ファイナンス、情報通信技術のスキル・アグリゲーション・サイト

' . iseeit.jp ファイナンス . '
 

ファイナンシャル・プランニング技能検定

D

タックスプランニング

FP2級学科試験主要用語集2026

3級の個人課税に加え、法人課税・消費税・会社と役員間の取引・決算書の分析まで扱う、6科目中最も守備範囲の広い科目です。

テーマ1〜9は3級と同じ項目ですが、知識水準が「概略」から「一般的な知識」へ引き上げられます。各種所得の計算・損益通算・所得控除の金額計算を正確に行えるレベルが求められます。特に不動産所得・事業所得の必要経費の判定、給与所得控除の計算、退職所得の計算(勤続年数ごとの退職所得控除額)は頻出の計算問題です。税額控除では2級限定で外国税額控除・その他の税額控除まで対象が広がります。

テーマ10〜12が2級の最大の追加範囲です。法人税では納税義務者・事業年度・所得計算の仕組みから、益金(受取配当等の益金不算入等)・損金(減価償却・役員給与・交際費・貸倒損失・繰越欠損金など25項目)・同族会社の特別規定・地方法人税まで概略として習得します。法人住民税・法人事業税・消費税(非課税と不課税の区別・簡易課税・免税点等)も対象です。

テーマ14「会社・役員間の税務」は2級実務問題の核心です。役員退職金の適正額・資産売買・賃貸借・金銭貸借・第三者割当増資など会社と役員間の取引に伴う課税関係と、グループ通算制度・組織再編税制を概略で押さえます。テーマ15「決算書と法人税申告書」では財務諸表の読み方・収益性/安全性/成長性分析・損益分岐点分析が加わり、テーマ16で諸外国の税制度の概略も対象となります。

1. わが国の税制

わが国の税制・税法体系

租税法律主義に基づき、税金は国会が制定した法律によってのみ課すことができます。2級では主要な税法の体系と各税法の位置づけを正確に把握する必要があります。

  • 税法の体系

    • 所得税法・法人税法・相続税法・消費税法・地方税法等:各税目の課税要件・税率・申告手続き等を定める個別法。

    • 租税特別措置法(措置法):政策目的から本則の税率・控除とは異なる特別な優遇・負担措置を定める法律。居住用財産の特例・中小企業優遇等の根拠法令。毎年の税制改正で見直されます。

    • 通達・基本通達:国税庁・各国税局が定める法律の解釈・運用指針。法律ではないが税務実務上の重要な基準となります。

  • 除斥期間と時効

    税務署が更正・決定を行える期間(除斥期間)は原則として5年(偽りその他不正行為がある場合は7年)。申告義務のない場合でも申告書を提出した日から5年で時効が完成します。

税の種類

税金は「国税か地方税か」「直接税か間接税か」「申告納税か賦課課税か」の3軸で整理できます。2級では各税の位置づけを体系的に理解する必要があります。

  • 国税と地方税の主な税目

    • 国税:所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税・印紙税・登録免許税・関税など。

    • 道府県税:個人住民税(道府県民税)・法人住民税(道府県分)・個人事業税・法人事業税・不動産取得税・自動車税など。

    • 市町村税:個人住民税(市町村民税)・法人住民税(市町村分)・固定資産税・都市計画税・軽自動車税など。

  • 直接税と間接税

    • 直接税:税の負担者と納税者が同一。所得税・法人税・相続税・固定資産税など。

    • 間接税:税の負担者(消費者等)と納税者(事業者等)が異なる。消費税・酒税・たばこ税・揮発油税など。

  • 申告納税方式と賦課課税方式

    • 申告納税方式:納税者自らが税額を計算し申告・納税。所得税・法人税・消費税・相続税・贈与税など。

    • 賦課課税方式:税務当局が税額を決定し通知書を送付。個人住民税・個人事業税・固定資産税・不動産取得税など。

  • 税負担の軽重による分類

    • 累進課税:所得が多いほど高い税率を適用。所得税・相続税など。

    • 比例課税:一定の税率を適用。消費税・住民税所得割(一律10%)など。

2. 所得税の仕組み

所得税の定義と基本的事項

所得税とは、個人が1年間(暦年)に得た所得に対して課される国税です。超過累進税率(5〜45%の7段階)が適用され、所得が多いほど高い税率がかかります。

  • 税率と速算表

    税額=課税所得金額×税率-控除額(速算表の控除額)
    主な速算(2024年度):
    ・195万円以下:5%(控除0円)
    ・195万円超330万円以下:10%(控除97,500円)
    ・330万円超695万円以下:20%(控除427,500円)
    ・695万円超900万円以下:23%(控除636,000円)
    ・900万円超1,800万円以下:33%(控除1,536,000円)
    ・1,800万円超4,000万円以下:40%(控除2,796,000円)
    ・4,000万円超:45%(控除4,796,000円)

  • 納税義務者の範囲(★2級のみ)

    • 居住者(無制限納税義務者):国内に住所あり、または1年以上居所がある個人。国内外すべての所得が課税対象。

    • 非居住者(制限納税義務者):居住者以外の個人。国内源泉所得のみ課税対象。

    • 非永住者:居住者のうち、日本国籍を持たず過去10年以内に国内在住期間が5年以下の者。国内源泉所得と国外から国内への送金分のみ課税。

  • 納税地

    原則として1月1日現在の住所地。住所がない場合は居所地。国内に住所・居所がない場合は勤務地等。

  • 収入金額・必要経費・非課税所得

    収入金額:源泉徴収前の総受取額。権利確定主義(権利が確定した時点で収入に計上)が原則。
    必要経費:所得を得るために直接要した費用。事業所得・不動産所得で計上。家事費(私的費用)は算入不可。
    非課税所得:通勤手当(月15万円まで)・遺族年金・傷病手当金・雇用保険の失業等給付・損害保険金(実損補てん部分)・宝くじ当選金など。

所得税の計算手順

所得税の計算は5段階の手順で行います。2級では各ステップの意味と数値の流れを計算問題の中で追える能力が求められます。

  • STEP 1:各種所得金額の計算

    10種類の所得区分ごとに所得金額を算出。各所得の計算式は「各種所得の内容」を参照。

  • STEP 2:損益通算・繰越控除

    不・事・山・譲の損失を他の所得と相殺して総所得金額等を算出。

  • STEP 3:所得控除の適用

    総所得金額等から15種類の所得控除を差し引いて課税総所得金額を算出。

  • STEP 4:税額の計算

    課税総所得金額×超過累進税率=算出税額。速算表の控除額を差し引いて計算します。

  • STEP 5:税額控除・源泉徴収税額の精算

    算出税額から税額控除(住宅ローン控除・配当控除等)を差し引き→復興特別所得税額(×2.1%)を加算→源泉徴収税額・予定納税額を差し引いた残額が納付税額(または還付額)。

税額の計算方法・総合課税と分離課税

課税方式は総合課税・申告分離課税・源泉分離課税の3種類があります。同一の所得でも課税方式の選択によって税負担が変わる場合があります。

  • 総合課税

    給与所得・事業所得・不動産所得・一時所得・雑所得等を合算して超過累進税率を適用。所得が多いほど高税率がかかります。配当所得は申告分離・総合・申告不要から選択可。

  • 申告分離課税

    他の所得と切り離して一定税率を適用し確定申告で納税。
    主な対象:土地・建物の譲渡所得(短期39.63%・長期20.315%)、株式等の譲渡所得(20.315%)、先物取引の雑所得(20.315%)、山林所得(5分5乗方式)など。

  • 源泉分離課税

    支払い時に20.315%を天引きして課税完結。預貯金利子・一般公社債の利子等が対象。申告不要で確定申告しても還付を受けられません。

  • 租税特別措置法

    本則の税率・控除以外に特別な優遇措置を定める法律。一時的な政策効果を目的とするため、毎年の税制改正で見直されます。居住用財産の3,000万円特別控除・軽減税率の特例などが根拠法令。

復興特別所得税

2013年から2037年まで、所得税額に2.1%を乗じた金額が復興特別所得税として追加課税されます。源泉徴収・申告納税ともに適用されます。

  • 計算式と実効税率

    復興特別所得税=基準所得税額×2.1%
    例:申告分離課税15%の場合 → 15%×1.021=15.315%(住民税5%と合わせて20.315%
    例:総合課税で税率23%の場合 → 実効税率23%×1.021≒23.483%

3. 各種所得の内容

利子所得

利子所得とは、預貯金・公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金などから生じる所得です。必要経費の控除は認められません。

  • 計算式

    利子所得の金額=収入金額(必要経費の控除なし)

  • 課税方式の区分

    • 源泉分離課税(20.315%):預貯金の利子・一般公社債の利子・公社債投資信託の収益分配金など。確定申告不要。

    • 申告分離課税(20.315%):特定公社債等(国債・地方債・上場公社債等)の利子。確定申告により上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能。

    • 総合課税:国外の金融機関の預金利子など一部の利子。

  • 非課税となる利子

    障害者等のマル優・特別マル優(元本350万円・350万円まで)。財形住宅・財形年金貯蓄(元本550万円まで)。NISA口座内の利子。

2級重要ポイント:「一般公社債は源泉分離課税(損益通算不可)」と「特定公社債等は申告分離課税(損益通算可能)」の区別が頻出です。

配当所得

配当所得とは、株式の配当金・投資信託の普通分配金・剰余金の分配などから生じる所得です。借入金で株式を取得した場合は借入金利子を控除できます。

  • 計算式

    配当所得の金額=収入金額-株式等の取得のための借入金の利子

  • 課税方式の選択(上場株式等)

    • 申告分離課税(20.315%):上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能。損益通算後に控除しきれない損失は3年間繰越控除できます。

    • 総合課税:課税総所得金額が1,000万円以下の部分は配当控除(所得税10%・住民税2.8%)が適用可能。所得水準が低い場合に有利。

    • 申告不要:源泉徴収(20.315%)のみで課税完結。損益通算・配当控除の適用なし。

  • 課税方式の有利不利の判断

    課税所得900万円以下の場合:総合課税で配当控除を活用すると有利になりやすい。
    株式譲渡損失がある場合:申告分離課税で損益通算が有利。
    所得が多い場合:申告不要で源泉徴収完結が有利なことが多い。

不動産所得

不動産所得とは、土地・建物・船舶・航空機などの貸付けによって生じる所得です。

  • 計算式

    不動産所得の金額=収入金額-必要経費
    必要経費:固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費・管理費・借入金利息など。

  • 損益通算の制限

    不動産所得の赤字は他の所得と損益通算できますが、土地取得のための借入金利息に相当する部分の赤字は損益通算の対象外です。建物取得のための借入金利息は通算可能です。

  • 事業的規模と非事業的規模

    貸付け規模が5棟10室基準(一戸建て5棟以上または部屋数10室以上)を満たす場合は事業的規模とみなされ、青色申告特別控除の最大65万円・事業専従者給与の全額必要経費算入等の特典が受けられます。非事業的規模では特別控除は10万円です。

2級重要ポイント:「土地取得借入金利息の損益通算不可」「5棟10室基準」は2級の最頻出論点です。

事業所得

事業所得とは、農業・漁業・製造業・小売業・サービス業・自由業など、継続的・反復的に行う事業から生じる所得です。

  • 計算式

    事業所得の金額=収入金額-必要経費(-青色申告特別控除額)
    必要経費:仕入代金・人件費・地代家賃・減価償却費・広告宣伝費など。

  • 家事関連費の取扱い

    自宅兼事務所の家賃・水道光熱費等の家事と業務の両方に関わる費用(家事関連費)は、業務遂行上必要な部分を合理的に按分した金額のみ必要経費に算入できます。

  • 青色事業専従者給与

    青色申告者が生計を一にする配偶者等に支払う給与のうち、労務の対価として相当な金額は全額必要経費に算入できます(事前に税務署への届出が必要)。

  • 事業所得と雑所得の区別

    副業収入が事業所得か雑所得かは、活動の継続性・反復性・規模・収益性等で判断。帳簿書類の保存がある場合は事業所得として認められやすくなります(2022年の国税庁通達改正)。

給与所得

給与所得とは、勤務先から受け取る給与・賞与・手当などから生じる所得です。

  • 計算式と給与所得控除額の速算

    給与所得の金額=給与等の収入金額-給与所得控除額
    主な速算(2024年度):
    ・収入162.5万円以下:55万円
    ・収入180万円以下:収入×40%-10万円
    ・収入360万円以下:収入×30%+8万円
    ・収入660万円以下:収入×20%+44万円
    ・収入850万円以下:収入×10%+110万円
    ・収入850万円超:195万円(上限)

  • 所得金額調整控除

    給与収入850万円超で、本人が特別障害者・23歳未満の扶養親族あり・同一生計配偶者または扶養親族が特別障害者の場合に適用。(給与収入-850万円)×10%(最高15万円)を給与所得から控除。

  • 特定支出控除

    通勤費・転居費・研修費・資格取得費・帰宅旅費・勤務必要経費(書籍・衣服・交際費:限度65万円)が対象。特定支出の合計が給与所得控除額の1/2を超える場合、超過部分を追加控除。

2級重要ポイント:給与所得控除の速算表は実際の計算問題で使用します。上限195万円(収入850万円超)は必須暗記です。

譲渡所得

譲渡所得とは、土地・建物・株式・ゴルフ会員権・貴金属などの資産の譲渡による所得です。対象資産によって課税方式・税率・特例が大きく異なります。

  • 土地・建物の譲渡所得(申告分離課税)

    譲渡所得の金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-各種特別控除
    取得費が不明な場合は譲渡収入金額の5%を概算取得費として使用可能。
    短期譲渡所得(所有期間5年以下):税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
    長期譲渡所得(所有期間5年超):税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
    ※所有期間は譲渡した年の1月1日現在で判定。

  • 株式等の譲渡所得(申告分離課税)

    申告分離課税(20.315%)。上場株式等の譲渡損失は同年の配当所得(申告分離選択分)・利子所得(申告分離)と損益通算でき、控除しきれない損失は3年間繰越控除可能。

  • 総合課税の譲渡所得(一般動産・ゴルフ会員権等)

    譲渡所得の金額=(総収入金額-取得費-譲渡費用)-特別控除50万円
    ・短期(所有5年以下):全額を他の所得と合算
    ・長期(所有5年超):1/2を他の所得と合算

  • 居住用財産の3,000万円特別控除(概要)

    マイホームを売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例。所有期間の制限なし(ただし居住用であることが要件)。

2級重要ポイント:土地・建物の短期(39.63%)・長期(20.315%)の税率の違い、株式等の損益通算・繰越控除、「概算取得費5%」が頻出計算問題です。

一時所得

一時所得とは、継続的ではない一時的・偶発的な所得で、他の所得区分に当たらないものです。

  • 計算式

    一時所得の金額=収入金額-収入を得るために支出した費用-特別控除額50万円
    課税対象額=一時所得の金額×1/2(総合課税で他の所得に合算)

  • 主な該当例と計算例

    例:生命保険の満期保険金400万円(払込保険料合計300万円)の場合
    一時所得=400万円-300万円-50万円=50万円
    課税対象額=50万円×1/2=25万円(総合課税の対象として他の所得に加算)

  • 50万円の特別控除の適用順序

    複数の一時所得がある場合、すべての一時所得を合算してから50万円の特別控除を差し引きます。一時所得ごとに50万円が適用されるわけではありません。

2級重要ポイント:一時所得の計算(2段階:控除後×1/2)・特別控除50万円は一時所得全体で1回のみ適用される点が頻出です。

雑所得

雑所得とは、他の9種類の所得に当てはまらない所得です。公的年金等・副業収入・暗号資産の売却益・外貨預金の為替差益などが該当します。

  • 公的年金等の計算式

    雑所得(公的年金等)=収入金額-公的年金等控除額
    公的年金等控除額は年齢(65歳未満/以上)・収入金額・他の所得金額(1,000万円超かどうか)によって異なる。65歳以上で年金収入158万円以下は非課税(控除額が収入以上になるため)。

  • 業務・その他(副業収入等)

    雑所得(業務・その他)=収入金額-必要経費
    前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円超の場合は収支内訳書の添付が必要。300万円超の場合は帳簿書類の保存が義務付けられています。

  • 損益通算・損失の繰越の制限

    雑所得の赤字は他の所得との損益通算が一切できません。また損失の繰越控除も認められません。

2級重要ポイント:公的年金等控除額の計算(65歳前後の違い)・雑所得は損益通算不可・副業収入300万円超で帳簿保存義務は押さえましょう。

退職所得

退職所得とは、退職手当・一時恩給・iDeCoの一時金受取など、退職を契機に受け取る一時的な所得です。退職所得控除と1/2課税により税負担が大幅に軽減されます。

  • 退職所得の計算式

    退職所得の金額=(退職収入金額-退職所得控除額)×1/2
    ※勤続年数5年以下の役員等の退職金は1/2を適用しない(短期退職手当等)。
    ※勤続年数5年以下の役員以外の短期退職手当は、300万円超の部分は1/2を適用しない。

  • 退職所得控除額の計算

    • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)

    • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

    例:勤続35年の場合 → 800万円+70万円×15年=1,850万円
    退職金2,500万円なら:(2,500万円-1,850万円)×1/2=325万円が退職所得

  • 申告分離課税・申告書の提出

    「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出すれば、正確な税額が源泉徴収され確定申告不要。提出しない場合は一律20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算が必要になります。

  • 同一年内の複数の退職所得

    同一年内に複数の退職金を受け取った場合(例:会社退職金+iDeCo一時金)は、勤続期間の重複がある場合に退職所得控除額の調整が必要です。

2級重要ポイント:退職所得控除額の計算(20年の境界)・×1/2課税・申告書提出で確定申告不要になる仕組みは計算問題として最頻出です。

山林所得

山林所得とは、取得から5年超の山林を伐採して売却したり、立木のまま譲渡することによって生じる所得です。5年以内の取得・譲渡は事業所得または雑所得です。

  • 計算式

    山林所得の金額=収入金額-必要経費-特別控除額50万円

  • 5分5乗方式による申告分離課税

    山林所得額を5等分(1/5)した金額を他の所得に加算して超過累進税率で税額を計算し、その税額を5倍にして山林所得の税額とする方式。長期間にわたって蓄積された利益を一時に受け取る性質を考慮して税負担を緩和しています。

4. 損益通算

損益通算の仕組み

損益通算とは、一定の所得区分で生じた損失を他の黒字の所得と相殺して課税所得を減らす仕組みです。2級では損益通算ができる所得・できない所得・例外的に通算できない損失まで正確に把握する必要があります。

  • 損益通算ができる所得(4種類)

    不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(「ふじさんじょう」)の4種類の損失のみが損益通算の対象です。

  • 損益通算できない所得

    利子所得・配当所得・給与所得・退職所得・一時所得・雑所得の損失は損益通算できません。また申告分離課税の所得(株式譲渡・土地建物譲渡等)の損失は原則として他の総合課税所得と通算できません。

  • 例外的に損益通算できない損失(重要)

    • 不動産所得の損失のうち土地取得借入金利息相当額:通算不可(建物取得分は通算可)。

    • 生活に通常必要でない資産の譲渡損失:別荘・ゴルフ会員権・競走馬等の損失は通算不可。

    • 上場株式等の譲渡損失:総合課税所得との通算不可(申告分離課税の配当所得等との通算は可)。

    • 一定の組合員に係る組合事業の損失:特定の場合に損益通算が制限されます。

2級重要ポイント:「土地取得借入金利息相当額の損失は通算不可・建物取得分は通算可」は計算問題で必ず問われる区別です。

損益通算の順序と計算

損益通算は法令で定められた順序に従って行います。2級では通算の手順を追った計算問題が出題されます。

  • 第1次通算:経常所得グループ内

    利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・雑所得の合計から赤字を差し引きます。同グループ内の赤字が黒字を上回る場合、超過損失を次のステップへ。

  • 第2次通算:山林所得・退職所得・譲渡所得との通算

    第1次で残った損失は、譲渡所得(長期)→ 一時所得 → 山林所得 → 退職所得の順で通算します。また山林・譲渡・一時所得に損失がある場合は、経常所得グループと通算します。

  • 計算例

    給与所得500万円・不動産所得▲200万円(うち土地取得借入金利息50万円)・事業所得▲100万円の場合:
    通算できる損失=不動産(200万円-50万円)+事業所得100万円=250万円
    総所得金額等=500万円-250万円=250万円

雑損失の繰越控除

雑損控除で控除しきれなかった損失(雑損失)は翌年以降3年間繰越控除できます。損失が生じた年と繰越控除を受ける各年の確定申告が必要です。

  • 繰越期間と確定申告の要件

    各年の繰越控除額は当年の総所得金額等から控除します。前年の損失を優先して控除します(古い損失から順に)。

純損失の繰越控除・繰戻還付

損益通算を行っても控除しきれなかった損失(純損失)は、翌年以降に持ち越すか、前年に遡って還付を求めることができます。

  • 純損失の繰越控除(3年間)

    純損失の金額を翌年以降3年間の総所得金額等から繰越控除できます。
    青色申告者:純損失の全額を繰り越せます。
    白色申告者:変動所得(漁獲・原稿料等)の損失または被災事業用資産の損失のみ繰越可能です。

  • 純損失の繰戻還付(青色申告者のみ)

    青色申告者が生じた純損失を前年の所得に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受ける制度。繰戻しできる期間は1年(前年のみ)です。
    還付額=前年の課税所得×(繰り戻す損失÷前年の総所得金額等)×前年の税率(概算)

2級重要ポイント:「繰越3年(青色は全額・白色は限定)」「繰戻1年(青色のみ)」の違いは計算問題で問われます。

居住用財産に係る譲渡損失の繰越控除

マイホームを売却して損失が生じた場合に、損失を他の所得と損益通算し、通算しきれない損失を翌年以降3年間繰越控除できる特例です。住宅ローンの有無で適用される特例が異なります。

  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(ローンあり)

    • 主な要件:譲渡年1月1日現在で所有期間5年超・住宅ローン残高があること・合計所得金額3,000万円以下(各年)。

    • 損益通算の範囲:住宅ローン残高から売却代金を差し引いた金額を上限として損益通算・繰越控除が可能。

  • 居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(買換えあり)

    • 主な要件:譲渡年1月1日現在で所有期間5年超・翌年末までに新居を取得して居住・合計所得金額3,000万円以下(各年)。

    • 損益通算の範囲:住宅ローン残高の制限なしで損失全額を通算・繰越控除可能。

  • 共通の注意点

    居住用3,000万円特別控除・軽減税率の特例との重複適用は不可。繰越控除を受ける各年も確定申告が必要。合計所得金額が3,000万円超の年は適用外。

上場株式等の譲渡損失の繰越控除

上場株式等の売却損失が申告分離課税の配当所得等との損益通算後も残る場合、翌年以降3年間、上場株式等の譲渡益・配当所得から繰越控除できます。

  • 損益通算・繰越控除の対象範囲

    • 同年内の通算対象:上場株式等の譲渡損失は、同年の上場株式等の配当所得(申告分離選択分)・特定公社債等の利子所得(申告分離)と通算できます。

    • 通算できないもの:一般株式等(非上場)の譲渡損益との通算は不可。総合課税所得との通算も不可。

  • 繰越控除の手続き

    損失が生じた年および繰越控除を受ける各年において確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、繰越控除を受けるには確定申告が必要です。

  • 繰越の優先順位

    複数年にわたる繰越損失がある場合、古い年の損失から先に控除します(先入先出し)。

2級重要ポイント:「損失が生じた年・繰越控除を受ける各年ともに確定申告が必要」「特定口座(源徴あり)でも繰越控除は確定申告必要」は頻出の引っかけポイントです。

5. 所得控除

所得控除の仕組み

所得控除とは、課税所得金額の計算において総所得金額等から差し引く15種類の控除項目です。2級では各控除の適用要件・控除額・計算方法まで正確に把握する必要があります。

  • 所得控除の適用順序

    課税所得金額=総所得金額等-所得控除の合計額
    税額=課税所得金額×税率-税額控除額
    控除の順序は法律で定められており、雑損控除→医療費控除→社会保険料控除…の順に適用されます。

  • 合計所得金額と総所得金額等の違い

    合計所得金額:各所得金額を合計したもの(純損失・雑損失の繰越控除適用前)。配偶者控除・扶養控除・基礎控除等の適用要件に使用。
    総所得金額等:損益通算・純損失の繰越控除を適用後の合計。雑損控除の計算等に使用。

  • 所得控除の種類(15種類)

    雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・扶養控除・基礎控除

雑損控除

雑損控除とは、災害・盗難・横領により生活に必要な資産が損害を受けた場合に適用される控除です。

  • 控除額(いずれか多い方を選択)

    • ①(損害金額+災害等関連支出-保険等補てん額)-総所得金額等×10%

    • ②(災害関連支出-保険等補てん額)-5万円

  • 対象資産・対象外

    対象:生活用資産(居住用家屋・家財・衣類等)。
    対象外:棚卸資産・事業用固定資産(事業所得等で処理)・詐欺・恐喝による損失・別荘等の生活に通常必要でない資産。

  • 雑損失の繰越控除

    控除しきれない金額は翌年以降3年間繰越控除できます。

医療費控除

医療費控除とは、自己または生計を一にする配偶者・親族の医療費が一定額を超えた場合に適用される控除です。

  • 控除額と計算式

    控除額=(支払医療費合計額-保険等補てん額)-10万円(総所得金額等200万円未満の場合は総所得金額等×5%)
    控除限度額:200万円
    例:医療費30万円(保険金5万円)・総所得500万円の場合
    控除額=(30万円-5万円)-10万円=15万円

  • 医療費に含まれるもの・含まれないもの

    • 含まれる:診療費・入院費・薬代・通院交通費(電車・バス)・出産費用・歯科矯正(発育上必要)・補聴器・介護老人保健施設等の費用。

    • 含まれない:健康診断費(異常発見・治療に移行した場合は可)・予防接種費・美容整形費・通院タクシー代(公共交通機関使用不可の場合は可)・入院時の差額ベッド代(任意の場合)。

  • セルフメディケーション税制(特例・選択適用)

    一定の健康診断等を受けた者が、スイッチOTC医薬品等を購入した場合、購入費合計額-12,000円(最高88,000円)を控除できる特例。通常の医療費控除との選択適用です。

社会保険料控除

自己または生計を一にする配偶者・親族の社会保険料を支払った場合に、支払額の全額が控除されます。控除限度額はありません。

  • 対象となる社会保険料

    健康保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・介護保険料・厚生年金保険料・国民年金保険料・国民年金基金掛金・雇用保険料など。国民年金保険料は納付証明書(控除証明書)の添付が必要です。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済・企業型DC(マッチング拠出分)・iDeCo(個人型DC)・心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に、その全額が控除されます。

  • iDeCoの拠出限度額(2024年度)

    • 自営業者等(第1号):月額68,000円(年間816,000円)

    • 会社員(企業型DCなし):月額23,000円(年間276,000円)

    • 会社員(企業型DCあり):月額20,000円(年間240,000円)

    • 公務員:月額12,000円(年間144,000円)

    • 専業主婦(夫)等(第3号):月額23,000円(年間276,000円)

2024年12月からiDeCoの拠出限度額が引き上げられました。最新の限度額は試験直前に確認してください。

生命保険料控除

生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料に対して適用される控除です。新旧制度の区別と控除限度額が2級の重要論点です。

  • 新制度(2012年1月1日以降の契約)の控除額計算

    年間保険料に応じて以下の速算式で各区分の控除額を計算(所得税):
    ・20,000円以下:支払保険料全額
    ・20,000円超40,000円以下:支払保険料×1/2+10,000円
    ・40,000円超80,000円以下:支払保険料×1/4+20,000円
    ・80,000円超:40,000円(上限)
    3区分(一般・介護医療・個人年金)合計の上限:所得税12万円・住民税7万円

  • 旧制度(2011年12月31日以前の契約)の控除額計算

    一般生命保険料・個人年金保険料の2区分。各上限25,000円(住民税)・50,000円(所得税)。新旧混在時は合算して計算します(合計上限:所得税12万円)。

地震保険料控除

居住用家屋または生活用動産を対象とする地震保険料の全額(上限:所得税50,000円・住民税25,000円)が控除されます。火災保険料は対象外です。

  • 旧長期損害保険料の経過措置

    2006年12月31日以前に締結した長期損害保険契約(満期返戻金あり・10年以上)で、地震保険に転換していないものは経過措置として最大15,000円(住民税10,000円)の控除が受けられます。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者の所得に応じて適用される控除です。2017年の税制改正で控除額が本人(納税者)の所得額によっても変わる仕組みになりました。

  • 配偶者控除(配偶者の合計所得金額48万円以下)

    • 本人所得900万円以下:38万円(老人控除対象配偶者70歳以上:48万円)

    • 本人所得900万円超950万円以下:26万円(老人:32万円)

    • 本人所得950万円超1,000万円以下:13万円(老人:16万円)

    • 本人所得1,000万円超:適用なし

  • 配偶者特別控除(配偶者の合計所得金額48万円超133万円以下)

    配偶者の所得金額と本人の所得金額に応じて1万円〜38万円の控除が段階的に適用。本人の合計所得金額が1,000万円超の場合は適用不可。同一年内に配偶者控除との重複適用不可。

  • 収入の壁と控除の関係

    • 103万円の壁:配偶者の給与収入103万円超で配偶者控除が適用不可(配偶者特別控除へ移行)。

    • 201.6万円の壁:配偶者の給与収入201.6万円以上で配偶者特別控除も適用不可。

寄附金控除

国・地方公共団体・認定NPO法人・公益財団法人等への特定寄附金を支払った場合に適用される所得控除です。

  • 控除額

    特定寄附金の合計額(または総所得金額等×40%のいずれか少ない方)-2,000円

  • ふるさと納税の仕組み

    地方公共団体への寄附。2,000円の自己負担で返礼品を受け取りつつ、所得税から(寄附額-2,000円)×所得税率・住民税から(寄附額-2,000円)×10%・住民税から特例控除(住民税の20%上限)が控除されます。

  • ワンストップ特例制度

    確定申告が不要な給与所得者等が5自治体以内のふるさと納税を行った場合、申告書の提出なしに住民税からのみ控除を受けられる制度。確定申告すると適用できません(申告した場合は通常の確定申告で処理)。

障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除

特定の個人的事情を持つ納税者に適用される控除です。控除額をまとめて整理します。

  • 障害者控除

    • 障害者:27万円 特別障害者:40万円 同居特別障害者:75万円

  • 寡婦控除

    27万円。要件:夫と死別・離婚後婚姻していない女性で、扶養親族あり、または合計所得金額500万円以下。ひとり親控除(子あり)とは重複不可。

  • ひとり親控除

    35万円。要件:未婚または配偶者の生死不明で、生計を一にする子(合計所得金額48万円以下)を有し、合計所得金額500万円以下。男女問わず適用可。

  • 勤労学生控除

    27万円。要件:合計所得金額75万円以下(給与収入130万円以下)かつ給与所得以外の所得が10万円以下の学生。

扶養控除

扶養控除とは、生計を一にする16歳以上の扶養親族(合計所得金額48万円以下)がいる場合に適用される控除です。

  • 控除額(年齢区分)

    • 一般扶養親族(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満):38万円

    • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円

    • 老人扶養親族(70歳以上):48万円、同居の場合:58万円

  • 扶養親族の所得要件・年齢の判定時期

    扶養親族の合計所得金額は年間48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)が要件。年齢はその年の12月31日現在で判定します。

  • 扶養の二重取りの禁止

    同一の扶養親族を複数の納税者で重複して控除対象にすることはできません。年末調整・確定申告で調整が必要です。

2級重要ポイント:年齢区分の判定は「12月31日現在」・特定扶養63万円・老人扶養の同居/別居の違いは計算問題に直結します。

基礎控除

基礎控除とは、すべての納税者が原則として受けられる控除です。2020年の税制改正で48万円(従来38万円)に引き上げられましたが、高所得者は段階的に縮小・消滅します。

  • 控除額と所得要件

    • 合計所得金額2,400万円以下:48万円

    • 2,400万円超2,450万円以下:32万円

    • 2,450万円超2,500万円以下:16万円

    • 2,500万円超:0円(適用なし)

  • 住民税の基礎控除との違い

    住民税の基礎控除は43万円(所得税より5万円低い)。また住民税の非課税限度額(均等割・所得割)の計算にも基礎控除が関係します。

6. 税額控除

税額控除の仕組み

税額控除とは、所得控除によって算出した税額から直接差し引く控除です。所得控除(課税所得を減らす)と異なり、税額から直接1円単位で差し引かれるため、高所得者・低所得者の税率差にかかわらず控除効果が同額です。

  • 所得控除との違い

    所得控除は課税所得を減らすため実際の節税額は「控除額×税率」。税率が高い人ほど節税効果が大きい。
    税額控除は税額から直接差し引くため節税額=控除額(税率に関係なく一定)。

  • 主な税額控除の種類

    配当控除・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)・外国税額控除(2級)・政党等寄附金特別控除・認定NPO法人等寄附金特別控除・その他。

FP試験ポイント:「税額控除は税額から直接差し引く→所得控除より節税効果が確実」という性質を押さえましょう。

配当控除

配当控除とは、株式の配当金・投資信託の普通分配金を総合課税で申告した場合に適用される税額控除です。法人の利益に法人税が課され、その税引き後の利益から配当が支払われ、さらに所得税が課される二重課税を調整する目的があります。

  • 控除率

    課税総所得金額が1,000万円以下の部分:配当所得×10%(住民税:2.8%)
    課税総所得金額が1,000万円超の部分:配当所得×5%(住民税:1.4%)

  • 適用条件と有利不利の判断

    総合課税を選択した場合のみ適用可(申告分離課税・申告不要を選択した場合は不可)。
    課税所得が低い場合(概ね900万円以下):総合課税+配当控除が有利になりやすい。
    株式の譲渡損失がある場合:申告分離課税で損益通算が有利。

  • 対象外の配当

    外国株式の配当・不動産投資信託(J-REIT)の分配金・外貨建MMFの分配金は配当控除の対象外です。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を取得・増改築した場合に、年末時点のローン残高の一定割合を所得税額から控除できる制度です。

  • 主な適用要件

    • 自己居住用:取得後6か月以内に居住を開始し、控除を受ける各年の12月31日まで引き続き居住していること。

    • 床面積:50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上)。

    • ローン期間:10年以上の分割返済。

    • 本人の所得要件:合計所得金額2,000万円以下

  • 控除額の計算(2024年現在)

    年末ローン残高×控除率(0.7%)=控除額(上限あり)
    控除期間:新築住宅等は13年間、中古住宅・増改築は10年間

  • 省エネ性能による借入限度額の区分

    • 長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円(年間最大31.5万円)

    • ZEH水準省エネ住宅:3,500万円(年間最大24.5万円)

    • 省エネ基準適合住宅:3,000万円(年間最大21万円)

    • その他の住宅(新築):2,000万円(年間最大14万円)。ただし2024年以降の新築は省エネ基準不適合住宅は適用不可。

    • 中古住宅:2,000万円(年間最大14万円)。

  • 初年度は確定申告・2年目以降は年末調整

    給与所得者の場合、住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要。2年目以降は年末調整で処理できます。

FP試験ポイント:「控除率0.7%・新築13年・中古10年・所得要件2,000万円以下」と省エネ性能による借入限度額の区分が頻出です。

外国税額控除

外国税額控除とは、外国で課税された所得税等(外国所得税)を日本の所得税・住民税から控除することで、国際的な二重課税を調整する制度です。

  • 適用場面

    外国株式の配当金・外国債券の利子・海外の投資信託の分配金に対して現地で源泉徴収された税額がある場合に適用できます。

  • 控除限度額

    控除限度額=その年の所得税額×(国外所得金額÷全世界所得金額)
    外国税額が控除限度額を超える場合は、超過額を翌年以降3年間繰越控除できます。控除限度額を下回る場合は、不足額を前年に繰り戻すことも可能です。

  • 申告手続き

    確定申告で適用します。源泉徴収票・支払調書等で外国源泉徴収税額を確認し、申告書に記載します。特定口座(源泉徴収あり)では自動的に外国税額控除が適用されるケースもありますが、枠の最大活用には確定申告が有利な場合があります。

2級重要ポイント:「控除限度額=所得税額×(国外所得÷全世界所得)」の計算式・超過分の3年繰越・不足分の前年繰戻は計算問題として出題されます。

その他の主な税額控除

配当控除・住宅ローン控除・外国税額控除のほか、以下の税額控除がFP実務上重要です。

  • 政党等寄附金特別控除

    政党・政治資金団体への特定寄附金は、寄附金控除(所得控除)か政党等寄附金特別控除(税額控除)のいずれかを選択できます。
    税額控除額=(特定寄附金の合計額-2,000円)×30%
    控除限度額:その年の所得税額の25%。税額控除の方が高所得者以外は有利になりやすいです。

  • 認定NPO法人等・公益社団法人等への寄附金特別控除

    認定NPO法人・公益財団法人等への特定寄附金も、寄附金控除(所得控除)か税額控除(控除率40%)を選択できます。寄附金控除との比較で、実効税率が低い人は税額控除が有利です。

  • 住宅耐震改修特別控除・省エネ改修・バリアフリー改修

    既存住宅の耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修を行った場合の税額控除。各改修費用の一定割合(5〜15%程度)が税額から控除されます。住宅ローン控除との併用も一定の要件下で可能です。

  • (参考)所得税額調整控除

    住宅ローン控除によって控除しきれない場合、住民税からも一定額(控除しきれない税額の最大5%・年間97,500円まで)が控除される仕組みがあります(2021年以前入居分の経過措置)。2022年以降は0.7%控除率への変更で廃止となりましたが、経過措置として2025年12月末まで入居分に限り適用される場合があります。

7. 申告と納付

源泉徴収制度

給与・利子・報酬などを支払う者(源泉徴収義務者)が、支払い時に所得税・復興特別所得税を差し引いて翌月10日までに納付する制度です。

  • 主な源泉徴収の対象と税率(2級重要)

    • 給与所得:源泉徴収税額表(甲欄・乙欄)に基づく。年末調整で精算。

    • 利子・配当所得:20.315%(所得税15.315%+住民税5%)。

    • 報酬・料金等(個人への支払い):10.21%(支払額100万円超の部分は20.42%)。弁護士・税理士・司法書士・デザイナー・原稿料等が対象。

    • 退職所得:「退職所得の受給に関する申告書」提出時は退職所得控除適用後の税額、未提出時は20.42%の一律源泉徴収。

  • 支払調書・源泉徴収票の見方

    • 支払調書:報酬・料金等の支払者が税務署へ提出する書類(支払先・金額・源泉税額を記載)。受取人の確定申告の際に参照します。

    • 源泉徴収票:給与の年間支払額・源泉徴収税額・各種控除額(生保・地震・社会保険料等)・扶養親族情報が記載。年末調整後に交付。確定申告・住宅ローン審査・社会保険手続き等で必要。

  • 年末調整と確定申告の関係

    年末調整で適用できる控除:生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除・基礎控除・小規模企業共済等掛金控除・住宅ローン控除(2年目以降)。
    確定申告が必要な控除:医療費控除・雑損控除・寄附金控除・住宅ローン控除(初年度)。

確定申告

確定申告とは、1年間の所得と税額を自ら計算し、翌年2月16日から3月15日までに申告・納税する制度です。

  • 確定申告が必要な主なケース

    • 給与収入が2,000万円超の場合。

    • 給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円超の場合。

    • 2か所以上から給与を受け、従たる給与と他の所得合計が20万円超の場合。

    • 医療費控除・雑損控除・寄附金控除・住宅ローン控除(初年度)を受ける場合。

    • 上場株式等の譲渡損失を損益通算・繰越控除する場合。

    • 事業所得・不動産所得などがある個人事業主。

  • 確定申告が不要なケース

    年末調整が完了し給与収入2,000万円以下・副業所得20万円以下の給与所得者。公的年金等の収入が400万円以下かつ他の所得が20万円以下の年金受給者(ただし住民税の申告は必要な場合あり)。

  • 還付申告

    還付申告は翌年1月1日から5年間いつでも可能(通常の確定申告期限に縛られない)。

青色申告

青色申告とは、事業所得・不動産所得・山林所得のある納税者が正規の帳簿書類を作成・保存することを条件に、様々な税制上の優遇を受けられる制度です。

  • 青色申告特別控除の3段階

    • 65万円:複式簿記+貸借対照表・損益計算書の作成+e-Taxによる電子申告またはe-Taxによる電子帳簿保存が要件。

    • 55万円:複式簿記+貸借対照表・損益計算書の作成(e-Tax要件なし)。

    • 10万円:簡易簿記による帳簿保存(不動産所得・山林所得のみの場合もこちら)。

  • 青色申告の主な特典一覧

    • 青色申告特別控除(最大65万円)

    • 青色事業専従者給与の全額必要経費算入(事前届出・適正額要件あり)

    • 純損失の3年間繰越控除(全額)・繰戻還付(1年)

    • 中小企業者の特別償却・税額控除(租税特別措置法の適用)

    • 貸倒引当金・各種引当金の損金算入

  • 承認申請・取消し

    承認申請:その年の3月15日までに税務署へ提出(新規開業は開業から2か月以内)。
    取消し事由:帳簿書類の不記帳・虚偽記帳・税務調査を正当な理由なく拒否した場合などは取り消される場合があります。

2級重要ポイント:「65万円はe-Tax申告またはe-Tax帳簿保存が追加要件」「白色申告では純損失の繰越は変動所得・被災資産のみ」の区別は頻出です。

所得税の納付方法

確定申告による所得税の納付期限は原則3月15日です。一括納付が困難な場合の制度や、前払い制度があります。

  • 延納

    税額の2分の1以上を3月15日までに納付し、残額を5月31日まで延納可能。延納した残額に対して年7.3%(特例基準割合適用後は低くなる)の利子税がかかります。

  • 予定納税

    前年の確定申告による所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の場合に適用。前年実績の3分の1ずつを第1期(7月1日〜7月31日)と第2期(11月1日〜11月30日)に納付。確定申告時に精算します。所得が大幅に減少した場合は「予定納税額の減額申請」が可能です。

  • 振替納税

    口座振替で自動引き落としによる納税。振替日は申告期限より約1か月遅い4月中旬頃。確定申告期限の延納よりもさらに遅い日程で引き落とされます(利子税なし)。

不服申立て・審査請求

税務署長等の課税処分に不服がある場合、再調査の請求→審査請求→訴訟という3段階の手続きで争うことができます。

  • ①再調査の請求(任意)

    処分をした税務署長等に対して、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に請求します(任意:省略して直接審査請求も可)。決定から3か月以内に審査請求へ移行できます。

  • ②審査請求

    国税不服審判所に対して行います。処分を知った日の翌日から3か月以内(再調査の決定があった場合はその翌日から1か月以内)に請求。裁決まで原則として3か月かかります。

  • ③取消訴訟

    審査請求の裁決を経た後(裁決前置主義)、裁判所に取消訴訟を提起できます。裁決を知った日から6か月以内に提起します。

2級重要ポイント:「再調査→審査請求(国税不服審判所)→取消訴訟」の3段階と、審査請求が裁判の前提(裁決前置主義)になっている点が頻出です。

8. 個人住民税

個人住民税

個人住民税は道府県民税と市町村民税から成る地方税です。前年の所得に基づいて翌年度に課税(前年所得課税)されます。2級では所得税との計算上の相違点を正確に把握する必要があります。

  • 納税義務者

    その年の1月1日現在、国内に住所がある個人。住所がない場合でも事務所・事業所または家屋敷がある場合は均等割が課されます。

  • 税額の構成と税率

    • 所得割:前年の所得をもとに計算。一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)。課税所得は所得税の課税所得と異なる点があります。

    • 均等割:所得に関わらず一定額。標準は年間5,000円(道府県民税1,500円+市町村民税3,500円)。2024年度から森林環境税1,000円が加算。

    • 利子割・配当割・株式等譲渡所得割:それぞれ5%。所得税(15.315%)と合わせて20.315%の税率となります。

  • 所得税計算との主な相違点(2級重要)

    • 基礎控除:住民税43万円(所得税48万円より5万円低い)。

    • 配偶者控除・扶養控除の金額:住民税は所得税より控除額が低く設定されています(例:一般扶養33万円・特定扶養45万円)。

    • 配当控除:住民税の配当控除率は所得税より低い(課税総所得1,000万円以下の部分:2.8%)。

    • 課税最低限(非課税限度額):合計所得金額が35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+32万円(同一生計配偶者または扶養親族あり)以下の場合は均等割・所得割ともに非課税。

    • 前年所得課税:退職・廃業した年の翌年に前年分の住民税が課税される点に注意(収入がない年に住民税の納付義務が生じる)。

  • 納付方法

    • 特別徴収:給与所得者は6月〜翌年5月の毎月給与天引き。

    • 普通徴収:自営業者等は6月・8月・10月・翌年1月の年4回。

2級重要ポイント:「前年所得課税(翌年度課税)」「基礎控除43万円(所得税48万円との差5万円)」「所得割一律10%」「退職翌年の住民税負担」は頻出です。

9. 個人事業税

個人事業税

個人事業税とは、法定の事業を行う個人事業主に対して都道府県が課す地方税です。所得税の事業所得・不動産所得の計算をベースに課税されます。

  • 納税義務者と課税対象業種

    70種類の法定業種を営む個人事業主が対象。事業の種類によって第1種(37業種:税率5%)・第2種(3業種:税率4%)・第3種(30業種:税率5%または3%)に分類されます。農業・林業・漁業・鉱業は非課税。

  • 課税所得と税額の計算

    課税所得=事業所得(所得税の計算に準拠)-事業主控除(290万円)-繰越損失控除-各種控除
    税額=課税所得×税率(第1種:5%・第2種:4%・第3種:5%または3%)
    例:事業所得500万円(第1種)の場合
    課税所得=500万円-290万円=210万円
    個人事業税=210万円×5%=10.5万円

  • 所得税との計算上の相違点

    • 青色申告特別控除は個人事業税の計算上は控除されません(所得税では控除可)。

    • 事業主控除290万円は個人事業税独自の控除です(所得税にはない)。

  • 申告と納付

    確定申告書を所得税として提出した場合は個人事業税の申告書提出は不要。
    賦課課税方式:都道府県税事務所が税額を計算・通知します。
    納付は8月(第1期)11月(第2期)の2回に分けて納付。
    なお、支払った個人事業税は所得税の計算上、必要経費に算入できます。

2級重要ポイント:「事業主控除290万円・青色申告特別控除は不適用」「賦課課税方式で8月・11月の2回納付」「支払った個人事業税は所得税の必要経費算入可」は頻出論点です。

10. 法人税

法人税の仕組み

法人税とは、法人(株式会社・合同会社・NPO法人等)の所得に課される国税です。個人の所得税に相当する税で、申告納税方式が採用されています。

  • 納税義務者

    • 内国法人:国内に本店または主たる事務所を置く法人。全世界所得(国内外すべての所得)が課税対象。

    • 外国法人:内国法人以外の法人。国内源泉所得のみが課税対象。

  • 事業年度と納税地

    事業年度:定款等で定めた会計期間(1年以内)。納税地:内国法人は本店または主たる事務所の所在地の税務署。

  • 所得の金額(課税所得)

    法人税の課税所得=益金の額損金の額
    益金・損金は会計上の収益・費用とは必ずしも一致しません(申告調整により差異を調整)。会計上の利益に申告調整を加えたものが法人税の課税所得です。

  • 税額計算

    法人税額=課税所得×税率
    普通法人の基本税率:23.2%。中小法人(資本金1億円以下)の年800万円以下の部分:15%(軽減税率)。

  • 申告と納付

    事業年度終了後2か月以内(確定申告)。中間申告(事業年度6か月経過後2か月以内)が必要な場合あり(前年の法人税額が20万円超)。

法人税の益金

益金とは、法人税の課税所得計算上、収入として算入される金額です。会計上の収益に申告調整を加えて算出します。

  • 受取配当等の益金不算入

    法人が他の法人から受け取った配当金は、二重課税を排除するため一定割合が益金から除外されます。
    ・完全子法人株式等(持株比率100%):全額不算入
    ・関連法人株式等(持株比率3分の1超):全額不算入(負債利子控除後)
    ・その他の株式等(持株比率5%超3分の1以下):50%不算入
    ・非支配目的株式等(持株比率5%以下):20%不算入

  • 還付金の益金不算入

    法人税・地方法人税・都道府県民税・市町村民税の還付金は益金不算入。消費税の還付は益金算入(課税仕入れに係るもの)。

  • 受贈益・債務免除益

    資産の無償取得(受贈益)・債務の免除を受けた利益(債務免除益)は原則として益金算入します。

法人税の損金(棚卸資産・有価証券・減価償却)

損金とは、法人税の課税所得計算上、費用として控除できる金額です。会計上の費用でも損金不算入となる項目があります。

  • 棚卸資産の評価方法

    原価法(個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法等)または低価法。税務署への届出で選択(無届けの場合は最終仕入原価法が法定評価方法)。

  • 有価証券の評価方法

    売買目的有価証券:期末に時価評価し、評価損益を損益に計上。その他有価証券等:原価法(移動平均法・総平均法)で評価(時価評価しない)。

  • 減価償却

    固定資産を耐用年数にわたって費用配分する手続き。
    定額法:毎年同額を償却(取得価額×定額法償却率)。建物・建物附属設備・無形固定資産は定額法のみ。
    定率法:帳簿価額×定率法償却率。機械・装置等に適用可(届出で選択)。
    即時償却:中小企業者等は取得価額30万円未満の減価償却資産を一括即時損金算入可(年間合計300万円まで)。

  • 資本的支出と修繕費

    資本的支出(資産の価値向上・耐用年数延長):資産に計上し減価償却。
    修繕費(原状回復のための費用):全額損金算入。
    判定が難しい場合:支出額が60万円未満または前期末取得価額の10%以下であれば修繕費として処理可。

法人税の損金(役員給与・役員退職金・繰延資産)

役員への給与・退職金は法人税の損金算入に厳格な要件が設けられています。

  • 役員給与の損金算入要件

    役員給与が損金算入されるのは次の3種類のみ。
    定期同額給与:1か月以下の一定期間ごとに同額を支給。最も一般的。
    事前確定届出給与:所定の時期に確定額を支給する旨を税務署に事前届出。賞与等。
    業績連動給与:同族会社以外で一定要件を満たす利益連動型報酬。
    不相当に高額な部分は損金不算入。

  • 役員退職金

    不相当に高額でない限り損金算入可。適正額の目安:最終月額報酬×勤続年数×功績倍率(一般的に代表取締役は3.0倍程度)。

  • 繰延資産

    開業費・開発費・社債発行費等の会計上の繰延資産は任意償却可(税務上は一定の繰延資産を均等償却)。

法人税の損金(交際費・寄附金・その他)

交際費・寄附金は損金算入に制限があります。主要な損金項目の取り扱いを整理します。

  • 交際費等の損金算入制限

    得意先・仕入先等への接待・贈答・慰安等の費用。原則として損金不算入ですが、中小法人(資本金1億円以下)は以下の選択制が認められています。
    ①年間800万円以下の交際費等は全額損金算入
    ②飲食費の50%を損金算入(規模を問わず選択可)
    ※1人あたり5,000円以下の飲食費は交際費等から除外(会議費扱い)。

  • 寄附金の損金算入限度額

    一般の寄附金:(資本金等×0.25%+所得×2.5%)÷4が損金算入限度額。
    国・地方公共団体等への寄附金・指定寄附金:全額損金算入。
    完全支配関係のある法人への寄附金:全額損金不算入(受取側は全額益金不算入)。

  • その他の主な損金項目

    • 租税公課:法人税・地方法人税・住民税は損金不算入。事業税・固定資産税・印紙税は損金算入。

    • 貸倒損失・貸倒引当金:債権が回収不能になった場合の損失。税法上の要件を満たした場合のみ損金算入。

    • 繰越欠損金:欠損金(赤字)を翌年以降に繰り越して控除できる制度。青色申告法人は10年間繰越可(2018年4月以降開始事業年度)。所得の50%まで控除(中小法人等は100%)。

    • 圧縮記帳:補助金・保険差益等を原資に資産を取得した場合、取得原価を圧縮することで課税を繰り延べる制度。

同族会社の特別規定

同族会社とは、上位3グループの株主(同族関係者を含む)の持株割合の合計が50%超の会社です。租税回避防止のため、通常の法人にはない特別規定が適用されます。

  • 同族会社の定義

    株主のうち、特定の3グループ(各株主とその同族関係者)の議決権割合の合計が50%超の会社。多くの中小・オーナー企業が該当します。

  • 留保金課税(特定同族会社)

    資本金1億円超の特定同族会社が、一定の留保控除額を超えて利益を内部留保した場合、通常の法人税に加えて特別税率(10〜20%)が課されます。配当を促す目的の規定です。

  • 使用人兼務役員

    役員でありながら使用人(部長・課長等)としての職務を行う者。給与のうち使用人分は損金算入可(役員分は定期同額等の要件が必要)。ただし代表取締役・専務・常務等は使用人兼務役員になれません。

  • 行為計算の否認

    同族会社の行為・計算が不当に法人税の負担を減少させると認められる場合、税務署長はその行為・計算を否認して税額を計算し直すことができます。

地方法人税

地方法人税とは、地域間の税収偏在を是正するために2014年に創設された国税です。法人住民税の税率引き下げと同時に導入されました。

  • 仕組み

    地方法人税額=法人税額×10.3%
    法人税の申告書と同時に申告・納付します。

11. 法人住民税

法人住民税

法人住民税とは、法人に課される地方税です。道府県民税と市町村民税から成り、均等割と法人税割の2種類で構成されます。

  • 納税義務者

    都道府県・市区町村内に事務所・事業所を有する法人。

  • 税額の構成

    • 均等割:資本金等の額と従業者数に応じた定額。赤字法人にも課されます。

    • 法人税割:法人税額×税率(標準税率:道府県民税1%・市町村民税6%)。法人税が課されない場合(欠損法人等)は法人税割も発生しません。

均等割は赤字法人にも課税される点が重要です。

12. 法人事業税

法人事業税・特別法人事業税

法人事業税とは、事業活動の場を提供する都道府県に対して法人が負担する地方税です。損金算入できる点が法人住民税と異なります。

  • 納税義務者

    都道府県内に事務所・事業所を有する法人。

  • 課税標準と税率

    原則として所得金額が課税標準(資本金1億円超の法人は付加価値割・資本割も加わる外形標準課税が適用)。税率は法人の種類・所得区分によって異なります。
    損金算入可能:納付した法人事業税は翌年度の法人税の損金に算入できます。

  • 分割法人

    2以上の都道府県に事務所・事業所がある法人は、従業者数等を基準に所得を各都道府県に分割して申告・納付します。

  • 特別法人事業税

    法人事業税(所得割)の一定割合を国が徴収し、人口等に応じて地方に再配分する国税。2019年創設。申告・納付は法人事業税と同時に行います。

13. 消費税

消費税の仕組み

消費税とは、商品・サービスの消費に対して課される間接税です。税率は標準税率10%(国税7.8%+地方消費税2.2%)・軽減税率8%(飲食料品・定期購読新聞等)。事業者が仮受消費税から仮払消費税を差し引いて納付します(仕入税額控除)。

  • 課税取引・非課税取引・不課税取引

    • 課税取引:国内の事業者が行う資産の譲渡・役務提供等。

    • 非課税取引:社会政策的配慮から消費税を課さない取引。土地の譲渡・賃借、住宅の貸付(1か月以上)、有価証券の譲渡、医療・福祉・学校教育・利子等。

    • 不課税取引(課税対象外):消費税の課税対象にならない取引。給与・賃金、損害賠償金、国外取引など。

  • 納税義務者と納税免除

    基準期間(法人は前々事業年度・個人は前々年)の課税売上高が1,000万円超の事業者は課税事業者として納税義務あり。
    1,000万円以下は免税事業者(ただし自ら課税事業者を選択する届出も可能)。
    特定期間(前事業年度の上半期)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円超の場合も課税事業者となります。

  • 原則課税(一般課税)と簡易課税

    • 原則課税:仮受消費税-仮払消費税(実際の課税仕入れにかかる税額)=納付税額。正確だが帳簿管理が複雑。

    • 簡易課税:基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択可。納付税額=仮受消費税-仮受消費税×みなし仕入率(業種によって40〜90%)。事前に届出が必要。

  • 申告と納付

    法人:事業年度終了後2か月以内に確定申告・納付。中間申告(年税額が48万円超)が必要な場合あり。
    個人事業者:翌年3月31日まで。

  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)

    2023年10月から導入。仕入税額控除を受けるには適格請求書(インボイス)の保存が必要。発行できるのは税務署長に登録した適格請求書発行事業者(課税事業者)のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、取引先の仕入税額控除に影響します。

14. 会社役員間税務

会社と役員間の取引と税務

会社と役員の間で行われる取引は、通常の第三者間取引と同様の適正な対価(時価)で行われることが求められます。不適正な取引は、法人側・役員側双方に課税上の問題が生じます。

  • 役員退職金の支給

    適正額(最終月額報酬×勤続年数×功績倍率)の範囲内であれば損金算入可。役員側は退職所得として申告分離課税が適用されます。

  • 資産の売買(時価と乖離した場合)

    • 会社→役員に低額譲渡:時価と売価の差額が役員への給与(役員賞与)とみなされ、法人は損金不算入・役員は給与所得として課税。

    • 役員→会社に高額譲渡:時価超過部分が役員への寄附金(または役員報酬)扱い。法人は高額部分が損金不算入。

  • 資産の賃貸借(地代・家賃)

    会社が役員から低廉で賃借する場合:差額は役員への賞与扱い(損金不算入)。役員が会社から無償または低廉で借りる場合:差額は役員への経済的利益(給与)として課税。

  • 金銭の貸借(低利・無利息)

    会社が役員に低利・無利息で貸付する場合:適正利率との差額が役員への給与(経済的利益)として課税。会社は受け取るべき利息を受け取っていない場合でも原則課税されません(認定課税の例外)。

グループ会社間の取引と税務・組織再編税制・グループ通算制度

グループ内の複数の法人間の取引・組織再編には、通常の第三者間取引とは異なる税務上のルールが適用されます。

  • グループ法人税制(完全支配関係法人間)

    100%支配関係にある法人グループ内の取引について、資産の譲渡損益の繰り延べ・寄附金の全額損金不算入(受取側は全額益金不算入)などの特別規定が適用されます。

  • 組織再編税制(合併・分割・株式交換等)

    会社の合併・会社分割・株式交換・株式移転等の組織再編については、適格要件(支配関係・事業継続性・従業者引継ぎ等)を満たす場合は資産の簿価引継ぎ(課税なし)、満たさない場合は時価課税となります。

  • グループ通算制度

    完全支配関係にある企業グループが一体として法人税を計算する制度(2022年4月から連結納税制度に代わり導入)。グループ内の黒字・赤字を通算して全体の税負担を最適化できます。親法人が申告・納付の主体となります。

15. タックスプランニングの最新の動向

新NISAの制度改正と活用戦略

2024年から始まった新NISAは、非課税保有期間の無期限化・年間360万円・生涯1,800万円の大幅拡充により、長期資産形成の中核的手段として位置づけられています。

  • 旧NISAとの主な変更点

    • 非課税保有期間:無期限化(旧:一般5年・つみたて20年)。

    • 年間投資枠:最大360万円(つみたて120万円+成長投資240万円)。

    • 生涯非課税限度額:1,800万円(うち成長投資枠1,200万円上限)。

    • 売却後の枠の再利用:売却した翌年に取得価額分の枠が復活。

  • FP実務上の活用戦略(2級重要)

    • つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け:長期積立分散投資はつみたて枠(低コストインデックスファンド)、個別株・ETF・アクティブファンドは成長投資枠で活用。

    • 出口戦略(取り崩し順序):課税口座の資産を先に取り崩し、NISA口座は後回しにすることで非課税メリットを最大化。

    • NISA口座の損失の注意点:NISA口座内の損失は課税口座との損益通算・繰越控除ができない(損失はなかったものとみなされる)。値下がりリスクの高い資産のNISA活用には注意。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充

老後資産形成支援のためiDeCoの制度改正が段階的に実施されています。2級では拠出限度額・加入要件・受給時の税務まで正確に把握する必要があります。

  • 主な改正内容(2024年12月〜)

    • 拠出限度額の引き上げ:企業型DCと合算した上限が月額55,000円(年金払い給付なし企業)に拡大。DB(確定給付型年金)加入者の限度額も引き上げ。

    • 受給開始年齢の上限引き上げ:75歳まで受給開始を繰り下げ可能(在職中の老齢年金受給開始の遅延と合わせた選択肢が拡大)。

  • iDeCoの税制上の三重優遇(変更なし)

    • ①掛金全額が小規模企業共済等掛金控除(所得控除)として課税所得を減少。

    • ②運用益が非課税(通常は20.315%)。

    • ③受取時は退職所得控除(一時金受取)または公的年金等控除(年金受取)が適用。

  • 受取時の注意点(2級重要)

    iDeCoの一時金受取と退職金を同一年に受け取る場合、退職所得控除額の計算に注意が必要です(同一年内または翌年以降5年以内の場合は退職所得控除額の調整が行われる)。

所得税・住民税の見直し動向

物価上昇・賃金引き上げへの対応として、所得税・住民税の構造的な見直しが議論されています。2級ではFPとしての具体的なアドバイスへの影響まで把握することが求められます。

  • 定額減税(2024年分)

    2024年に限り、本人・扶養親族1人あたり所得税3万円・住民税1万円を源泉徴収税額から順次控除。給与所得者は月次控除で対応、自営業者等は予定納税額から控除または確定申告で適用。控除しきれない場合は調整給付金として給付されました。

  • 基礎控除・給与所得控除の見直し議論

    「103万円の壁」問題(基礎控除48万円+給与所得控除55万円の合計)の解消に向けた議論が政治的に高まっています。基礎控除の引き上げが実現した場合、所得税・住民税の税負担と各種控除の適用要件が変わる可能性があります。

  • 退職所得課税の見直し

    短期退職手当等(勤続5年以下の役員等以外)の1/2課税の適用制限(300万円超の部分に1/2を適用しない)が2022年から施行されました。また同一年内のiDeCo一時金と企業退職金の受取タイミングへのアドバイスが重要になっています。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

2023年10月から消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が本格施行され、事業者・フリーランスへの影響が広がっています。

  • インボイス制度の詳細

    • 適格請求書発行事業者の登録:税務署への登録が必要。登録すると免税事業者でも課税事業者になります。

    • 仕入税額控除の要件:課税仕入れに係る仕入税額控除を受けるには、適格請求書の保存が必要(インボイス未発行者からの仕入れは原則控除不可)。

    • 2割特例(経過措置〜2026年9月まで):インボイス登録した免税事業者の税負担を売上税額の2割に軽減する措置。

    • 少額特例(〜2029年9月まで):基準期間の課税売上高1億円以下等の事業者は、1万円未満の課税仕入れはインボイスなしで仕入税額控除可能。

  • 電子帳簿保存法(2024年1月完全義務化)

    • 電子取引データの電子保存義務:電子メール・EDI等で受領した請求書・領収書はデータのまま保存義務。紙に印刷した保存は不可。

    • スキャナ保存:紙の書類をスキャンしてデータ保存することも認められています(一定の要件あり)。

    • 優良な電子帳簿:一定の要件を満たす電子帳簿を保存した場合、過少申告加算税が5%軽減されます。

相続・贈与税制の見直し

2023年・2024年の税制改正により、相続・贈与に関わる重要な制度変更が実施されました。タックスプランニング全体に影響する改正として、FPとして把握が必要です。

  • 生前贈与加算期間の延長(2024年〜)

    相続開始前の暦年贈与で相続税の課税価格に加算される期間が3年から7年に延長されました(2024年1月1日以降の贈与から段階的に適用)。なお延長した4年間(3〜7年前)の贈与については合計100万円まで加算対象外です。

  • 相続時精算課税制度の使い勝手改善(2024年〜)

    相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました(従来は基礎控除なし)。この110万円以内の贈与は相続税の課税価格への加算対象外になります。暦年課税との比較でプランニングの見直しが必要になっています。

  • 教育・住宅・結婚子育て資金贈与の非課税措置

    各種一括贈与の非課税措置(教育資金1,500万円・住宅取得等資金・結婚子育て資金1,000万円)は期限延長を繰り返しながら継続中。ただし残額への課税強化等の条件が付加されており、制度の活用には最新の適用期限・要件の確認が必要です。

2級重要ポイント:「暦年贈与加算7年(100万円控除あり)」「相続時精算課税に新設110万円基礎控除」は2024年以降の生前贈与プランニングで最重要の改正です。

副業・フリーランスの税務動向

副業・フリーランスの普及に伴い、個人の税務申告の重要性が高まっています。国税庁の通達改正・インボイス制度導入により、副業所得の課税関係が整理されています。

  • 副業収入の事業所得・雑所得の区分

    2022年の国税庁通達改正により、帳簿書類を保存している場合は副業収入を事業所得として申告しやすくなりました。事業所得として認められれば損益通算・青色申告特別控除の適用が可能です。ただし収入金額や活動実態から「事業」と認められないケースは雑所得となります。

  • フリーランス新法(2024年施行)

    フリーランスへの業務委託に関する規制を定めた「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が2024年11月に施行。書面での契約義務・報酬の60日以内支払い・一定のハラスメント防止措置等が発注事業者に義務付けられました。FPとして独立を検討するクライアントへのアドバイスに活用できます。

  • 雑所得への帳簿保存義務(2022年〜)

    前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超の場合は帳簿書類の保存義務があります。1,000万円超の場合は収支内訳書の確定申告書への添付が必要。

税務行政のデジタル化

国税庁は税務手続きのデジタル化・ペーパーレス化を推進しています。e-Taxの普及・マイナンバーの活用・預貯金口座との連携など、税務行政のDXが進展しています。

  • e-Taxの拡充と青色申告特別控除65万円要件

    e-Taxによる確定申告またはe-Taxによる電子帳簿保存が、青色申告特別控除65万円の追加要件になっています。確定申告会場でのスマートフォン申告・マイナポータル連携による自動入力も拡充されています。

  • マイナンバーと税務情報の活用

    金融機関口座とマイナンバーの連携が推進され、将来的に国税当局が所得・資産情報をより把握しやすくなる方向で議論が進んでいます。副業収入・海外金融資産・暗号資産の課税漏れ対策として活用されています。

  • 国外財産調書・財産債務調書

    年末時点で国外財産の合計価額が5,000万円超の居住者は国外財産調書の提出義務あり。その年の退職所得を除く所得金額が2,000万円超かつ総資産3億円以上(または有価証券等1億円以上)の場合は財産債務調書の提出義務があります。

ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。


住宅ローン計算ツール

NISA / iDeCo 積立シミュレーター

ポートフォリオ効率フロンティア可視化ツール


ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。