ファイナンス、情報通信技術のスキル・アグリゲーション・サイト

' . iseeit.jp ファイナンス . '
 

ファイナンシャル・プランニング技能検定

E

不動産

FP3級学科試験主要用語集2026

個人が住宅を購入・保有・売却・賃貸するときに関わる不動産の基本知識を、法律・税金・投資の3側面から概略として学ぶ科目です。

テーマ1「不動産の見方」では、不動産登記簿の構造(表題部・権利部甲区・乙区)と公示価格・路線価・固定資産税評価額の4種類の価格の関係を概略として理解します。テーマ2「不動産の取引」では、宅地建物取引業者の役割・宅建士の重要事項説明義務、売買契約時の手付金・危険負担・契約不適合責任、そして借地借家法(普通借地・定期借地・普通借家・定期借家の違い)を概略で押さえます。

テーマ3「法令上の規制」では、都市計画法(市街化区域・市街化調整区域・開発許可)と建築基準法(道路制限・用途地域・建蔽率・容積率)、国土利用計画法の届出制・農地法の転用許可・区分所有法の基本を概略として学びます。テーマ4〜6では不動産取得税・登録免許税・固定資産税・都市計画税の概略と、個人による不動産譲渡所得(短期/長期の区分・居住用財産の3,000万円特別控除・10年超所有軽減税率)を概略で理解します。

テーマ7「有効活用」では自己建設・等価交換・定期借地権方式など7手法の比較を概略で、テーマ8「証券化」ではJ-REITとDCF法・NPV法・IRR法の基本的な考え方を概略として押さえます。

1. 不動産の見方

不動産の類型

不動産とは、土地およびその定着物(建物・立木等)をいいます(民法86条)。不動産には様々な類型があり、FPはそれぞれの特性を把握することが求められます。

  • 土地の主な類型

    • 宅地:建物の敷地として利用される土地。住宅地・商業地・工業地等に分類される。

    • 農地:耕作の目的に供される土地(農地法の規制対象)。

    • 山林・原野:樹木が生育する土地や原野。

  • 建物の主な類型

    • 戸建住宅:一戸建ての住宅。土地と建物を一体で所有するのが一般的。

    • マンション(区分所有建物):区分所有法に基づき各住戸を単独所有・共用部分を共有する建物。

    • 収益不動産:賃貸収入を得るための不動産(賃貸マンション・アパート・商業ビル等)。

不動産の権利調査・不動産登記簿の調査

不動産取引の前に、対象不動産の権利関係を調査することが不可欠です。不動産登記簿(登記事項証明書)を確認することが基本です。

  • 不動産登記の効力

    • 対抗力:登記をすることで第三者に権利を主張(対抗)できます。不動産の二重売買で先に登記した方が優先されます。

    • 公信力はない:登記に公信力がないため、登記内容を信頼して取引しても、登記が誤りだった場合に保護されるとは限りません。

  • 不動産登記簿の構成

    • 表題部:不動産の物理的状況(所在・地番・地目・地積・床面積等)を記録。

    • 権利部(甲区):所有権に関する事項(所有権移転・仮登記・差押え等)を記録。

    • 権利部(乙区):所有権以外の権利(抵当権・地上権・賃借権・地役権等)を記録。

  • 登記事項証明書の取得方法

    法務局(登記所)で誰でも取得可能(手数料あり)。オンラインでの取得も可能。

FP試験ポイント:「登記には対抗力はあるが公信力はない」「表題部:物理的状況、甲区:所有権、乙区:所有権以外の権利」の区別が頻出です。

公図・地図・地積測量図等・現地調査

不動産の調査には登記簿以外にも様々な図面・資料の確認が必要です。

  • 主な図面・資料の種類

    • 公図(地図に準ずる図面):土地の位置・形状・境界の概略を示した図面。法務局に備え付け。精度は高くないため目安として利用。

    • 地図(14条地図):不動産登記法に基づく精度の高い地図。法務局に備え付け。

    • 地積測量図:分筆・土地表示登記の際に作成された土地の測量図。法務局に備え付け。

    • 建物図面・各階平面図:建物の形状・各階の構造を示した図面。

  • 現地調査での主な確認事項

    • 前面道路の幅員・接道状況(接道義務の充足確認)。

    • 境界標の確認・隣接地との境界の明確さ。

    • 日当たり・騒音・悪臭等の環境確認。

    • ハザードマップによる水害・土砂災害等のリスク確認。

不動産の各種の価格(一物四価・五価)

同じ土地でも目的・機関に応じて複数の価格が存在します。「一物四価(五価)」とも呼ばれます。

  • 公示価格(地価公示)

    国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の正常な価格を3月に公表する価格。一般の土地取引の指標・公共事業用地取得の基準。

  • 基準地標準価格(都道府県地価調査)

    都道府県が毎年7月1日時点の基準地の正常な価格を9月に公表する価格。公示価格の補完的役割。

  • 路線価(相続税路線価)

    国税庁が毎年1月1日時点を基準に7月に公表する価格(路線に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額)。相続税・贈与税の財産評価の基準。公示価格の80%水準が目安。

  • 固定資産税評価額

    市町村(東京都は都)が3年ごとに評価替えを行う価格。固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税の課税標準。公示価格の70%水準が目安。

  • 実勢価格(時価)

    実際の市場で取引される価格。需給関係・景気等により変動。上記の各公的価格と異なる場合がある。

FP試験ポイント:「公示価格は1月1日基準・3月公表」「路線価は公示価格の80%水準」「固定資産税評価額は公示価格の70%水準・3年ごと評価替え」の3点は必須です。

不動産の鑑定評価の手法

不動産の価格を求める鑑定評価には3つの手法があります。

  • 原価法(積算価格)

    対象不動産と同等の不動産を現在時点で新たに再調達(建築・取得)する場合のコストを求め、経年減価(減価修正)を行って価格を求める手法。
    積算価格=再調達原価-減価修正額
    建物の評価に多く用いられます(土地は経年減価しないため原価法は馴染まない)。

  • 取引事例比較法(比準価格)

    対象不動産と類似した取引事例の価格をベースに、事情補正・時点修正・地域要因・個別要因の比較修正を行って価格を求める手法。
    比準価格=取引事例価格×事情補正×時点修正×標準化補正×地域格差修正×個別格差修正
    土地・建物いずれにも適用できる汎用的な手法。

FP試験ポイント:「原価法は建物評価に多く使用」「収益還元法の直接還元法=純収益÷還元利回り」「3手法を使い分けて鑑定評価額を決定」は頻出です。

都市計画図

都市計画図とは、都市計画区域・用途地域・地区計画等の都市計画の内容を示した地図です。市区町村の窓口やウェブサイトで確認できます。

  • 都市計画図で確認できる主な事項

    • 用途地域の種別:対象地がどの用途地域(第一種低層住居専用地域・商業地域等)に属するか。建築可能な建物の用途・建蔽率・容積率が分かります。

    • 市街化区域・調整区域の区分:開発許可の要否の確認。

    • 防火地域・準防火地域の指定:建物の耐火要件の確認。

    • 地区計画の区域:地区ごとの詳細な規制(建築物の形態・色彩等)の確認。

2. 不動産の取引

宅地建物取引業・宅地建物取引士・重要事項説明書

宅地建物取引業とは、宅地・建物の売買・交換・賃借の代理・媒介等を業として行うことです。開業・業務には厳格な規制があります。

  • 宅地建物取引業者の免許・設置義務

    • 免許:1つの都道府県内に事務所があれば都道府県知事免許、2つ以上の都道府県に事務所があれば国土交通大臣免許(有効期間:5年)。

    • 専任の宅地建物取引士:事務所ごとに業務に従事する者の5人に1人以上の専任の宅地建物取引士を設置する義務があります。

  • 宅地建物取引士(宅建士)の独占業務

    • 重要事項の説明:契約締結前に買主・借主に対して重要事項説明書(35条書面)を交付し、宅建士が説明します(記名押印が必要)。

    • 37条書面(契約書)への記名押印:契約締結時に交付する書面への宅建士の記名押印。

  • 重要事項説明書(35条書面)の主な記載事項

    登記簿の内容・都市計画法・建築基準法等の法令上の制限・飲料水・電気・ガスの整備状況・石綿(アスベスト)調査の内容・耐震診断の内容・建物の瑕疵担保責任の履行確保措置・取引条件(代金・交換差金・借賃等)など。

業務上の規制・媒介契約

宅地建物取引業者には、消費者保護のための業務上の規制と、取引を依頼する際の媒介契約の種類があります。

  • 主な業務規制

    • クーリングオフ:事務所等以外の場所(喫茶店・顧客の自宅等)で申込みをした場合、書面等により申込みの撤回ができます。申込みの撤回は申込者が書面を発した日から8日間以内(業者から書面を受け取った日から8日)。

    • 手付金の保全措置:業者が売主の場合、手付金等の保全措置が必要(未完成物件:代金の5%超または1,000万円超・完成物件:10%超または1,000万円超の場合)。

    • 広告の規制:誇大広告・不実表示の禁止。

    • 仲介手数料の上限:売買代金400万円超の場合、売買代金×3%+6万円(税別)が上限。

  • 媒介契約の3種類

    • 一般媒介契約:複数の業者に同時に依頼可能・自己発見取引(自分で買主を見つける)も可能。有効期間の規定なし。業者の報告義務なし。

    • 専任媒介契約:1社のみに依頼・自己発見取引は可能。有効期間:最長3か月(更新可)。業者は2週間に1回以上の業務状況報告義務。指定流通機構(レインズ)への登録義務(7日以内)。

    • 専属専任媒介契約:1社のみ・自己発見取引も不可。有効期間:最長3か月。業者は1週間に1回以上の報告義務。レインズへの登録(5日以内)。

FP試験ポイント:「媒介契約の3種類の違い(自己発見取引の可否・報告頻度・レインズ登録期間)」「クーリングオフは書面発信から8日間」は頻出です。

不動産の売買契約上の留意点

不動産の売買契約において特有の留意事項です。

  • 手付金の授受と効果

    売買契約時に授受される手付金は通常解約手付の性質を持ちます。
    買主から解約:手付金を放棄することで契約解除できます(履行の着手前まで)。
    売主から解約:手付金の倍額を返還することで契約解除できます(履行の着手前まで)。

  • 売買対象面積(公簿取引・実測取引)

    • 公簿取引(登記簿面積取引):登記簿上の面積で売買金額を確定。実測面積が異なっても原則として精算しない。

    • 実測取引:実際に測量した面積で売買金額を確定。実測面積に応じて代金を精算する。

  • 危険負担

    売買契約締結後・引渡し前に、売主の責めに帰すことができない事由(天災等)で目的物が滅失・損傷した場合、民法改正(2020年4月〜)では買主は代金の支払いを拒絶できるとされました(改正前:買主が危険負担を負う場面があった)。

  • 契約不適合責任

    売買した不動産が種類・品質・数量において契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して①追完請求(修補・代替物引渡し等)②代金減額請求③損害賠償請求④契約解除を請求できます(旧法の「瑕疵担保責任」が2020年改正で名称・内容が変更)。
    権利行使期間:不適合を知った日から1年以内に通知が必要。

FP試験ポイント:「手付放棄で買主解約・手付倍返しで売主解約」「契約不適合責任は不適合を知った日から1年以内に通知」は頻出です。

借地関係(普通借地権・定期借地権)

土地の賃貸借に関するルールは借地借家法(1992年施行)で定められています。旧借地法・旧建物保護法は新法成立後の契約には適用されません。

  • 普通借地権

    存続期間:最短30年(それ以下の定めは30年とみなされる)。更新後:1回目は20年・それ以降は10年ずつ更新。
    更新の拒絶には地主側に正当事由が必要(単なる地主の都合では拒絶できない)。

  • 定期借地権の種類

    • 一般定期借地権:存続期間50年以上。契約更新・建物買取請求権なし。公正証書等の書面で契約。

    • 事業用定期借地権等:存続期間10年以上50年未満(事業用建物のみ)。公正証書で契約。更新なし。

    • 建物譲渡特約付借地権:存続期間30年以上。期間満了時に借地権設定者(地主)が建物を相当額で買い取ることを特約する。

FP試験ポイント:「一般定期借地権は50年以上・書面で契約・更新なし」「事業用定期借地権は10〜50年未満・公正証書必須」「普通借地権の更新拒絶には正当事由が必要」は頻出です。

借家関係(普通借家契約・定期借家契約)

建物の賃貸借に関するルールです。普通借家と定期借家の違いが重要です。

  • 普通借家契約

    存続期間:1年以上(1年未満の契約は期間の定めのない契約とみなされる)。
    更新:原則として更新される。大家(貸主)からの更新拒絶には正当事由が必要(建物使用の必要性・建物の状況・立退料の提供等を考慮)。
    解約申入れ:貸主は正当事由を付して6か月前までに通知が必要。

  • 定期借家契約

    更新がない・期間満了で確定的に終了する賃貸借契約。
    ・公正証書等の書面で契約(電磁的記録も可)。
    ・貸主は事前に「更新がなく期間満了で終了する」旨を書面で説明する義務あり(この説明がないと定期借家にならない)。
    ・存続期間は1年未満も設定可能。
    ・貸主は期間満了の6か月〜1年前までに借主に終了を通知する義務あり(1年以上の場合)。

  • 借家人の保護規定

    • 造作買取請求権:借家人が取り付けた造作(エアコン等)を契約終了時に家主に時価で買い取らせることができる権利(特約で排除可)。

    • 対抗力:建物の引渡しを受けていれば、建物が売却されても新オーナーに賃借権を対抗できます。

FP試験ポイント:「定期借家は書面+書面説明が必要・更新なし」「普通借家は1年未満の契約は期間の定めのない契約とみなされる」「貸主からの更新拒絶には正当事由が必要」は頻出です。

3. 不動産に関する法令上の規制

土地基本法

土地基本法は、土地についての基本理念(公共の福祉の優先・適正な利用・計画的な利用・投機的取引の抑制等)を定めた法律です。土地取引に関する各種規制の根拠となる基本法です。

  • 主な基本理念

    • 公共の福祉の優先:土地の利用には公共の福祉が優先されます。

    • 適正な利用と管理:その土地に最も適した用途での利用と管理が求められます。

    • 投機的取引の抑制:土地の投機的取引は抑制されるべきとされています。

都市計画法(都市計画区域・用途地域)

都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための法律です。都市計画区域の指定・用途地域の設定などにより、土地利用のルールを定めます。

  • 都市計画区域の区分

    • 市街化区域:すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域。用途地域が必ず定められます。

    • 市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域。原則として開発許可が受けられず、建築も制限されます。

    • 非線引き都市計画区域(区域区分未設定):市街化区域と市街化調整区域に区分されていない都市計画区域。

  • 用途地域(13種類)

    市街化区域には必ず用途地域が定められます。住居系(8種類)・商業系(2種類)・工業系(3種類)の計13種類があります。用途地域によって建築可能な建物の用途・建蔽率・容積率が規制されます。

FP試験ポイント:「市街化区域→市街化を図る区域(用途地域あり)」「市街化調整区域→市街化を抑制する区域(原則として開発不可)」の区別が頻出です。

都市計画法(開発許可制度)

開発行為(主として建築物の建築や特定工作物の建設のために土地の区画・形質の変更を行うこと)には、都道府県知事の許可(開発許可)が必要です。

  • 開発許可が必要な規模

    • 市街化区域:1,000㎡以上(三大都市圏の一部は500㎡以上)。

    • 市街化調整区域:規模に関わらず許可が必要(原則)。

    • 非線引き区域・準都市計画区域:3,000㎡以上。

  • 開発許可が不要な主な例外

    • 農林漁業用建築物(農家の住宅等)・公益上必要な建築物・都市計画事業として行われる開発行為など。

建築基準法(道路に関する制限)

建築基準法は、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低基準を定めた法律です。建築物を建てるには法律上の「道路」に接していることが必要です。

  • 接道義務

    建築物の敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。

  • セットバック(2項道路・みなし道路)

    建築基準法施行時(1950年)以前から建築物が立ち並ぶ幅員4m未満の道路は「2項道路」として道路とみなされます。2項道路に接する土地で建築・増改築を行う場合、道路の中心線から2m後退(セットバック)した部分は道路とみなされ、建築面積等の計算から除外されます。

FP試験ポイント:「接道義務は4m以上の道路に2m以上接すること」「2項道路に接する土地はセットバックが必要」は頻出です。

建築基準法(用途に関する制限)

用途地域ごとに建築できる建物の種類が制限されます。主要な用途地域の特徴を把握することが重要です。

  • 主な住居系用途地域

    • 第一種低層住居専用地域:低層住宅(主に2〜3階建て)の良好な住環境を保護。店舗・事務所は建てられない。

    • 第一種中高層住居専用地域:中高層住宅を中心。500㎡以下の店舗・飲食店は建てられる。

    • 第一種住居地域:住居の環境を保護。3,000㎡以下の店舗・事務所・ホテル等は可。

  • 主な商業・工業系用途地域

    • 商業地域:商業の業務利便の増進。住宅・学校・病院は建設可能。

    • 工業専用地域:工業の業務利便の増進。住宅・学校・病院は建てられない(唯一住宅が建てられない地域)。

FP試験ポイント:「第一種低層住居専用地域は原則住宅のみ」「工業専用地域は住宅・病院・学校が建てられない」は頻出です。

建築基準法(建蔽率制限)

建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積の割合の上限です。用途地域ごとに30〜80%の範囲で定められます。

  • 建蔽率の計算

    建蔽率=建築面積÷敷地面積×100(%)
    例:建蔽率60%・敷地面積200㎡の場合、建築面積の上限=200㎡×60%=120㎡

  • 建蔽率の緩和(加算)

    • +10%:特定行政庁が指定する角地(角地緩和)。

    • +10%:準防火地域内の耐火・準耐火建築物。

    • 建蔽率制限なし(適用除外):①防火地域内の耐火建築物、②建蔽率80%の地域内かつ防火地域内の耐火建築物。

  • 建蔽率が80%の用途地域

    近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域の一部が80%に指定されることがあります(用途地域ごとの上限)。

FP試験ポイント:「角地は+10%」「防火地域内の耐火建築物は建蔽率制限なし」「建蔽率80%の地域かつ防火地域内の耐火建築物も制限なし」は頻出の計算問題です。

建築基準法(容積率制限)

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合の上限です。用途地域ごとに50〜1,300%の範囲で定められます。

  • 容積率の計算

    容積率=延べ床面積÷敷地面積×100(%)
    例:容積率200%・敷地面積200㎡の場合、延べ床面積の上限=200㎡×200%=400㎡

  • 前面道路による容積率の制限

    前面道路の幅員が12m未満の場合、以下の計算で得た数値と指定容積率の小さい方が適用されます。
    ・住居系用途地域:前面道路幅員(m)×4/10
    ・その他の用途地域:前面道路幅員(m)×6/10
    例:第一種住居地域・前面道路幅員6m・指定容積率300%の場合
    道路幅員による容積率=6m×4/10=240% ← 指定300%より小さいので240%が適用

  • 容積率の計算から除外できる部分

    • 地下室(住宅・老人ホーム用途):延べ床面積の1/3まで。

    • エレベーターの昇降路:全部除外。

    • 共同住宅の共用廊下・階段:全部除外。

FP試験ポイント:「前面道路が12m未満なら道路幅員×係数(住居系4/10・その他6/10)と指定容積率の小さい方を使う」は毎回出題される計算問題です。

国土利用計画法(土地取引の規制)

国土利用計画法は、国土の総合的かつ計画的な利用を図るため、一定規模以上の土地取引について規制・届出を義務付ける法律です。

  • 事前許可制(規制区域)

    地価が著しく上昇し、または上昇するおそれがある地域として指定された「規制区域」内では、土地取引に事前の都道府県知事の許可が必要です(現在は指定区域なし)。

  • 事後届出制(一般の土地取引)

    一定規模以上の土地売買等については、契約後2週間以内に都道府県知事に届け出なければなりません。
    届出が必要な面積(市街化区域:2,000㎡以上・市街化調整区域および非線引き区域:5,000㎡以上・都市計画区域外:10,000㎡以上)。

FP試験ポイント:「事後届出は市街化区域2,000㎡以上・2週間以内」は頻出です。

農地法(売買・転用・賃借等の許認可)

農地法は、農地の確保と有効利用を図るため、農地の売買・転用・賃借等に許可・届出を義務付ける法律です。農地を農地以外に転用する「農地転用」には厳格な規制があります。

  • 農地の売買(3条許可)

    農地を農地のまま売買・贈与・交換する場合は、農業委員会の3条許可が必要。

  • 農地の転用(4条・5条許可)

    • 4条許可(自己転用):農地を農地以外(宅地・資材置き場等)に転用する場合は、都道府県知事(4ha超は農林水産大臣)の許可が必要。市街化区域内は農業委員会への届出で足ります。

    • 5条許可(転用目的の売買・貸借):農地を転用目的で売買・貸借する場合は都道府県知事の許可が必要。市街化区域内は届出で足ります。

  • 農地の賃借(3条許可)

    農地を農地のまま賃借する場合も農業委員会の3条許可が必要。

FP試験ポイント:「3条(農地のまま売買・賃借)→農業委員会」「4条(自己転用)・5条(転用目的の売買)→都道府県知事」「市街化区域内は届出で足る(4条・5条)」は頻出です。

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)

区分所有法は、分譲マンション等の区分所有建物の権利関係と管理について定めた法律です。

  • 専有部分・共用部分・敷地利用権

    • 専有部分:区分所有者が単独で所有する部分(各住戸)。

    • 共用部分:区分所有者全員が共有する部分(廊下・階段・エレベーター・外壁等)。法定共用部分と規約共用部分がある。持分は原則として専有部分の床面積の割合。

    • 敷地利用権:専有部分を所有するための敷地の権利(所有権・地上権・賃借権等)。原則として専有部分と分離して処分できません(分離処分禁止)。

  • 規約・集会(管理組合)

    • 管理組合:区分所有者全員で構成。管理組合法人化も可能。

    • 規約の設定・変更・廃止:区分所有者および議決権の各3/4以上の賛成が必要。

    • 集会の決議:普通決議(過半数)・特別決議(3/4以上・4/5以上)の区別あり。

  • 建替え・復旧と義務違反者への措置

    • 建替え決議:区分所有者および議決権の各4/5以上の賛成が必要。

    • 大規模滅失の復旧:建物価格の1/2超の滅失は区分所有者および議決権の各3/4以上の賛成が必要。

    • 義務違反者への措置:共同生活上の障害が著しい区分所有者に対して、集会の決議により専有部分の使用禁止・競売請求ができる(3/4以上の決議)。

FP試験ポイント:「規約の設定・変更・廃止は3/4以上」「建替え決議は4/5以上」「敷地利用権は専有部分と分離処分禁止」は頻出です。

4. 不動産の取得・保有に係る税金

不動産取得税

不動産取得税は、土地・建物を取得した場合に都道府県が課す地方税です。有償・無償を問わず、取得に対して課されます(相続は原則非課税)。

  • 税額の計算

    不動産取得税=固定資産税評価額×税率
    税率:3%(住宅・住宅用土地)・4%(非住宅用建物・非住宅用土地)
    住宅(家屋)に関しては特例により3%に軽減されています(本則4%)。

  • 主な軽減措置

    • 新築住宅の軽減:床面積50㎡以上240㎡以下の新築住宅は課税標準(評価額)から1,200万円を控除(長期優良住宅は1,300万円)。

    • 既存住宅(中古住宅)の軽減:一定の要件(床面積50㎡以上240㎡以下・耐震基準適合等)を満たす既存住宅も評価額から一定額を控除(築年数・新耐震基準等により異なる)。

    • 住宅用土地の軽減:住宅用土地は課税標準が評価額の1/2(2026年3月31日まで)。さらに一定の場合には税額控除(住宅の床面積の2倍相当の土地に係る税額等)が適用。

FP試験ポイント:「不動産取得税の税率は3%(住宅・住宅用土地)」「新築住宅は評価額から1,200万円控除」「住宅用土地の課税標準は1/2」は頻出です。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記(所有権移転・保存・抵当権設定等)を行う際に課される国税です。

  • 主な登記の税率

    • 所有権保存登記(新築):固定資産税評価額×0.4%(軽減:住宅用0.15%)。

    • 所有権移転登記(売買):固定資産税評価額×2%(軽減:住宅用0.3%・土地0.15%)。

    • 所有権移転登記(相続・法人合併):固定資産税評価額×0.4%

    • 抵当権設定登記:債権額×0.4%(軽減:住宅用0.1%)。

FP試験ポイント:「売買による所有権移転は2%(軽減0.3%)」「相続による移転は0.4%」「抵当権設定は0.4%(軽減0.1%)」の区別が頻出です。

不動産取引と消費税・印紙税

不動産取引に関わる消費税と印紙税の取り扱いです。

  • 消費税の取り扱い

    • 課税対象:建物の売買・賃貸(店舗・事務所等)・仲介手数料・設計料等。

    • 非課税(免税):土地の売買・土地の賃貸(地代)・住宅の貸付(住居用の家賃)。

    ※ 住宅用の家賃は非課税ですが、店舗や事務所の賃料は課税対象となります。

  • 印紙税

    不動産の売買契約書・建設工事請負契約書等は課税文書として印紙税が課されます。契約金額に応じた税額(軽減措置あり)の収入印紙を貼付・消印します。

FP試験ポイント:「土地の売買・住宅の賃貸は消費税非課税」「建物の売買・店舗の賃貸は消費税課税」の区別が頻出です。

マイホームの取得と税金(住宅ローン控除)

マイホーム取得時の主な税制優遇です。A科目(住宅ローン)で学習した内容と整合します。

  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

    住宅ローンを利用して住宅を新築・取得等した場合、年末ローン残高の0.7%を所得税(および住民税)から控除できます。
    ・控除期間:新築住宅(省エネ基準適合)13年・中古住宅10年
    ・合計所得金額要件:2,000万円以下(床面積40〜50㎡は1,000万円以下)。
    ・借入限度額:省エネ性能に応じて2,000万〜4,500万円(省エネ基準不適合の新築は適用不可)。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日現在の土地・建物等の所有者に市町村が課す地方税です。

  • 税額の計算

    固定資産税=固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)

  • 住宅用地の特例(課税標準の軽減)

    • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準は評価額の1/6

    • 一般住宅用地(200㎡超の部分):課税標準は評価額の1/3

    適用要件:1月1日現在に住宅が建っている土地が対象(更地は適用なし)。

  • 固定資産税評価額の基準

    固定資産税評価額は3年ごとに評価替え(基準年度の評価替え)が行われます。公示価格の70%水準が目安とされています。

FP試験ポイント:「固定資産税は1月1日現在の所有者に課税」「小規模住宅用地(200㎡以下)は1/6・一般住宅用地(200㎡超)は1/3」「新築住宅は3年間(耐火5年間)1/2軽減」は頻出計算問題です。

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内の土地・建物の所有者に対して、都市計画事業・土地区画整理事業の費用に充てるために市町村が課す地方税です。

  • 税額の計算

    都市計画税=固定資産税評価額(課税標準)×税率(最高0.3%

  • 住宅用地の特例

    • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準は評価額の1/3

    • 一般住宅用地(200㎡超の部分):課税標準は評価額の2/3

FP試験ポイント:「都市計画税は市街化区域内のみ課税(市街化調整区域は課税なし)」「小規模住宅用地は固定資産税1/6・都市計画税1/3、一般住宅用地は固定資産税1/3・都市計画税2/3」のセットで覚えることが重要です。

>5. 不動産の譲渡に係る税金

不動産と譲渡所得・譲渡所得の計算

土地・建物等の不動産を譲渡(売却)した場合の利益は譲渡所得として課税されます。給与所得等との総合課税ではなく、分離課税(申告分離課税)が適用されます。

  • 譲渡所得の計算式

    譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
    収入金額:売却代金(売買価格)。
    取得費:購入代金+取得に要した費用(仲介手数料・登記費用等)-建物の減価償却費相当額。取得費が不明または少額の場合は収入金額の5%(概算取得費)を使えます。
    譲渡費用:売却に要した費用(仲介手数料・印紙税・測量費・取壊し費用等)。

FP試験ポイント:「取得費が不明な場合は売却代金の5%を概算取得費として使える」「建物の取得費は減価償却費を差し引く」は頻出です。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

土地・建物の譲渡所得の税率は所有期間によって異なります。所有期間は譲渡した年の1月1日現在での判定です。

  • 判定基準

    • 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年超。税率:所得税15%+住民税5%=合計20%(復興特別所得税を加えると20.315%)。

    • 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下。税率:所得税30%+住民税9%=合計39%(復興特別所得税を加えると39.63%)。

  • 所有期間の計算例

    例:2018年7月に取得し2024年3月に売却した場合。
    2024年1月1日現在の所有期間:2018年7月〜2024年1月1日=5年6か月→5年超なので長期

FP試験ポイント:「1月1日現在で5年超なら長期(20%)・5年以下なら短期(39%)」「1月1日現在で判断する(売却日ではない)」は頻出の引っかけポイントです。

居住用財産の課税特例

自宅(居住用財産)を売却した場合には、譲渡所得を大幅に軽減できる特例があります。

  • 居住用財産の3,000万円特別控除

    自分が居住している(または居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却)住宅を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
    主な要件:①居住していた(または元居住していた)②売買契約の相手が配偶者・直系血族等でない③前年・前々年にこの特例を受けていない。

  • 軽減税率の特例(10年超所有)

    所有期間が10年超の居住用財産を売却した場合、3,000万円控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に軽減税率が適用されます。
    税率:所得税10%+住民税4%=合計14%(6,000万円超は通常の長期20%)。
    3,000万円特別控除と併用できます。

  • 特定の居住用財産の買換え特例

    一定の要件(所有10年超・居住10年以上・売却代金1億円以下等)を満たす場合、売却益課税を繰り延べることができます。3,000万円特別控除との選択適用。

FP試験ポイント:「3,000万円特別控除は居住用・3年以内の売却に適用」「10年超で軽減税率(6,000万円以下の部分は14%)」「3,000万円控除と軽減税率は併用可能」は頻出です。

相続税の取得費加算の特例

相続によって取得した不動産を売却した場合、一定の要件を満たせば相続税額の一部を取得費に加算できます(二重課税の緩和)。

  • 適用要件

    • 相続または遺贈によって財産を取得した者であること。

    • 相続税が課されていること。

    • 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続開始から原則3年10か月以内)に譲渡していること。

  • 加算できる金額

    加算取得費=納付した相続税額×(譲渡した財産の相続税評価額÷相続した全財産の相続税評価額)

6. 不動産の賃貸

不動産所得

土地・建物等の不動産の貸付によって生じる所得は不動産所得として所得税が課されます。損益通算・青色申告特別控除等の特例があります。

  • 不動産所得の計算式

    不動産所得=総収入金額-必要経費(-青色申告特別控除額)
    総収入金額:家賃収入・地代・礼金(返還不要の部分)・共益費等。
    必要経費:固定資産税・都市計画税・損害保険料・管理費・修繕費・減価償却費・借入金利子等。
    保証金・敷金:返還義務があるものは収入に含めません。返還しない部分(権利金等)は収入に計上。

  • 損益通算

    不動産所得が赤字(損失)になった場合、給与所得等の他の所得と損益通算できます。ただし、土地取得のための借入金利子に対応する部分の損失は損益通算の対象外です。

FP試験ポイント:「土地取得のための借入金利子は損益通算不可」「5棟10室基準が事業的規模の目安(青色申告65万円控除の要件)」「減価償却費は木造22年・RC47年」は頻出です。

不動産貸付と消費税

不動産の貸付には消費税が課されるものと課されないものがあります。正確な区別が求められます。

  • 消費税が課されない(非課税)賃貸

    • 住宅の賃貸(住居用):居住の用に供する住宅の家賃は非課税。

    • 土地の賃貸(地代):土地の貸付そのものは非課税(1か月以上の貸付)。

    • 駐車場(青空駐車場):地面の整備や区画なしの土地の貸付は非課税(土地の貸付)。

  • 消費税が課される(課税)賃貸

    • 店舗・事務所等の賃貸:住居以外の建物の賃貸料は課税。

    • 施設付き駐車場:アスファルト舗装・区画線・管理人設置等の設備がある駐車場は建物の賃貸として課税。

    • 月極駐車場(建物内):立体駐車場・機械式駐車場等は建物の賃貸として課税。

FP試験ポイント:「住宅の家賃・土地の地代は消費税非課税」「店舗・事務所の賃料・設備付き駐車場は課税」の区別が頻出です。

借地権の税務

借地権(地主から土地を借りて建物を所有する権利)は財産的価値を持つため、設定・消滅・移転時に税務上の問題が生じます。

  • 借地権の価値と権利金

    借地権割合(路線価図等で確認できるA〜G:90%〜30%):その地域の土地価値に占める借地権の割合。
    権利金:借地設定の際に地主に支払う一時金。通常は借地権の設定の対価(返還されない)。

  • 権利金授受の課税関係

    • 権利金を支払った場合(借地人側):借地権として資産に計上(減価償却なし)。

    • 権利金を受け取った場合(地主側):不動産所得または譲渡所得として課税(権利金の性格による)。

  • 借地権の相続税評価

    借地権の相続税評価額=自用地としての評価額×借地権割合
    底地(借地権が設定された土地の地主の権利)の評価額=自用地としての評価額×(1-借地権割合)

FP試験ポイント:「借地権の評価=自用地評価額×借地権割合」「底地の評価=自用地評価額×(1-借地権割合)」「法人が絡む無償貸付は認定課税の対象」は頻出です。

7. 不動産の有効活用

不動産投資の形態と採算性(利回り)

土地の有効活用の前提として、投資形態の選択と採算性の把握が重要です。利回りを正確に理解した上でプランニングを行います。

  • 不動産投資の主な形態

    • 自己資金による直接投資:土地オーナー自らが建物を建てて賃貸経営。収益が直接帰属するが、資金リスク・管理リスクも自身が負う。

    • 不動産信託・証券化による間接投資:J-REIT等を通じた間接的な不動産投資(8. 不動産の証券化参照)。

  • 利回りの種類

    • 表面利回り(グロス利回り):年間賃料収入÷投資総額×100(%)。諸経費を考慮しない粗い指標。

    • 実質利回り(ネット利回り):(年間賃料収入-年間諸経費)÷投資総額×100(%)。固定資産税・管理費・修繕費・損害保険料等を差し引いた純収益ベース。

FP試験ポイント:「表面利回り=年間賃料÷投資総額」「実質利回り=(年間賃料-諸経費)÷投資総額」の計算式は頻出です。

有効活用の手法①(自己建設方式・事業受託方式)

有効活用の代表的な手法です。それぞれの特徴・メリット・デメリットを把握することが重要です。

  • 自己建設方式

    土地オーナーが自ら資金を調達(借入等)して建物を建設・賃貸経営する方式。
    メリット:収益がすべてオーナーに帰属。建物の所有権を保有するため相続税対策(建物の評価減・貸付事業用宅地としての小規模宅地特例)に有効。
    デメリット:建設費用の全額を自己負担・空室リスクもオーナーが負担。専門知識・管理の手間が必要。

  • 事業受託方式

    土地オーナーが事業主体となり、デベロッパー(不動産開発業者)に建物の建設・管理・運営を委託する方式。
    メリット:専門家に運営を委託できる。土地・建物の所有権はオーナーに帰属。
    デメリット:委託手数料が発生。資金調達はオーナーが行う必要がある(借入リスクあり)。

有効活用の手法②(土地信託・等価交換・建設協力金方式)

土地はオーナーが提供し、建設資金等を第三者が負担する方式です。

  • 土地信託方式

    土地オーナーが信託銀行等に土地を信託し、信託銀行が建物を建設・賃貸経営して利益(信託受益権)をオーナーに還元する方式。
    特徴:信託期間中は土地の名義が信託銀行に移転(法律上の所有者は信託銀行)。
    メリット:オーナーは資金調達不要・専門家に運営委託。
    デメリット:信託期間中の土地処分に制約・信託配当が不安定な場合がある。

  • 等価交換方式

    土地オーナーが土地を提供し、デベロッパーが建物建設費を負担して、土地と建物(床)を出資割合に応じて交換する方式。
    メリット:自己資金不要・建物の区分所有権を取得できる。
    デメリット:土地の一部(または全部)の所有権をデベロッパーに譲渡する必要がある。
    税務:一定要件を満たす場合、立体買換えの特例(課税の繰り延べ)が適用可能(F科目・5. 譲渡に係る税金参照)。

  • 建設協力金方式(リースバック方式)

    テナントが建設協力金(保証金・敷金の大型版)をオーナーに預け、オーナーがその資金で建物を建設してテナントに賃貸する方式。
    メリット:テナントの資金を活用して建物建設が可能(自己資金・借入負担が軽減)。
    デメリット:テナントが退去した場合に建設協力金を返還する義務。テナントの業態に合わせた建物設計のため汎用性が低い。

有効活用の手法③(定期借地権方式・共同開発・各方式の比較)

土地を手放さずに収益を得る方式と複数地権者による共同開発、および各方式の税務効果の比較です。

  • 定期借地権方式

    土地オーナーが定期借地権を設定して土地を賃貸し、借地人(デベロッパー等)が建物を建設・利用する方式。
    使用する借地権の種類:一般定期借地権(50年以上)・事業用定期借地権(10〜50年未満)・建物譲渡特約付借地権(30年以上)のいずれか。
    メリット:土地所有権を保持したまま地代収入を得られる。期間満了後に土地が返還される。建設費用不要。
    デメリット:地代収入が建物を所有する場合の賃料収入より少ない場合がある。
    税務・相続税対策:定期借地権が設定された土地は相続税評価額が自用地評価額より低くなる(借地権割合・残存期間に応じた評価減)。保証金を受け取る場合は原則として非課税(返還義務があるため)。

  • 各方式の比較(主な観点)

    各有効活用手法の主な比較軸を整理します。

    • 資金調達の必要性:自己建設・事業受託方式は資金調達必要。等価交換・土地信託・定期借地権・建設協力金方式は資金調達不要または少額で済む。

    • 土地・建物の所有権:自己建設・事業受託は土地・建物ともオーナー保有。等価交換は土地の一部を譲渡。定期借地権は土地のみオーナー保有(建物は借地人)。土地信託は信託期間中に名義移転。

    • 相続税対策効果:自己建設(貸付事業用宅地の特例・建物の相続税評価減)>定期借地権(土地の評価減)>等価交換(土地評価減・建物評価減)。定期借地権・等価交換は資金不要でも評価減効果あり。

FP試験ポイント:「等価交換方式は資金不要だが土地の一部を手放す」「定期借地権方式は土地所有権を保持・期間満了で返還」「建設協力金は退去時の返還義務あり」「各方式の資金調達の要否・土地所有権の帰属・相続税対策効果の比較」は頻出です。

8. 不動産の証券化

不動産の証券化の概要・背景

不動産の証券化とは、不動産から生じる収益(賃料等)や不動産自体を裏付けに有価証券を発行し、多数の投資家から資金を調達する仕組みです。不動産の流動性を高め、小口投資を可能にします。

  • 証券化のメリット

    • 投資家側:小口で不動産投資ができる・流動性が高い(証券として売買可能)・分散投資が可能。

    • 不動産保有者(オリジネーター)側:不動産をオフバランス化(貸借対照表から切り離す)して資金調達が可能。

証券化関連の法律(流動化法・投資信託及び投資法人に関する法律)

不動産証券化を支える主な法律です。

  • 資産の流動化に関する法律(流動化法・SPC法)

    特定目的会社(SPC:Special Purpose Company)を活用した不動産の証券化スキームを規定する法律。
    主なスキーム:①オリジネーター(不動産保有者)がSPCに不動産を譲渡→②SPCが有価証券(特定社債・優先出資証券等)を発行して投資家から資金調達→③不動産の賃料収入・売却益を投資家に分配。
    SPCを介することで、オリジネーターの経営リスクと不動産を分離できます(倒産隔離機能)。

  • 投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)

    不動産投資信託(J-REIT)の根拠法。投資法人(法人型)と投資信託(契約型)の2つの形態を規定。
    J-REITは投資法人が投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、収益を分配する仕組みです。証券取引所に上場して一般投資家が株式のように売買できます。

DCF法(割引キャッシュフロー法)

DCF法(Discounted Cash Flow法)とは、不動産が将来生み出すキャッシュフロー(純収益)と売却時の収入を、割引率で現在価値に換算して合計することで不動産の価値を求める手法です。

  • DCF法の計算の考え方

    不動産の収益価格(現在価値)=各期の純収益の現在価値の合計+売却予想価格(復帰価値)の現在価値
    現在価値(PV)=将来のキャッシュフロー÷(1+割引率)n(n:期数)
    割引率:投資家が要求する収益率(期待収益率)。リスクが高いほど高い割引率を使用。

  • 直接還元法との違い

    直接還元法:1年間の純収益÷還元利回り(静的・単純)。
    DCF法:複数期間の変動する純収益を時間価値を考慮して現在価値化(動的・詳細)。長期保有・大型物件の評価に適しています。

FP試験ポイント:「DCF法は将来の純収益を割引率で現在価値化する」「直接還元法は1年分の純収益÷還元利回り(シンプル)」の違いが頻出です。

NPV法・IRR法

不動産投資の採算性を判断するための2つの代表的な手法です。

  • NPV法(正味現在価値法)

    NPV(Net Present Value)=投資によって生じる将来のキャッシュフローの現在価値合計-初期投資額
    NPV>0:投資プロジェクトは採算が取れる(採択)。
    NPV<0:投資プロジェクトは採算が取れない(却下)。
    複数の投資案を比較する場合は、NPVが最大のものを選択します。

  • IRR法(内部収益率法)

    IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)とは、NPVがゼロになる割引率のことです。
    IRR=投資プロジェクトの「期待収益率」と解釈できます。
    IRR>必要収益率(ハードルレート):投資採択。
    IRR<必要収益率:投資却下。
    複数の投資案を比較する場合は、IRRが高いものを選択します。

  • NPV法とIRR法の使い分け

    NPV法:投資の絶対的な価値(円額)で判断。スケールが異なる投資案の比較に向く。
    IRR法:投資の収益率(%)で判断。投資規模が異なる案の比較に向くが、複数のIRRが求まる場合がある等の限界もあります。

FP試験ポイント:「NPVがプラスなら採択・マイナスなら却下」「IRRが必要収益率を上回れば採択」「IRR=NPVがゼロになる割引率」は頻出です。

その他の投資判断手法

DCF・NPV・IRR以外の補完的な投資判断指標です。

  • 回収期間法(ペイバック法)

    初期投資額を年間純収益で回収するのに何年かかるかを計算する手法。
    回収期間=初期投資額÷年間純収益(単純回収期間)
    シンプルで理解しやすいが、時間価値・回収後のキャッシュフローを考慮しない欠点がある。

  • 収益還元法(キャップレート)

    収益還元法の直接還元法:収益価格=年間純収益÷還元利回り(キャップレート)
    キャップレートは地域・用途・築年数等により異なります。

不動産投資信託(J-REIT)

J-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)とは、投資法人が投資家から集めた資金でオフィスビル・商業施設・マンション等の不動産を取得・運用し、賃料収入等の収益を投資家に分配する金融商品です。2001年に日本で初めて上場されました。

  • J-REITの主な特徴

    • 小口投資が可能:数万円〜数十万円から不動産に間接投資できます。

    • 流動性が高い:証券取引所に上場し株式と同様に売買可能(市場価格で売買)。

    • 分散投資:1つのJ-REITが複数の不動産を保有するため分散効果がある。

    • 高い分配率:課税上の優遇(利益の90%超を分配すれば法人税が事実上非課税)のため、高い分配金が期待できます。

  • J-REITのリスク

    不動産価格の下落リスク・金利上昇リスク(借入金コスト増)・空室リスク・自然災害リスク・市場価格の変動リスク等があります。

FP試験ポイント:「J-REITは2001年上場開始・投資信託及び投資法人に関する法律が根拠法」「分配金は配当所得・売却益は譲渡所得(20.315%)」「利益の90%超分配で投資法人段階の法人税が事実上非課税」は頻出です。

9. 不動産の最新の動向

相続登記の義務化(2024年4月施行)

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。所有者不明土地問題の深刻化への対応として、不動産登記法が改正されました(F科目の最新動向と連動)。

  • 義務化の内容

    相続(遺言含む)により不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。遺産分割が成立した場合も分割成立を知った日から3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。

  • 過去の相続も対象・経過措置

    2024年4月1日以前の相続で未登記のものも対象。2027年3月31日までに登記が必要(経過措置)。

FP試験ポイント:「相続登記は取得を知った日から3年以内・怠ると10万円以下の過料」「2027年3月31日まで経過措置あり」は頻出です。

相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行)

相続・遺贈により取得した不要な土地を国に返還できる制度が2023年4月に創設されました(相続土地国庫帰属法)。負動産問題(管理できない不動産の放置)の解消が目的です。

  • 制度の概要

    相続・遺贈により土地を取得した者が、一定の要件のもとで法務大臣に申請し審査を経て、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することで国に土地を引き渡すことができます。

  • 帰属が認められない主な土地

    • 建物が存する土地・担保権や使用収益権が設定されている土地。

    • 土壌汚染・埋設物がある土地・境界が不明確な土地。

    • 崖(傾斜30度以上かつ高さ5m超)がある土地・管理に多大な費用・労力が必要な土地。

空き家対策の強化(空家等対策特別措置法の改正・2023年12月施行)

空き家問題の深刻化(全国の空き家数は約900万戸・2023年住宅土地統計調査)への対応として、空家等対策特別措置法が2023年に改正されました。

  • 「管理不全空家」の新設

    従来の「特定空家等」(危険状態の空き家)に加え、このままにしておくと特定空家等になるおそれのある「管理不全空家等」を新たに定義。管理不全空家等に指定されると、住宅用地の固定資産税・都市計画税の軽減特例(小規模住宅用地1/6等)が解除されます(空き家放置への経済的ペナルティ)。

FP試験ポイント:「管理不全空家に指定されると固定資産税の住宅用地特例(1/6等)が解除される」は重要な改正点です。

不動産価格の動向と住宅市場の変化

2023〜2025年にかけての不動産市場の主な動向です。FPとして顧客の住宅取得・相続・資産形成のアドバイスに活用します。

  • 都市部の不動産価格の上昇

    東京圏・大阪圏・名古屋圏の三大都市圏を中心に、マンション価格・地価が上昇傾向を継続しています。インフレ・建築コスト上昇・金利動向(低金利の継続から引き上げへの転換)が影響しています。

  • 住宅ローン金利の上昇

    2024年以降、日本銀行のマイナス金利政策解除に伴い、変動金利型住宅ローンの基準金利が引き上げられています。変動金利を選択している住宅ローン利用者は返済額の増加リスクに備えた資金計画の見直しが必要となっています。

不動産取引のデジタル化・制度改正

不動産取引のデジタル化が進み、重要事項説明書の電子化・オンライン手続きの整備が続いています。

  • 重要事項説明書・契約書の電子化(2022年5月〜)

    宅建業法の改正により、買主・借主の承諾を条件に重要事項説明書(35条書面)・契約書(37条書面)の電磁的方法による提供が可能になりました。ITを活用した重要事項説明(IT重説)も普及が進んでいます。

  • 不動産登記のオンライン申請の普及

    登記申請のオンライン化・電子署名の普及により、不動産登記手続きの利便性が向上しています。

不動産関連税制の改正動向

不動産に関連する税制の主な改正動向です。FPとして最新の税制改正大綱を確認することが重要です。

  • 住宅ローン控除の見直し(2024年以降)

    2024年以降、省エネ基準に適合しない新築住宅は住宅ローン控除の対象外となりました(既存住宅・認定住宅等は引き続き対象)。控除率は0.7%で一定ですが、借入限度額が省エネ性能区分により異なります(長期優良・低炭素:4,500万円・ZEH:3,500万円・省エネ基準:3,000万円・中古住宅:2,000万円)。

  • 不動産取得税の軽減措置の延長

    不動産取得税の軽減措置(住宅・住宅用土地の税率3%・新築住宅1,200万円控除等)の適用期限が延長されています(2027年3月31日まで)。登録免許税の軽減措置も同様に適用期限の延長が継続されています。

ファイナンシャル・プランニング
6つの係数

終価係数 : 元本を一定期間一定利率で複利運用したとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

現価係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

年金終価係数 : 一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で 積み立て たとき、将来いくら になるかを計算するときに利用します。

年金現価係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、現在いくら の元本で複利運用を開始すればよいかを計算するときに利用します。

減債基金係数 : 将来の一定期間後に目標のお金を得るために、一定利率で一定金額を複利運用で 積み立て るとき、毎年いくら ずつ積み立てればよいかを計算するときに利用します。

資本回収係数 : 元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間 取り崩し ていくとき、毎年いくら ずつ受け取りができるかを計算するときに利用します。

積み立て&取り崩しモデルプラン

積立金額→年金額の計算 : 年金終価係数、終価係数、資本回収係数を利用して、複利運用で積み立てた資金から、将来取り崩すことのできる年金額を計算します。

年金額→積立金額の計算 : 年金現価係数、現価係数、減債基金係数を利用して、複利運用で将来の年金プランに必要な資金の積立金額を計算します。


住宅ローン計算ツール

NISA / iDeCo 積立シミュレーター

ポートフォリオ効率フロンティア可視化ツール


ファイナンシャル・プランニング
債券利回り計算(単利)

最終利回り計算(単利) : 債券を購入時点から、最終償還日まで保有していた場合に得られる収益の利回りを単利にて計算します。

所有期間利回り計算(単利) : 債券の購入時点から、最終償還日前の売却時点までの所有期間に得られる収益の利回りを単利にて計算します。