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ファイナンシャル・プランニング技能検定

B

リスク管理

FP3級学科試験主要用語集2026

「リスクとは何か」「保険の仕組みはどうなっているか」を入門として学ぶ科目です。生命保険・損害保険・第三分野の保険を幅広く概略レベルで理解します。

まずリスクマネジメントの概念(純粋リスクと投機的リスクの区別)と4つの対処手法(回避・軽減・移転・保有)を学びます。次に保険制度全般として、社会保険と民間保険の違い、生命保険協会・損害保険協会・ペイオフ・生命保険契約者保護機構といった契約者保護の仕組みを押さえます。

生命保険は、定期・終身・養老の基本3型から個人年金保険・医療保険・法人向け保険商品の種類と内容、保険料のしくみ(純保険料・付加保険料)、契約手続の注意点(告知義務・クーリングオフ等)を学びます。税金面では生命保険料控除・保険金の課税関係・解約返戻金・法人の経理処理(保険料・配当金・保険金)まで対象です。

損害保険では火災・地震・自動車・傷害・賠償責任保険の仕組みと税務を学び、第三分野の保険(医療・がん・介護・生前給付)の特徴を習得します。最後に家庭・事業のリスクシナリオ別に保険をどう組み合わせるかを概略として理解します。

3級では各テーマを「概略として理解すること」が基本。保険の仕組みと主な種類を押さえ、「どんなリスクをどの保険でカバーするか」をイメージできる状態を目指します。

1. リスクマネジメント

リスクマネジメントの概念

リスクマネジメントとは、個人や企業が直面する様々なリスク(損失をもたらす可能性のある不確実な事象)を体系的に識別・評価し、適切な対策を講じることで損失の最小化・目標達成を図るプロセスです。

  • リスクの分類

    • 純粋リスク:損失のみが生じる可能性があるリスク(損失か現状維持のどちらか)。火災・死亡・事故等。保険によって管理するリスクの主対象。

    • 投機的リスク:利益または損失の両方が生じる可能性があるリスク。株式投資・事業経営等。保険の対象外が原則。

  • リスクマネジメントのプロセス

    • ①リスクの識別(洗い出し):直面する可能性のあるリスクをすべて列挙します。

    • ②リスクの評価(分析):各リスクの発生頻度(確率)と損害の大きさ(重大性)を評価します。

    • ③リスク対策の選択・実施:評価結果に基づき適切な対策(回避・軽減・移転・保有)を選択・実施します。

    • ④モニタリング・見直し:対策の効果を継続的に評価し、状況変化に合わせて見直します。

リスクマネジメントの手法

リスクへの対処方法はリスクの発生頻度損害の大きさの2軸で選択するのが基本的なアプローチです。

  • 4つの基本手法

    • ①回避(アボイダンス):リスクの原因となる活動自体をやめることでリスクをゼロにする手法。例:危険な趣味(スカイダイビング等)をやめる・危険な地域への出張をとりやめる。メリットが享受できないデメリットがある。

    • ②軽減(コントロール):損失の発生頻度や規模を減らす予防措置・損失後の影響を小さくする対策。例:安全装置の設置・防火設備の導入・定期健康診断の受診・分散投資。

    • ③移転(トランスファー):リスクを第三者(保険会社等)に転嫁する手法。例:生命保険・損害保険への加入・契約上の免責条項設定。発生頻度が低く損害が大きいリスクに最も有効。

    • ④保有(リテンション):リスクによる損失を自分(自社)で負担する手法。例:自動車保険の免責金額の設定・自家保険(社内に準備金を積み立てる)。発生頻度が高く損害が小さいリスクは自ら負担する方が効率的な場合がある。

  • リスクの発生頻度・損害の大きさによる対策の選択

    発生頻度:低い/損害の大きさ:大きい → 移転(保険活用)が最適。
    発生頻度:低い/損害の大きさ:小さい → 保有(自己負担)でよい。
    発生頻度:高い/損害の大きさ:大きい → 回避が最善。
    発生頻度:高い/損害の大きさ:小さい → 保有または軽減が現実的。

FP試験ポイント:「移転(保険)は発生頻度が低く損害が大きいリスクに最適」「回避・軽減・移転・保有の4手法の使い分け」は必須の知識です。

個人をとりまく主なリスクとその管理

個人・家庭が直面するリスクとその対応策です。ライフステージに応じたリスクの変化を把握することがFPとしての重要な視点です。

  • 主なリスクの種類と保険による管理

    • 死亡リスク:世帯主が死亡した場合の家族の生活費・教育費の喪失。→ 生命保険(定期保険・収入保障保険・終身保険)で管理。

    • 長生きリスク(長寿リスク):想定以上に長生きして老後資金が不足するリスク。→ 個人年金保険・終身年金・iDeCo・NISAで管理。

    • 疾病・傷害リスク:病気・けがによる医療費負担や就業不能による収入喪失。→ 医療保険・がん保険・就業不能保険で管理。

    • 財産リスク:住宅・家財・自動車の損壊・盗難等。→ 火災保険・地震保険・自動車保険で管理。

    • 賠償責任リスク:日常生活での事故等により第三者に損害を与える。→ 個人賠償責任保険・自動車保険(対人・対物)で管理。

    • 介護リスク:要介護状態になった場合の費用負担。→ 公的介護保険+民間介護保険・貯蓄で管理。

  • ライフステージとリスクの変化

    若年期・子育て期:死亡リスクへの備え(遺族の生活保障)が最も重要。
    中年期:疾病リスク・介護リスクが増加。
    老後:長生きリスク・医療・介護リスクが中心となり、死亡保障への需要は低下。

企業をとりまく主なリスクとその管理

企業が事業活動を行う上で直面する主なリスクと、保険・その他の手段による管理方法です。

  • 主な企業リスクと管理手段

    • 経営者・役員の死亡リスク:経営者の急死による事業の継続困難・借入金の返済不能等。→ 法人向け生命保険(逓増定期保険・終身保険等)で管理。

    • 財物損壊リスク:工場・建物・設備等の火災・水害・自然災害による損壊。→ 企業向け火災保険・動産総合保険で管理。

    • 賠償責任リスク:製品の欠陥・業務上の事故により第三者に損害を与える。→ PL保険(生産物賠償責任保険)・施設所有管理者賠償責任保険・使用者賠償責任保険等で管理。

    • 休業リスク:事故・災害等により事業が休止した場合の利益損失。→ 企業費用・利益保険(店舗休業保険等)で管理。

    • 従業員リスク:業務中の事故・疾病等による従業員の傷害・死亡。→ 労災保険(強制加入)+団体定期保険・傷害保険の上乗せで管理。

  • BCP(事業継続計画)とリスクマネジメント

    BCP(Business Continuity Plan)とは、大規模な災害・事故等が発生しても事業を継続・早期復旧させるための計画。保険はBCPの財務的側面(損失補填)を支える手段のひとつです。

リスクマネジメントにおける生命保険・損害保険の活用

保険はリスクマネジメントの「移転」手法の代表例です。リスクの種類に応じて生命保険と損害保険を適切に組み合わせることが重要です。

  • 生命保険が有効なリスク

    人(生死・障害・老後)に関するリスクに対応。予め決められた保険金額が支払われる定額給付型が原則。
    主な活用:死亡リスク(遺族の生活保障)・老後リスク(個人年金)・医療リスク(医療保険・がん保険)・介護リスク(介護保険)。

  • 損害保険が有効なリスク

    財物や賠償責任に関するリスクに対応。実際の損害額を補填する実損填補型が原則。
    主な活用:財物リスク(火災保険・地震保険・自動車保険)・賠償責任リスク(各種賠償責任保険)。

  • 第三分野保険の活用

    生命保険と損害保険の中間的なリスク(医療・介護・傷害等)に対応。生命保険会社・損害保険会社の双方から選択可能。

  • 保険活用時の留意点

    • 必要保障額の確認:過剰な保険への加入(保険料の無駄)を避け、本当に必要な保障を見極める。

    • 保険と他の手段の組み合わせ:緊急予備資金(保有)・保険(移転)・節税・資産運用(軽減)等を組み合わせた総合的な管理が重要。

FP試験ポイント:「生命保険は定額給付・損害保険は実損填補(原則)」「リスクの大きさ×発生頻度で最適な対策を選ぶ(移転=保険は発生頻度が低く損害が大きいリスクに最適)」の整理が重要です。

2. 保険制度全般

社会保険制度と民間保険

日本の保険制度は、国が運営する公的保険(社会保険)と、保険会社が提供する民間保険(私的保険)の二本立てで構成されています。民間保険は公的保険を補完する役割を担います。

  • 公的保険(社会保険)の特徴

    • 強制加入:一定の要件を満たせば加入が義務付けられる。

    • 相互扶助・所得再分配機能:保険料が一定の負担能力(所得)に基づいて設定され、給付は必要度に応じる。

    • 主な種類:医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5種類(A科目参照)。

  • 民間保険(私的保険)の特徴

    • 任意加入:加入するかどうかは本人の意思による。

    • 給付反対給付均等の原則:リスクの大きさ・保険金額に応じた保険料が設定される(公的保険より個人のリスクを精緻に反映)。

    • 種類:生命保険・損害保険・第三分野の保険に大別。

保険会社の引受及び募集形態

保険会社が保険契約を引き受ける仕組みと、募集(勧誘・販売)を行う者の種類についてです。

  • 再保険(リインシュランス)

    保険会社がリスク分散のため引き受けたリスクの一部または全部を他の保険会社(再保険会社)に転嫁する仕組みです。巨大災害・高額リスクに対応するための手段です。

  • 保険募集の主な形態

    • 保険会社の役職員(営業職員):保険会社の代理として契約の取次ぎ・勧誘を行う。

    • 保険代理店:保険会社から委託を受けて募集する独立した事業者。代理店型(契約者との契約代理権を持つ)と媒介型(取次ぎのみ・契約代理権なし)がある。

    • 保険仲立人(ブローカー):特定の保険会社に属さず、顧客の利益のために複数の保険会社から最適な保険を選ぶ独立した仲介者。保険会社ではなく顧客から手数料を受け取る場合もある。

    • 乗合代理店(独立系FP):複数の保険会社の商品を取り扱う代理店。比較推奨販売規制あり(2016年〜)。

契約者保護に関する制度及び規制

保険会社が経営破綻した場合などに、契約者・被保険者を保護するための制度が整備されています。

  • 生命保険契約者保護機構

    生命保険会社が破綻した場合に契約者を保護する機構。
    補償内容:破綻時の責任準備金の90%までを補償(高予定利率の保険は補償が下がる場合あり)。
    対象:国内で事業を行う生命保険会社すべてが加入義務あり(共済は対象外)。

  • 損害保険契約者保護機構

    損害保険会社が破綻した場合に契約者を保護する機構。
    補償割合(保険金支払い):自動車損害賠償責任保険(自賠責)・自動車保険・地震保険は100%。その他の保険は80%(破綻後3か月以内のものは100%)。

FP試験ポイント:「生命保険の保護機構は責任準備金の90%補償」「損害保険は自賠責・地震保険は100%・その他は80%」「ソルベンシー・マージン比率200%以上が健全」は頻出です。

共済・少額短期保険

保険会社以外が提供する保険類似の制度です。民間保険と異なる点を正確に把握することが重要です。

  • 共済

    特定の団体(農協・生協・労働組合等)の組合員を対象とした互助的な保険制度。根拠法が保険業法ではない(農業協同組合法・消費生活協同組合法等)ため、保険業法上の規制は受けません。
    主な共済:JA共済(農協)・こくみん共済coop(全労済)・コープ共済(生協)・都道府県民共済など。
    契約者保護機構の対象外(破綻時の保護制度が異なる)。

  • 少額短期保険(ミニ保険)

    保険金額が少額・保険期間が短い保険を専門に取り扱う保険会社(少額短期保険業者)が提供する保険。保険業法の適用を受けます(登録制)。
    保険金額の上限:生命保険300万円以下・損害保険1,000万円以下など(区分ごとに上限あり)。
    保険期間:生命・医療保険は1年以内・損害保険は2年以内。
    契約者保護機構の対象外

FP試験ポイント:「共済は契約者保護機構の対象外」「少額短期保険は保険業法適用・保護機構対象外・保険料控除なし(地震保険を除く)」は頻出です。

保険マーケットの最近の動向

少子高齢化・デジタル化・自然災害の多発等を背景に、保険マーケットが大きく変化しています。

  • インシュアテック(InsurTech)の進展

    テクノロジー(AI・IoT・ビッグデータ等)を活用した保険サービスの革新。健康増進型保険・テレマティクス自動車保険・チャット・スマホを通じた保険販売・デジタル保険証券の普及などが進んでいます。

  • 乗合代理店・比較サイトの普及

    複数の保険会社商品を比較・提案できる乗合代理店や保険比較ウェブサイトが普及。2016年以降、乗合代理店には比較推奨販売における適切な情報提供義務が課されています。

保険業法・保険法

保険に関連する二つの重要な法律です。保険業法は保険会社・募集人の規制を定め、保険法は保険契約の内容・権利義務を定めます。

  • 保険業法の主な規定

    • 保険会社の規制:内閣総理大臣の免許制。生命保険と損害保険の兼業禁止(第三分野は双方可)。

    • 保険募集規制:保険募集人(営業職員・代理店)の登録制。意向把握義務・情報提供義務・適合性の原則(顧客のニーズ・知識・経験に合った保険を販売)が課されています。

    • 禁止行為:不告知の教唆(告知義務違反をそそのかす行為)・不当な利益提供・虚偽の説明等は禁止。

    • クーリングオフ制度:申込日または約款・保険証券受領日から8日以内に書面等で申し出ることで無条件解除が可能。

FP試験ポイント:「保険業法では生損保の兼業禁止・募集人の意向把握義務・適合性の原則」「保険法では告知義務が質問応答義務に変更(2010年)」「クーリングオフは8日以内」は頻出です。

3. 生命保険(仕組み・商品・税金・経理処理)

生命保険の仕組みと機能

生命保険とは、人の生死(死亡・生存・高度障害等)を保険事故とし、保険会社が保険金・給付金を支払う保険です。多数の加入者が保険料を出し合い(相互扶助)、万が一の際に大きな補償を受けられる仕組みです。

  • 生命保険の三つの機能

    • 経済的保障機能:被保険者の死亡・高度障害等により家族の生活が困難になる場合に保険金で補う。

    • 貯蓄機能:養老保険・個人年金等は、満期保険金や年金として将来の資産形成に活用できる。

    • 社会的機能:保険会社が集めた資金を長期の資産運用・社会インフラへの投資に活用する。

  • 契約関係者の三者

    • 契約者(保険契約者):保険会社と契約を結び保険料を支払う者。解約・変更等の権限を持つ。

    • 被保険者:生死等について保険がかけられている者。

    • 受取人(保険金受取人):保険金・給付金を受け取る者。

生命保険料の仕組み

生命保険の保険料は、保険会社が将来の保険金支払い・運用・経費を賄えるように三つの予定基礎率に基づいて計算されます。

  • 三つの予定基礎率

    • 予定死亡率:年齢・性別ごとの死亡確率(生命表)に基づく率。死亡率が高いほど保険料は高くなる。

    • 予定利率:保険会社が運用して得られる利回りの予定値。予定利率が高いほど保険料は低くなる(割引効果)。

    • 予定事業費率:保険会社の経費(人件費・事務費等)の予定割合。事業費率が高いほど保険料は高くなる。

  • 純保険料と付加保険料

    • 純保険料:将来の保険金支払いに充てる部分(予定死亡率・予定利率から算出)。

    • 付加保険料:保険会社の経費に充てる部分(予定事業費率から算出)。

FP試験ポイント:「予定利率が上昇すると保険料は下がる(逆相関)」「予定死亡率・予定事業費率が上昇すると保険料も上がる(正相関)」の関係が頻出です。

剰余金・配当金の仕組み

保険会社の実際の収支が予定(三つの予定基礎率)よりも有利だった場合に生じる余剰分を剰余金といい、その一部を契約者に還元するものが配当金です。

  • 三つの差益(剰余金の発生要因)

    • 利差益:実際の運用利回りが予定利率を上回ったときに生じる剰余。

    • 死差益:実際の死亡者数が予定死亡率より少なかったときに生じる剰余。

    • 費差益:実際の事業費が予定事業費率より少なかったときに生じる剰余。

  • 有配当保険と無配当保険

    • 有配当保険:剰余金の一部を配当金として契約者に還元する保険。

    • 無配当保険:配当金はないが、その分保険料が割安になっている保険。

契約手続・保険約款・生命保険契約の読取り

生命保険契約には、告知義務・クーリングオフ・各種権利(契約貸付・解約返戻金等)など重要な規定があります。

  • 告知義務(告知)

    契約者・被保険者は保険会社の質問事項(健康状態・職業等)に対して正確に申告する義務があります。故意または重大な過失による告知義務違反は解除権(2年以内)の対象となります。

  • クーリングオフ

    保険契約の申込みを撤回できる制度。申込日または契約のしおり・約款受領日のいずれか遅い日から8日以内(通信販売は除く)に書面で申し出ることができます。

  • 契約貸付制度

    解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りることができる制度。解約返戻金の一般的に70〜90%程度まで借入可能。

  • 失効・復活

    保険料の払込猶予期間(翌月末日等)を超えても払い込まれない場合、契約は失効します。失効から原則3年以内であれば延滞保険料を支払い健康状態の告知を行うことで復活できます。

  • 解約返戻金

    契約を途中解約した場合に支払われる金額。一般的に払込保険料総額より少なく(特に加入初期は低い)、保険期間が長いほど増加します。

  • 保険証券の読み取り

    保険証券には契約者・被保険者・受取人・保険金額・保険料・保険期間・払込方法などが記載されています。受取人の変更や保険金受取方法の変更には所定の手続きが必要です。

FP試験ポイント:「クーリングオフは8日以内」「告知義務違反の解除権は2年以内」「失効後3年以内なら復活可能」の3点が頻出です。

個人向け生命保険商品(死亡保険)

死亡を主な保険事故とする生命保険の主な種類です。保険期間・保険金額・解約返戻金の有無によって特性が異なります。

  • 定期保険

    一定の保険期間(10年・20年・65歳まで等)内に死亡した場合に保険金が支払われる保険。保険期間満了後は通常は保険金ゼロ(掛け捨て型)。保険料が割安で同じ保険料で高い保障を得られます。

  • 終身保険

    保険期間が一生涯で、いつ死亡しても保険金が支払われる保険。解約返戻金があるため貯蓄性もあります。老後の解約返戻金を老後資金・相続対策に活用できます。

  • 養老保険

    一定の保険期間内に死亡した場合に死亡保険金、満期まで生存した場合に死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる保険(保障と貯蓄が一体)。保険料は高め。

  • 逓減定期保険・収入保障保険

    • 逓減定期保険:保険期間の経過とともに死亡保険金額が減少する保険。住宅ローン残高の減少に合わせた設計に有効。

    • 収入保障保険:死亡した場合に、保険期間満了まで毎月(または毎年)一定金額が年金形式で支払われる保険。合計受取額は死亡時期が早いほど多い。

  • 変額保険

    保険料を特別勘定(株式・債券等)で運用し、運用実績によって保険金・解約返戻金が変動する保険。最低死亡保険金額は保証されていますが、解約返戻金は運用次第で元本割れの可能性があります。

FP試験ポイント:「定期保険は掛け捨て(解約返戻金なし・低め)」「終身保険は貯蓄性あり」「収入保障保険は死亡早期ほど総受取額が多い」「変額保険は最低死亡保険金は保証・解約返戻金は変動」は頻出です。

個人年金保険

老後の所得保障を目的として、一定期間保険料を積み立て、一定年齢(60歳・65歳等)以降に年金を受け取る保険です。

  • 定額個人年金(従来型)

    予定利率が固定されており、将来の受取額が契約時に確定している年金保険。安定した老後収入が見込めます。

  • 変額個人年金保険

    保険料を特別勘定で運用し、受取額が運用実績によって変動する年金保険。インフレ対策の効果が期待できる一方、元本割れリスクがあります。最低死亡給付金は保証されているものが多い。

  • 年金の受取方法による分類

    • 確定年金:一定期間(5年・10年等)、生死を問わず受け取れる。死亡した場合は残期間分を遺族が受け取る。

    • 終身年金:生存している限り一生涯受け取れる。長生きリスクに最も有効。

    • 有期年金:一定期間、生存中のみ受け取れる。死亡すると支給終了。

医療保険(単品型)

入院・手術等の医療費負担を軽減するための保険です。生命保険会社・損害保険会社の双方が販売できる第三分野の保険の代表的な商品です。

  • 主な保障内容

    • 入院給付金:入院1日につき一定額(例:5,000円・10,000円)が支払われる。

    • 手術給付金:手術を受けた場合に所定の金額が支払われる。

    • 通院給付金:通院治療に対して給付金が支払われる(付帯している場合)。

  • 主な特徴

    • 免責期間:契約後一定期間(90日程度)は、疾病を原因とする給付金が支払われない免責期間が設けられているものが多い。

    • 更新型・非更新型:更新型は一定期間ごとに自動更新(保険料が上がる場合あり)、非更新型は保険期間中保険料が変わらない。

法人向け生命保険商品

法人(会社)が契約者となり、役員・従業員を被保険者とする生命保険です。役員退職金の準備・事業保障・福利厚生などを目的として活用されます。

  • 主な活用目的

    • 役員退職金準備:解約返戻金を役員退職時の退職金原資として活用。

    • 事業保障(事業継続):経営者・役員が死亡した場合の事業資金の確保。

    • 死亡退職金・弔慰金の準備:従業員の死亡時の遺族への支払いに備える。

  • 主な法人向け保険商品

    • 定期保険(逓増定期保険・逓減定期保険):低コストで高額の死亡保障を確保。解約返戻金のピークに合わせた設計が重要。

    • 終身保険:解約返戻金を退職金原資に活用。比較的安定した解約返戻率。

    • 養老保険(ハーフタックスプラン):死亡保険金の受取人を遺族(役員・従業員)・満期保険金の受取人を法人に設定することで、保険料の2分の1を損金算入できる商品。

FP試験ポイント:「養老保険のハーフタックスプランは保険料の1/2が損金算入」「逓増定期保険の解約返戻金のピークに注意」は頻出です。

特約の種類と内容

特約とは、主契約に付加して保障内容を充実・変更させる契約です。主契約なしで単独では加入できません。

  • 主な特約の種類

    • 災害割増特約:不慮の事故・天災による死亡・高度障害の場合に、主契約に上乗せして保険金が支払われる。

    • 傷害特約:不慮の事故による死亡・所定の後遺障害に対して給付。

    • 疾病入院特約:病気による入院に対して給付金を支払う。

    • 成人病(生活習慣病)入院特約:ガン・心疾患・脳血管疾患・糖尿病等の生活習慣病による入院に対して給付。

    • 特定疾病保障保険特約:ガン・急性心筋梗塞・脳卒中と診断された場合に一時金が支払われる(その後死亡保障は消滅するものも多い)。

    • 保険料払込免除特則:所定の状態(高度障害・特定疾病等)になった場合に以後の保険料払込みが免除される。

    • リビング・ニーズ特約(生前給付特約):余命6か月以内と診断された場合に死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れる特約。保険料は無料のことが多い。

FP試験ポイント:「リビング・ニーズ特約は余命6か月以内と診断された場合に生前給付」「保険料払込免除特則で以後の保険料が免除」の2点が頻出です。

団体保険・団体年金保険・財形制度

企業や団体が契約者となって従業員等を被保険者とする保険や、勤労者の財産形成を支援する制度です。

  • 団体定期保険(グループ保険)

    企業が契約者・従業員(役員を含む)が被保険者となる1年更新の定期保険。個人で加入するより保険料が割安。死亡した場合の保険金は遺族(受取人)に支払われます。従業員の福利厚生として広く普及しています。

  • 団体信用生命保険(団信)

    住宅ローンの返済中に借主が死亡・高度障害になった場合に残債が保険金で完済される保険。ローン取扱金融機関が契約者、借主が被保険者。フラット35は任意加入。民間住宅ローンは原則加入。

  • 団体年金保険

    企業が拠出した掛金を保険会社が運用し、従業員の老後に年金として支給する企業年金の一形態。確定給付型の企業年金で使われることが多い。

  • 財形保険(財形生命保険)

    一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の各目的に対応した保険会社の積立商品。給与天引きで積み立てます。財形年金・財形住宅は合算550万円まで利子が非課税(保険型385万円まで)。

生命保険の新商品動向

社会の変化・医療の進歩・顧客ニーズの多様化に対応して、生命保険商品の革新が続いています。

  • 主な新商品・新サービスの動向

    • 健康増進型保険:歩数・健康診断の結果等によって保険料が割引される保険。健康管理と保険を連携。

    • 引受基準緩和型保険(限定告知型保険):持病・既往症がある方でも加入しやすいよう告知の質問を簡略化した保険。通常の保険より保険料が高め。

    • 無選択型保険:健康状態の告知不要で加入できる保険。保険料が高く、契約後一定期間(1〜2年程度)内の死亡は保険金が既払い保険料程度の給付にとどまるものが多い。

    • 就業不能保険(所得補償保険):病気・けがで就業不能になった場合に毎月給付金が支払われる保険。自営業者・フリーランスに有効。

保険料と税金(生命保険料控除)

個人が支払った生命保険の保険料は生命保険料控除として所得控除の対象となります(所得税・住民税)。

  • 生命保険料控除の3区分(新制度:2012年以降の契約)

    • 一般生命保険料控除:死亡保険・養老保険等の保険料。上限:所得税4万円・住民税2.8万円

    • 介護医療保険料控除:医療保険・介護保険・がん保険等の保険料。上限:所得税4万円・住民税2.8万円

    • 個人年金保険料控除:税制適格の個人年金保険の保険料。上限:所得税4万円・住民税2.8万円

    3区分の合計上限:所得税12万円・住民税7万円

  • 旧制度(2011年以前の契約)との関係

    2011年12月31日以前に契約した保険は旧制度が適用(一般と個人年金の2区分・各上限5万円・合計10万円)。同一年に新旧両制度が混在する場合は合算して最大12万円控除可。

FP試験ポイント:「新制度は3区分・各4万円・合計最大12万円(所得税)」「旧制度は2区分・各5万円・合計最大10万円」の区別が頻出です。

保険金・給付金と税金

生命保険の保険金・給付金に課される税金は、誰が保険料を支払い(契約者)誰が死亡し(被保険者)誰が受け取るか(受取人)の三者関係によって決まります。

  • 死亡保険金の課税区分(三者の関係)

    • 契約者=被保険者≠受取人(例:父=被保険者・子=受取人):相続税(みなし相続財産として課税)。非課税枠500万円×法定相続人の数が適用。

    • 契約者≠被保険者=受取人(例:父=契約者・母=被保険者・父=受取人):満期・解約時は所得税(一時所得)、死亡時は所得税

    • 契約者・被保険者・受取人がすべて異なる(例:父=契約者・母=被保険者・子=受取人):贈与税(父から子への贈与とみなされる)。

  • 入院給付金・手術給付金等(生前給付)

    被保険者本人が受け取る入院・手術・高度障害給付金等は非課税です。ただし被保険者が死亡して相続人が受け取る場合は相続財産となります。

  • リビング・ニーズ特約による生前給付

    余命6か月以内と診断されて受け取る保険金は非課税(被保険者本人が受け取る場合)。

FP試験ポイント:三者の組み合わせによる課税区分(相続税・所得税・贈与税)の判定は最頻出です。「契約者=被保険者で受取人が相続人以外の場合も相続税(みなし相続財産)」を確認しましょう。

解約返戻金と税金

生命保険を解約して受け取る解約返戻金は、契約者と受取人(解約する人)が同一かどうかによって課税区分が異なります。

  • 契約者=受取人の場合:所得税(一時所得)

    一時所得の金額=解約返戻金-払込保険料総額-50万円(特別控除)
    課税対象額=一時所得×1/2(総合課税で合算)
    例:解約返戻金300万円・払込保険料230万円の場合
    一時所得=300万円-230万円-50万円=20万円 → 課税額=20万円×1/2=10万円

  • 契約者≠受取人の場合:贈与税

    契約者と受取人(解約した人)が異なる場合は、解約返戻金相当額が契約者から受取人への贈与とみなされ贈与税が課されます。

生命保険契約の権利の評価

生命保険契約(保険事故未発生)の権利には財産価値があり、相続等が発生した場合に評価が必要となります。

  • 相続財産としての評価

    被相続人が保険料を負担していた生命保険契約(保険事故未発生)は、相続開始時点の解約返戻金相当額で相続財産として評価されます(F科目の財産評価と同様)。

  • 贈与税の評価

    保険契約の名義変更等により契約者が変わった場合、解約返戻金相当額が贈与税の課税対象となります。

個人年金保険と税金

個人年金保険の受取時の税金は、A科目(年金と税金)で詳述済みです。ここでは保険料控除の要件を確認します。

  • 個人年金保険料控除の要件(税制適格要件)

    • 年金受取人が契約者または配偶者であること。

    • 保険料の払込期間が10年以上であること。

    • 年金受取開始年齢が60歳以上であること。

    • 年金受取期間が10年以上(終身年金は要件を満たす)であること。

  • 受取時の課税

    • 年金受取(契約者=受取人):毎年の年金額のうち必要経費を超える部分が雑所得として課税。

    • 一時金受取(契約者=受取人):差益(受取額-払込保険料)が一時所得として課税。

FP試験ポイント:「税制適格要件(払込10年以上・60歳以降受取・受取10年以上)を満たさない個人年金は一般生命保険料控除の対象となる」点も頻出です。

法人における生命保険の経理処理

法人が生命保険に加入した場合の保険料・給付金・保険金・解約返戻金の経理処理は、保険の種類・保険金受取人の設定によって異なります。

  • 保険料の経理処理(主要パターン)

    • 定期保険(解約返戻金なし):保険料の全額を損金算入(支払保険料として費用計上)。

    • 養老保険(満期保険金受取人が法人):保険料を全額資産計上(保険積立金)。

    • 養老保険(ハーフタックスプラン):死亡保険金受取人=役員・従業員の遺族、満期保険金受取人=法人の場合、保険料の2分の1を損金算入・2分の1を資産計上

    • 定期保険・第三分野保険(解約返戻率が高いもの):解約返戻率のピーク時の返戻率に応じて損金算入割合が決まります(最高解約返戻率が50%超〜85%超の区分ごとに規定あり)。

  • 保険金・解約返戻金の経理処理

    • 死亡保険金(法人受取):受取保険金を益金に計上。資産計上していた保険積立金を取り崩し、差額は雑収入(または雑損失)として処理。

    • 解約返戻金(法人受取):受取返戻金と保険積立金の差額を雑収入(または雑損失)として処理。

  • 配当金・給付金の経理処理

    • 配当金:前期以前積立保険料の返還のため、資産計上している保険積立金を減額処理します。

    • 給付金(入院給付金等・法人受取):雑収入として益金算入。

FP試験ポイント:「ハーフタックスプラン=保険料1/2損金・1/2資産計上」「定期保険(掛け捨て)は全額損金」「法人が保険金を受け取ったときは益金に計上」の3点が最頻出です。

4. 損害保険

損害保険の仕組みと機能

損害保険とは、偶然の事故によって生じた損害を補填する保険です。生命保険と異なり実損填補(じっそんてんぽ)の原則に基づき、実際の損害額を超える補償は行われません。

  • 損害保険の三原則

    • 実損填補の原則:損害が発生した場合に実際の損害額を限度として保険金が支払われます。超過保険(保険金額>保険価額)でも実損以上は支払われません。

    • 利得禁止の原則:保険によって被保険者が利益を得ることを禁止する原則(実損以上の補償は行わない)。

    • 被保険利益:保険の目的(保険をかける財産等)について、事故が発生すると損害を受ける利害関係(被保険利益)がある者のみが保険に加入できます。

  • 保険価額・保険金額・一部保険

    • 保険価額:保険の目的の時価(保険事故発生時の評価額)。支払保険金の限度額。

    • 保険金額:契約で定めた保険の最大支払額(保険価額以上には設定できない)。

    • 一部保険:保険金額<保険価額の場合。比例填補(損害額×保険金額/保険価額)となり、損害の全額は補填されません。

FP試験ポイント:「実損填補の原則」「一部保険は比例填補(損害×保険金額/保険価額)」は頻出です。

損害保険料の仕組み

損害保険の保険料は純保険料と付加保険料で構成されます。リスクの大きさに応じて保険料が設定されます。

  • 純保険料と付加保険料

    • 純保険料:将来の保険金支払いに充てる部分(損害率から計算)。

    • 付加保険料:保険会社の経費・利益に充てる部分。

  • 料率の種類

    • 参考純率:損害保険料率算出機構が統計に基づいて算出・提供する純保険料率の参考値。各保険会社は参考純率を参考に独自の保険料率を設定できます。

    • 自動車保険のノンフリート等級:事故歴に応じて1〜20等級で保険料を調整する割増割引制度。

保険契約・損害賠償と法律知識

損害保険の契約に関する法的知識と、損害賠償制度の概要です。

  • 保険法上の主な規定

    • 告知義務(危険増加の通知義務):損害保険でも告知義務があります。リスクが著しく増加した場合は通知義務があります。

    • 代位(サブロゲーション):保険会社が保険金を支払った後、第三者(加害者等)への損害賠償請求権が保険会社に移転する権利。二重取りを防ぐための仕組みです。

  • 不法行為による損害賠償

    故意または過失によって他人に損害を与えた場合は損害賠償責任を負います(民法709条)。使用者責任(民法715条):従業員が業務上他人に損害を与えた場合、使用者(会社)も賠償責任を負います。製造物責任(PL法):製品の欠陥により損害が生じた場合、製造業者等が過失なくても賠償責任を負います。

損害保険契約の読取り・理解

損害保険の保険証券・約款には保険の目的・保険金額・保険期間・免責事項等が記載されています。

  • 免責(免責事由)

    保険会社が保険金を支払わない事由。地震保険がない火災保険では地震・噴火・津波を原因とする損害は免責となります。故意・重大な過失による損害なども免責となります。

  • 時価基準と新価(再調達価額)基準

    • 時価基準:損害発生時点の時価(減価償却後の価額)で評価・支払い。同等品の再取得には不足する場合がある。

    • 新価(再調達価額)基準:同等の新品を取得するのに必要な費用で評価・支払い。実際の被害の修復に対応できる。

火災保険

火災保険は、火災・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・雪災・水ぬれ・水災などによる建物・家財の損害を補填する保険です。

  • 主な補償内容

    • 火災・落雷・破裂・爆発:基本的な補償として通常含まれる。

    • 風災・ひょう災・雪災:台風・竜巻・積雪等による損害(通常含まれる)。

    • 水災:洪水・土砂崩れ等による損害(補償対象か選択できる商品もある)。

  • 地震・噴火・津波は免責

    火災保険では地震・噴火・津波を原因とする損害は補償されません。地震による損害は別途地震保険に加入する必要があります。

  • 保険の対象:建物・家財

    建物と家財は別途契約が必要です。賃貸住宅の入居者が加入する場合は「家財」の保険が対象(建物は家主が加入)。

地震保険

地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害を補填する保険です。火災保険とセットでのみ加入できます(単独加入不可)。

  • 保険金額の設定

    火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定します。建物の上限は5,000万円・家財の上限は1,000万円です。

  • 損害区分と支払保険金

    • 全損:地震保険金額の100%を支払い。

    • 大半損:地震保険金額の60%を支払い。

    • 小半損:地震保険金額の30%を支払い。

    • 一部損:地震保険金額の5%を支払い。

  • 地震保険の特徴

    政府と民間保険会社が共同で運営します。どの保険会社で契約しても保険料・補償内容は同一(割引制度あり)。時価で評価のため、建物・家財の完全な復旧には保険金が不足することがあります。

FP試験ポイント:「地震保険は火災保険とセットのみ」「保険金額は火災保険の30〜50%・建物上限5,000万円」「損害区分4段階(全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%)」は頻出です。

自動車保険

自動車事故による損害に対応する保険です。自賠責保険(強制保険)任意自動車保険があります。

  • 自賠責保険(強制保険)

    すべての自動車・バイクに加入が義務付けられた保険(自動車損害賠償保障法)。対人賠償のみを対象とし、死亡・傷害・後遺障害に対して限度額の範囲内(死亡:3,000万円・後遺障害:最大4,000万円・傷害:120万円)で支払われます。対物・車両損害・自身のけがは対象外。

  • 任意自動車保険の主な補償

    • 対人賠償保険:自賠責保険を超える対人損害を補填(自賠責保険の超過部分)。

    • 対物賠償保険:他人の財物(車・建物等)への損害を補填。

    • 人身傷害補償保険:過失割合に関係なく、契約した保険金額を限度に実際の損害額が支払われる。

    • 搭乗者傷害保険:搭乗者が傷害を受けた場合に一定額が支払われる(定額払い)。

    • 車両保険:自動車自体の損害を補填。一般型(当て逃げ・自然災害含む)とエコノミー型(限定補償)がある。

  • ノンフリート等級制度

    1〜20の等級で保険料の割増・割引が決まる。無事故なら等級が上がり(1等級UP)割引が拡大。事故を起こすと等級が下がる(3等級DOWN等)。

FP試験ポイント:「自賠責は対人のみ・強制加入」「人身傷害保険は過失割合に関係なく実損払い」「搭乗者傷害は定額払い」の違いが頻出です。

傷害保険

傷害保険は、急激かつ偶然な外来の事故による傷害(身体の損傷)に対して給付金を支払う保険です。第三分野保険の一種で生命保険会社・損害保険会社の双方が販売できます。

  • 支払条件(三要件)

    急激(突発的)」「偶然(予知できない)」「外来(身体の外からの原因)」の三要件をすべて満たす事故による傷害が対象。疾病・細菌感染等は対象外。

  • 傷害保険の主な種類

    • 普通傷害保険:国内外の日常生活中の傷害を補償(業務中・通勤中も含む)。

    • 交通事故傷害保険:交通事故(乗り物の事故)による傷害を補償。

    • 海外旅行傷害保険:海外旅行中の傷害・疾病・賠償責任等を包括的に補償(疾病も対象)。

    • 国内旅行傷害保険:国内旅行中の傷害を補償(疾病は対象外が一般的)。

FP試験ポイント:「傷害保険の三要件(急激・偶然・外来)」「海外旅行傷害保険は疾病も対象・国内は傷害のみ(一般的)」の違いが頻出です。

費用・利益保険・賠償責任保険・積立型損害保険

損害保険の主な種類のうち、日常的・事業的なリスクをカバーする保険です。

  • 費用・利益保険

    • 店舗休業保険(企業):事故等により事業が休業した場合の利益損失・固定費を補填。

    • 家財の臨時費用保険特約:事故後の臨時費用(仮住まい等)の費用を補填。

  • 賠償責任保険

    • 個人賠償責任保険:日常生活における偶然の事故で第三者に損害を与えた場合の賠償責任を補填。自転車事故・ペットが人を噛んだ等に対応。一つの契約で家族全員が補償対象になることが多い。

    • 生産物賠償責任保険(PL保険):製品の欠陥により消費者等に損害が生じた場合の賠償責任を補填。

    • 施設所有管理者賠償責任保険:施設の管理上の事故による賠償責任を補填。

  • 積立型損害保険

    保険料に積立部分が含まれており、満期時に満期返戻金が支払われる損害保険(例:積立傷害保険・積立火災保険等)。保障と貯蓄を兼ねますが、利率は低め。

損害保険の新商品動向

社会環境の変化・自然災害の多発・デジタル化に対応した損害保険商品の革新が進んでいます。

  • 主な新商品・新動向

    • テレマティクス自動車保険:走行距離・運転挙動(速度・急ブレーキ等)をスマートフォン等で計測し、安全運転者には保険料を割引する保険。

    • サイバー保険:企業のサイバー攻撃・情報漏洩に対する賠償・費用を補填する保険。デジタル化の進展に伴い需要が拡大。

    • 自然災害への対応強化:洪水・水害の補償範囲の拡充・超過洪水・土砂崩れ等への対応が充実。

    • ペット保険:ペットの疾病・傷害に対して治療費を補填する保険。需要拡大に伴い商品ラインナップが充実。

個人契約の損害保険と税金

個人が加入する損害保険の保険料・受取保険金・満期返戻金等の税務上の取り扱いです。

  • 保険料と税金

    • 地震保険料控除:地震保険の保険料は地震保険料控除の対象。所得税の控除限度額は50,000円(全額控除)・住民税は25,000円

    • 自動車保険等のその他保険料:地震保険以外の損害保険料は税制上の控除対象外(2006年以降)。ただし旧長期損害保険料控除(経過措置)が一部継続。

  • 保険金と税金

    • 損害保険金(実損填補):建物・家財・自動車等の損害に対する保険金は原則として非課税(損害補填のため)。

    • 傷害保険の死亡保険金:契約者=被保険者≠受取人の場合:相続税。契約者≠被保険者=受取人の場合:所得税(一時所得)。三者異なる:贈与税(生命保険と同様)。

    • 傷害保険の入院給付金等:被保険者本人が受け取る給付金は非課税

  • 満期返戻金・配当金と税金

    積立型損害保険の満期返戻金(契約者=受取人):受取額が払込保険料(積立部分)を上回る差益部分は一時所得として課税。

FP試験ポイント:「地震保険料控除は所得税50,000円・住民税25,000円」「損害保険金(実損填補)は非課税」「傷害保険の死亡保険金は生命保険と同じ三者関係で課税区分が決まる」は頻出です。

法人契約の損害保険と経理処理

法人が加入した損害保険の保険料・満期返戻金・保険金の経理処理です。

  • 保険料の経理処理

    • 掛け捨て型(純保障型):保険料は全額損金算入(支払保険料として費用計上)。

    • 積立型損害保険:積立部分は資産計上(保険積立金)・保障部分は損金算入。

  • 満期返戻金・配当金の経理処理

    積立型損害保険の満期返戻金受取時:保険積立金の取り崩し+差益は雑収入として益金算入

  • 保険金の経理処理

    法人が受け取った保険金は雑収入(益金)として計上します。資産が損壊した場合は損壊した資産の帳簿価額の損失(損金)と保険金収入(益金)を両建てで計上します。

損害賠償金・災害と税金

損害賠償金や災害時の見舞金等の税務上の取り扱いです。

  • 損害賠償金と税金

    • 個人が受け取る損害賠償金(実損補填):身体的損害・財物損害に対する損害賠償金は原則非課税(所得税法上)。

    • 精神的損害(慰謝料):社会通念上相当な金額の慰謝料は非課税。過大な慰謝料は課税される場合あり。

  • 災害と税金(雑損控除・災害減免法)

    • 雑損控除:災害・盗難・横領により住宅・家財に損害が生じた場合、一定額を所得控除できます(D科目参照)。

    • 災害減免法:住宅・家財の損害が半分以上等の場合に所得税を軽減・免除する特例。雑損控除との有利な方を選択できます。

5. 第三分野の保険

医療保険と医療保険特約

第三分野の保険とは、生命保険(人の生死)と損害保険(財物・賠償責任)の中間領域に位置する保険で、生命保険会社・損害保険会社の双方が販売できます。医療保険はその代表的な商品です。

  • 医療保険の主な給付内容

    • 入院給付金:入院1日(免責日数後)につき一定額(日額5,000円・10,000円等)が支払われる。

    • 手術給付金:所定の手術を受けた場合に一定額が支払われる(入院給付金日額の10倍・20倍等)。

    • 退院一時金:所定の日数以上の入院後に退院した場合に一時金が支払われる。

    • 通院給付金:入院後の通院に対して支払われる(付帯している場合)。

  • 主な医療保険の種類・特徴

    • 1入院限度日数:同一疾病での1回の入院について保険金が支払われる最大日数(60日・180日・360日等)。退院後一定期間(通常180日)以内に同一疾病で再入院すると継続入院とみなされます。

    • 通算限度日数:生涯または一定期間における給付金の上限日数(730日・1,000日・無制限等)。

    • 免責日数:入院開始から給付金が支払われるまでの日数(0日免責・3日免責等)。

FP試験ポイント:「1入院限度日数・通算限度日数・免責日数の3つの制限」「退院後180日以内の同一疾病の再入院は継続入院とみなす」は頻出です。

生前給付保険と特約

生前給付保険とは、被保険者が生存中(生前)に一定の状態(特定の疾病診断・高度障害等)になった場合に、死亡保険金相当の保険金が支払われる保険です。

  • 特定疾病保障保険(三大疾病保険)

    ガン・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病のいずれかと診断された場合に保険金(特定疾病保険金)が支払われます。
    支払い後に死亡した場合:すでに特定疾病保険金が支払われているため死亡保険金は支払われません(特定疾病保険金と死亡保険金は同額・どちらか一方のみ)。
    三大疾病に罹患せず死亡した場合:死亡保険金が支払われます。

  • リビング・ニーズ特約(生前給付特約)

    余命6か月以内と診断された場合に、死亡保険金の全部または一部(通常3,000万円以内)を生前に受け取れる特約。
    ・保険料:無料(多くの保険会社)。
    ・税務:本人が受け取る場合は非課税
    ・受け取った後に死亡した場合:受取額に対応した死亡保険金は支払われません。受け取った金額は使い残しがあれば相続財産となります。

  • 高度障害保険金

    所定の高度障害状態(両眼失明・両手切断等)になった場合に死亡保険金と同額の保険金が支払われます(生命保険の主契約)。非課税で受け取れます。受取後に死亡した場合の死亡保険金は支払われません(高度障害保険金と死亡保険金は同額・どちらか一方)。

FP試験ポイント:「リビング・ニーズ特約は余命6か月以内・非課税・保険料無料」「特定疾病保険金と死亡保険金はどちらか一方のみ」は頻出です。

介護保険と特約(民間介護保険)

民間介護保険とは、要介護状態になった場合に保険会社が給付金・年金を支払う保険です。公的介護保険(A科目・社会保険で学習)を補完する役割を持ちます。

  • 給付の要件(支払基準)

    • 公的介護保険連動型:公的介護保険の要介護認定(要介護2以上等)を基準に支払われる商品。

    • 保険会社独自基準型:保険会社が定めた独自の要介護状態(所定の診断・期間継続等)を基準に支払われる商品。

  • 給付の形態

    • 一時金型:要介護状態になった時点で一時金が支払われる。

    • 年金型:要介護状態が続く限り毎年(または毎月)年金が支払われる。長生きリスクに対応。

  • 介護特約

    生命保険の主契約に付加して介護保障を上乗せする特約。介護一時金特約・介護年金特約等があります。

  • 民間介護保険の保険料と税金

    民間介護保険の保険料は介護医療保険料控除(新制度:上限4万円)の対象となります。受け取る介護保険金・給付金は被保険者本人が受け取る場合は非課税です。

FP試験ポイント:「民間介護保険の保険料は介護医療保険料控除の対象(上限4万円)」「給付金は非課税」「公的介護保険と民間介護保険の支払基準の違い」は頻出です。

がん保険と特約

がん保険は、がん(悪性新生物)に特化して保障する保険です。公的な医療保険との組み合わせで活用します。

  • 主な給付内容

    • がん診断一時金:がんと診断確定された場合に一時金(100万円・200万円等)が支払われる。

    • がん入院給付金:がんによる入院に対して日額給付(入院日数制限なし・無制限のものが多い)。

    • がん手術給付金:がんの手術に対して給付。

    • がん治療給付金:抗がん剤治療・放射線治療等に対する給付。

    • 通院給付金:がん治療のための通院に対して給付。

  • がん保険の特徴的な規定

    • 免責期間(90日):契約から90日間(または3か月間)はがんによる給付金が支払われない免責期間があります(告知義務違反防止のため)。この期間中にがんと診断された場合は契約が無効となります。

    • 上皮内新生物の扱い:上皮内がん(悪性新生物のごく初期)は通常の悪性新生物より低い給付額(または不担保)になることがあります。契約内容の確認が重要。

FP試験ポイント:「がん保険は免責期間90日」「上皮内新生物は給付が低いまたは不担保の場合あり」「入院日数制限なし(一般の医療保険と異なる)」は頻出の引っかけポイントです。

その他の第三分野の保険と特約

医療・介護・がん以外の第三分野の保険と、注目されている商品です。

  • 就業不能保険(所得補償保険)

    病気・けがで就業不能になった場合に毎月一定額の給付金が支払われる保険。
    就業不能保険(生命保険系):長期の就業不能に対応。病気・精神疾患も対象にするものが多い。
    所得補償保険(損害保険系):就業不能による所得の喪失を実損填補ベースで補填。通常1〜2年の支払期間。
    いずれも自営業者・フリーランス・収入が不安定な方に特に有効。

  • 引受基準緩和型医療保険(限定告知型)

    持病・既往症がある方でも加入しやすいよう告知事項を限定した医療保険。通常の医療保険より保険料が高く・保障内容に制限がある場合があります。

  • 先進医療特約

    厚生労働大臣が認定した先進医療の技術料を補填する特約。受診時点で認定されている先進医療が対象(契約時点ではなく受診時点での認定が基準)。保険料は少額。

  • 女性疾病特約・女性保険

    女性特有の疾病(乳がん・子宮がん・帝王切開等)に対して通常の給付金に上乗せして給付する特約・保険。

FP試験ポイント:「先進医療特約は受診時点での認定が基準(契約時ではない)」「就業不能保険は自営業者・フリーランスに特に有効」「がん保険の90日免責期間と第三分野の非課税(被保険者本人受取)」は頻出です。

6. リスク管理と保険

死亡保障と保険設計

死亡リスクへの備えは家族構成・ライフステージ・収入状況によって必要な保障額が大きく変わります。公的保険(遺族年金)と合わせて不足分を民間保険で補う考え方が基本です。

  • 必要保障額の考え方

    必要保障額=遺族が必要とする総資金(生活費・教育費・住宅費等)-遺族が受け取れる収入(遺族年金・配偶者の収入・既存の保険金・預貯金等)。子どもが小さい時期に最大となり、子の成長とともに逓減します(収入保障保険が有効)。

  • ライフステージ別の保険設計(例)

    • 独身期:高額な死亡保障は不要。本人の医療保障・就業不能保障を中心に。

    • 結婚・子育て期(最も保障ニーズが高い):収入保障保険・定期保険で高額の死亡保障を確保(割安に高保障を得るため)。住宅ローン加入時は団信で一定の死亡保障が確保される点も考慮。

    • 子独立後・老後:死亡保障ニーズは低下。終身保険の解約返戻金を老後資金や相続対策に活用。

医療保障と保険設計

医療リスクへの備えは公的医療保険(健康保険・国民健康保険)を土台に、民間の医療保険・がん保険で上乗せ補償するのが基本です。

  • 公的医療保険との役割分担

    公的医療保険で自己負担(3割)・高額療養費制度(月の自己負担に上限)が適用されます。民間保険は差額ベッド代・先進医療・長期入院中の収入減少等の公的医療保険でカバーされない費用を補填します。

  • 職業・年齢別の保険設計ポイント

    • 自営業者・フリーランス:傷病手当金がないため、就業不能保険・所得補償保険が特に重要。

    • 高齢者:入院日数が長期化しやすいため通算入院日数の多い医療保険・介護保険が有効。

  • 保険設計の留意点

    更新型の医療保険は更新時に保険料が上がる点・がん保険は免責期間90日・上皮内新生物の扱いを確認することが重要です。

老後準備と保険設計

老後資金・介護リスク・医療費増加への備えとして、保険・年金・資産運用を組み合わせた設計が重要です。

  • 老後の保険設計のポイント

    • 個人年金保険:公的年金の不足分を補う老後の定期的な収入確保。税制適格個人年金は個人年金保険料控除(4万円)が適用。

    • 終身医療保険:老後の医療費増加に備え、終身型(保険料固定)の医療保険を現役時代から加入しておく。

    • 民間介護保険:公的介護保険を補完する一時金・年金型の介護保険。要介護認定連動型または独自基準型を選択。

    • 終身保険の解約返戻金活用:払込満了後の解約返戻金を老後資金・相続対策に活用。

損害保険を利用した家庭のリスク管理(物・人・賠償責任)

家庭の財産・人・賠償責任に関するリスクを損害保険で管理します。適切な組み合わせを提案できることが重要です。

  • 物(住宅・自動車等)と保険設計

    • 持ち家:火災保険(建物・家財)+地震保険(地震・噴火・津波リスクをカバー)。新価基準での加入が推奨(時価基準では復旧費用が不足する場合がある)。

    • 賃貸住宅:家財の火災保険(借家人賠償責任特約を付帯すると水漏れ等の損害賠償も補償)。建物は家主が加入するため不要。

    • 自動車:自賠責保険(強制・対人のみ)+任意自動車保険(対人・対物・人身傷害・車両等を状況に応じて選択)。

  • 人と保険設計

    傷害保険(普通・交通・海外旅行):けが・事故に対する給付。海外旅行時は疾病も対象の海外旅行傷害保険が有効。

  • 賠償責任と保険設計

    個人賠償責任保険:日常生活での事故(自転車事故・ペット・水漏れ等)の賠償リスクに対応。家族全員をカバーするものが多く割安。火災保険・自動車保険の特約として付帯できる場合もある。

顧客層別・年齢別の保険を利用したリスク管理

顧客の職業・家族構成・年齢に応じて、優先すべきリスクと適切な保険の組み合わせが変わります。

  • 会社員(有配偶・子あり)

    優先順位:①死亡保障(収入保障保険・定期保険)→ ②医療保障(医療保険)→ ③老後準備(個人年金・iDeCo)→ ④損害保険(火災・自動車・個人賠償)。傷病手当金・遺族厚生年金で一定の公的保障があるため、その分を差し引いた必要保障額を設定します。

  • 自営業者・個人事業主

    優先順位:①就業不能保険・所得補償保険(傷病手当金なし)→ ②死亡保障 → ③老後準備(iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済)。公的保障が手薄なため、民間保険での手厚い補完が重要です。

  • 高齢者(定年後)

    死亡保障は縮小・医療保険(終身型)・介護保険のニーズが高まります。過剰な生命保険は見直しを検討。後期高齢者医療制度移行後(75歳以降)の自己負担割合変化にも対応した設計が必要。

役員と保険設計(生命保険を利用した事業活動のリスク管理)

経営者・役員の生命保険を活用したリスク管理・退職金準備の設計です。法人契約が中心となります。

  • 経営者の死亡リスクへの備え

    会社が契約者・被保険者を経営者とする死亡保険に加入し、経営者が死亡した際の借入金返済・事業継続・株式買取等の資金を確保します。
    活用商品:逓増定期保険・長期定期保険(死亡保障+解約返戻金の活用)・終身保険(解約返戻金を退職金原資に)。

  • 役員退職金の準備

    会社が契約者・保険料負担者となり、解約返戻金を役員退職時の退職金原資に活用します。
    保険料の経理処理:解約返戻率に応じて損金算入割合が決まります(2020年改正)。
    退職金支払い時:法人は退職金を損金算入(法人税の節税効果)・受取側(役員)は退職所得として優遇課税。

FP試験ポイント:「ハーフタックスプランは1/2損金・1/2資産計上」「役員退職金の損金算入と受取時の退職所得優遇の組み合わせ」は頻出です。

従業員と保険設計(生命保険を利用した事業活動のリスク管理)

従業員の福利厚生・退職金準備・業務中の事故への備えとして、法人加入の生命保険を活用します。

  • 退職金・弔慰金の準備

    • 中小企業退職金共済(中退共):会社が加入し掛金を全額損金算入。退職時に中退共から従業員に直接退職金が支払われる。

    • 団体定期保険(グループ保険):従業員全員を被保険者とする1年更新の定期保険。死亡弔慰金・死亡退職金の原資に活用。保険料は全額損金算入。

  • 業務上の事故への備え

    業務中・通勤中の傷害・疾病は労災保険(強制加入)で補填されますが、法定の補償では不十分な場合、傷害保険・団体定期保険・労災上乗せ保険を付加して補完します。

損害保険を利用した事業活動のリスク管理(物・人・賠償責任)

企業の事業活動に関わる財物・人・賠償責任のリスクを損害保険で管理します。

  • 物(建物・機械設備等)と保険設計

    • 企業向け火災保険:工場・事務所・倉庫等の建物・設備・商品等を対象とした企業向けの火災・水害等の損害保険。

    • 動産総合保険:機械・設備・電気製品等の動産(建物以外の財産)の損害を包括的に補填。輸送中・作業中の損害にも対応。

    • 店舗休業保険(企業費用・利益保険):事故・災害による休業中の利益損失・固定費(人件費・賃料等)を補填。

  • 人と保険設計

    • 業務災害総合保険(労災上乗せ保険):労災保険の給付に上乗せして、より手厚い補償を提供する保険。

    • 海外出張者向け保険:海外赴任・出張中の従業員の傷害・疾病・賠償責任等を補償する保険。

  • 賠償責任と保険設計

    • 生産物賠償責任保険(PL保険):製品の欠陥による消費者・第三者への損害賠償に対応(製造物責任法・PL法への対応)。

    • 施設所有管理者賠償責任保険:施設(店舗・工場等)の管理上の事故による第三者への賠償に対応。

    • 使用者賠償責任保険:労働災害により従業員から損害賠償請求された場合に対応。労災保険では補填できない民事上の賠償を補填。

    • サイバー保険:サイバー攻撃・情報漏洩に対する損害賠償・復旧費用等を補填。デジタル化の進展に伴い需要が拡大。

FP試験ポイント:「PL保険は製品欠陥による賠償に対応(PL法への対応)」「使用者賠償責任保険は労災の民事賠償を補填」「店舗休業保険は利益損失・固定費を補填」は頻出です。

7. リスク管理の最新の動向

法人向け保険の経理処理ルール改正(2020年)の定着

2020年2月に国税庁の通達改正により、定期保険・第三分野保険の法人経理処理ルールが整備されました。改正後の運用が定着しており、FPとして正確な理解が求められます。

  • 改正の概要(3級も確認)

    最高解約返戻率に応じた4区分(50%以下・50%超70%以下・70%超85%以下・85%超)で損金算入割合が決まります。
    従来の「逓増定期保険」を活用した過度な節税策が制限され、本来の保険目的(死亡保障・事業継続)での活用に戻りました。

生命保険料控除制度の見直し議論

2012年に現行の3区分制度(一般・介護医療・個人年金)が導入されて以来、少子化対策・社会保障の充実を背景に、控除制度のさらなる拡充が議論されています。

  • 現行制度の概要(確認)

    3区分それぞれ所得税上限4万円・住民税上限2.8万円。合計最大所得税12万円・住民税7万円。旧制度(2011年以前の契約)は2区分・各5万円・合計10万円。

損害保険の料率改定・火災保険の保険期間短縮

自然災害の多発・気候変動の影響により、損害保険の保険料水準と制度が大きく変化しています。

  • 火災保険の保険期間短縮(2022年〜)

    2022年10月から、火災保険の最長保険期間が10年から5年に短縮されました(2022年10月以降の契約から適用)。従来は最長10年の長期一括払いで割安に契約できましたが、短縮により長期割引メリットが縮小しています。

  • 保険料の引き上げ傾向

    台風・豪雨・洪水等の自然災害の多発により保険金支払いが増加し、各社が火災保険料・自動車保険料等の見直し(引き上げ)を実施しています。特に水災リスクの高い地域での保険料上昇が顕著です。

FP試験ポイント:「火災保険の最長保険期間は現在5年(2022年10月〜)」「地震保険の損害4区分(全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%)」は頻出です。

インシュアテックと保険商品・サービスの革新

テクノロジーを活用した保険(インシュアテック)の進展により、保険商品・サービス・販売方法が大きく変化しています。

  • デジタル化・スマートフォン活用

    スマートフォンアプリからの保険加入・保険金請求・契約管理が普及。ペーパーレス化による手続きの簡素化。電子的手段によるクーリングオフ・告知が認められるようになっています(保険業法改正)。

  • 主な新商品・新サービス

    • 健康増進型保険:歩数・健診結果等によって保険料が変動する保険。予防医療との連携。

    • テレマティクス自動車保険:走行距離・運転挙動に応じた保険料設定。安全運転者優遇。

    • サイバー保険の拡大:企業のサイバー攻撃・情報漏洩リスクへの対応需要が増加。個人向けサイバー保険も登場。

    • 短期・少額保険の拡大:特定のリスクのみを短期間カバーする保険(旅行・イベント・ペット等)。少額短期保険業者の活躍。

社会的リスクの変化と保険ニーズの多様化

少子高齢化・働き方の多様化・気候変動等の社会変化が保険ニーズを大きく変えています。

  • 就業不能リスクへの注目の高まり

    副業解禁・フリーランス・ギグワーカーの増加に伴い、傷病手当金の対象外となる就業形態が増加しています。就業不能保険・所得補償保険のニーズが高まっており、FPとして自営業者・フリーランスへの積極的な提案が求められます。

  • 認知症・介護リスクへの備えの充実

    認知症保険・就業不能保険(精神疾患対応型)の需要が急増しています。2025年以降、団塊の世代が75歳以上を迎え(2025年問題)、介護保険・認知症保険への関心がさらに高まると予想されます。

  • 気候変動リスクと損害保険

    気候変動に伴う自然災害の激甚化(台風・豪雨・土砂崩れ等)が続いています。水災リスクに応じた保険料設定(ハザードマップに基づく地域別料率)の導入が進んでいます。マンション・住宅の水災補償の加入率向上が課題となっています。

ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。


住宅ローン計算ツール

NISA / iDeCo 積立シミュレーター

ポートフォリオ効率フロンティア可視化ツール


ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。