ツール


ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。